「餅ではなく、パン」三日月とネコ uzさんの映画レビュー(感想・評価)
餅ではなく、パン
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この作品は、不幸の上に建っていない。
震災にも特段被害は受けず、過去にトラウマもなく、最後まで悪いことは起こらない。
それでも全員が“欠落”を感じている。
とにかく少々“普通”のレールから外れているだけで、“何となく”満たされない、というのはリアル。
ここに共感できるかどうかが分かれ道だと思う。
クライマックスは、どちらを選んでも幸福な、それ故に選ばなかった方にも未練が残るという贅沢な2択。
最終的に「どっちも選ぶ」というあまりに都合のよい結論なので、否定意見も多いだろう。
しかし個人的には嫌いじゃない。
3人の共同生活とか、作家といきなり仲良くなる鹿乃子とか、まぁそういう縁があってもいい。
偶然にも相互フォローしてた灯と長浜とか、全員の転機が同じ日に訪れる奇跡とかも、まぁ映画だし。
灯の少女性に鹿乃子の惑い、つぐみの拗らせに網田の安心感、長浜の穏やかさも非常に良かった。
ただ、仁だけは有り得ない。
灯と鹿乃子の時も、つぐみの時も、初手があの距離の詰め方でその後の発展はないでしょ。
2年を共に過ごした同居人ならいざ知らず、長浜をいきなり呼び捨て、大荷物を引かせてスタスタ先頭を歩く。
家事を手伝うなどもなく、端々で不快感を覚えた。
映画的なドラマ性のないリアルさと、ご都合主義のバランスが受け入れられないとキツい作品。
されど食事は尽く美味しそうで、安達祐実と倉科カナの、何よりネコの可愛さには抗えない。
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ひでちゃぴんさんのコメント
2024年6月23日
uzさん、共感&コメントありがとうございます。食事シーンはどれも美味しそうでしたよね。すごくよかったです。
おっしゃる通り、仁はキャラ崩壊していると思いました。人格破綻しているのかと思ったほどです。