「Dear」ディア・ファミリー ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Dear
予告から滲み出るお涙頂戴が好みじゃなくて、観る予定は無かったんですが、評判がどのサイトでもどのレビューでも観てとれたので、時間もぴったり良い時間にあったのでそのまま鑑賞。
予告編だけで判断してすみませんでした!と謝罪してしまうくらいに、作品として面白く、実話ベースだからこその親子愛に感動し、お仕事ドラマとしての良さも合わさって素晴らしい作品に仕上がっていました。
医療に関しては全くの素人の主人公が、娘の命を救うために人工心臓を作ろうとする物作りの側面が強く描かれていて、ただでは転べないと強くあり続ける主人公の泥くささに胸打たれました。
最初は手術を検討したり、既存の人工心臓を頼ろうとするものの、どれもうまくいかず、それならば人工心臓を作ってしまおうという行動力がたくましく、多くの土地へ飛び、勉強もして、それでもうまくいかないという苦悩しながらも解決していくパートが悲喜交々していました。
そこから娘が自分の命よりもこれからの命を優先してと言うシーンはグッときました。
バルーンカルーテルの制作に着手し、1度人工心臓の制作時に逃げ出した1人の医者が、手伝いしてくれるという胸熱展開には心を持っていかれました。
家族の支えがこれでもかってくらい大きくて、長女は心折れそうな時に尻を蹴り上げてくれますし、三女はどんな時も明るく立ち振る舞ってくれますし、奥さんは寄り添いながらも色々な案を出してくれて、その上で共感も反対もしてくれていたりと、この暖かさが国産のバルーンカルーテルが医療に繋がっていくんだなと嬉しくなりました。
教授が上からの命令だの、実現は難しいだの、あーだこーだ理由をこねて協力をしないような態度は実体験だとしたらキツいもので、金も時間もかけてきたのに、実績が無いからという理由で突き放すのはいかがなものかと主人公と一緒に怒っていました。
いざ実現、しかも多くの人を救えるとなったら手のひらグリンッとして交渉にかかりますが、そこでスイッチを切り替えて商売に打って出た主人公の心意気に惚れました。
大泉洋さんの演技はとっても好きだったんですが、この切り替えは過去最高だったのでは…と思えるくらい良かったです。
若干2000年代パートでの心臓の病気をバルーンカルーテルで救ってもらった記者との対話のシーンは現実でも実際あったのなら申し訳ないんですが、これがフィクションだったら無駄に泣かせにきたんだろうなぁと少し冷めてしまいました。
エンドロールでミセスの「Dear」が彩ってくれるのも良かったです。
映画を観る前にこの曲を聴いた時は可愛い歌詞だな〜と思っていましたが、本編を観終わってから聴くと歌詞がひとつひとつ刺さりますし、何気無い日常というものをしっかり落とし込んでいて、改めてミセスの凄さに気付かされました。
多少脚色はあれど、1本筋の通った作品に仕上がっていました。
感動を超えて明日からの日々の生活を前向きに過ごしたいなと思いました。お見それ入りました。
鑑賞日 6/19
鑑賞時間 10:00〜12:10
座席 L-27