劇場公開日 2024年3月15日

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「やや発展的な事項が求められるが良作。」12日の殺人 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0やや発展的な事項が求められるが良作。

2024年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年112本目(合計1,204本目/今月(2024年3月度)30本目)。
(前の作品 「海の上のピアニスト」、次の作品「パイ デジタルリマスター」)

 久しぶりかなというフランス映画(ドッグマンは最初にフランス映画っぽく CANAL+ とか出るのにフランス映画ではない)。

 本映画は一応被害者の方への配慮もあるのか「フィクションです」とは出るものの、公式サイトにある通り、実際の未解決問題を追うもので、その前提で話が進みます。よって、映画内で示されている展開も「一つの解釈としてはありうる」という立場のもので、一つの仮説ですが、極端に変な仮説に立っていない点は好感が持てるところです。

 映画の趣旨的に誰が犯人だの何だのといったことを書き始めるとネタバレだし、それを想定していなくてもうっかり書いても趣旨的にアウトなので薄目で…。

 やはりフランス映画っぽく、余韻を残すタイプの映画であるとは言えます(もともとが未解決事件であるという事情はもちろん、フランス映画っぽい終わり方をする)。ここは個人の解釈に任せます、という趣旨であろうと思います。また、ミステリーものであるという事情および、そもそもが「実話ものである」という事情から、いわゆる「ダミー人物」(ストーリーの軸に関係しないダミーの登場人物)が多く出てくるので頭の中の整理をしっかりしないと誰が誰かわからず(後半になって突然出てくる人さえ出てくる)混乱しそうな気がします。

 日本ではこうした凶悪事件は検挙率がフランスのそれよりも高いはずですが、先進国といえるフランスでちょっと前(2019年)とはいえ、こんな状況になっているのは驚きでした。事件の特異性なのか国家権力(警察)の能力なのかは見分けがつきにくい(そして、映画の扱う趣旨からそれを詮索するべきではない趣旨のもの)ものの、先進国でもそういった事例が映画化されるほどあるというのは驚きでした。

 上述の通り、「ダミー登場人物」は結構多く出てまとめきれない(メモでも取れる環境なら話は別だが、映画館ではふつう無理)ので、ある程度の拾い漏れは仕方がないだろうといったところです。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.2/突然、聴覚障害をお持ちの方が出てくるシーン)

 録画機のトラブルなどで音声が収録されていないビデオなどから、何を話しているかを推測する技術を広く「読唇術」といいますが、これは日本でもフランスでも、一般的なろう学校(ここでは、支援学校の中でもろう学校である、という趣旨で使用)では学習しますが、言語によってその読唇術のしやすさは「母国語」によって差がありますが、フランス語は概してその率(推測率)が下がる言語です(末尾の子音を原則発音しない語なので、動詞の活用などでもスペルは違っても発音が同じになるケースが多々あり、前後関係から動詞の活用などを推測する必要が生じる)。

 この部分は「読唇術」といった事項も含めて一般常識ではないので(かつ、突然理由もなく出てくるので登場人物の多さとあいまって混乱する)、何らか説明は欲しかったところです。
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yukispica