劇場公開日 2024年3月15日

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「正義、仕事、ジェンダー」12日の殺人 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0正義、仕事、ジェンダー

2024年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2022年。ドミニク・モル監督。フランスの地方で、21歳の女性が生きたままガソリンをかけられて焼死するという衝撃的な事件が発生。捜査を担う警察の班長は寡黙で冷静沈着な男だったが、他の事件には感じない身につまされるような哀しみを感じる(特に理由はなく、ただ事件が取りつくと説明される)。手がかりはあるのにいっこうに犯人にはたどり着けず(法と正義)、報告書作成に追われて寝る間もなく(文書主義)、捜査の過程で否応なく「被害者バッシング」的な状況に陥ってしまうことに自己嫌悪感を抱きながら(ジェンダーバイアス)、それでもあきらかめない男(とその仲間たち)の姿。
こんなに真摯な「お仕事ドラマ」を久々に見た。自己利益のためではなく正義や理想のために仕事にまい進しつつ、自らを省みて反省し、結果が出なくてもめげない。周囲をよく観察して耳を傾け、信頼する仲間を自然にいたわり、変化を受け入れていく。そんな警察班長の真摯で柔軟な姿が、余暇に打ち込む自転車で表されている。
仕事男子の生き様にミートゥー運動以降のジェンダー意識が加わって、ちょっと理想的すぎるきらいもある。山の方へと消えていく同僚の方を主人公にすれば、一時代前のハードボイルド系ドラマになるのだろう。

文字読み
トミーさんのコメント
2024年4月4日

やっぱりお仕事映画なんですよね~
脱線ですが判事の前に出る為か、髪を撫でつけてた班長、ちょっとキモかった・・

トミー