「ネコ映画ではない」三日月とネコ abuさんの映画レビュー(感想・評価)
ネコ映画ではない
可愛いネコは登場するけれど、いわゆる “ネコ映画” ではない。 物語は、ちょっと風変わりな3人の同居生活から始まる。彼らの不思議な関係性はすぐには理解しづらいが、それが崩れそうになるときに感じる喪失感や切なさには、思わず共感してしまった。
この3人の関係は、まるで居心地の良い “止まり木” のよう。 けれど、いつかは次のステップへ進む時が訪れ、その止まり木から飛び立たなくてはならない。 出発は案外あっさりできるのに、“いつでも戻れる” と思っていた故郷や居場所は、いざ離れてみて初めてその大切さに気づくものだ。 そんな刹那的な場所の尊さを、この映画は思い出させてくれる。
ほのぼのとした作品かと思いきや、意外にも喪失感や不安、本音を言えないもどかしさが胸を締めつける。 それでも、広大な阿蘇の自然の美しさが、そうした感情さえも包み込んでくれる。 優しくて、胸に沁みる映画だった。
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