ソウルメイトのレビュー・感想・評価
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これからは、二人で一人
ミソとハウンという幼馴染みの2人の女性の、十数年に及ぶ友情の物語に胸が熱くなる。
性格も価値観も異なる2人は、必ずしもずっと仲が良い訳ではなく、1人の男性を巡る感情のもつれや経済観念の違いなどが原因で、別離と再会を繰り返すのだが、そうしたことを通じて、切っても切れない「腐れ縁」のような関係性がうまく描かれていると思う。
それは、異性との恋愛とは別次元の、人と人との強固な絆であり、タイトルにもなっている「魂の結び付き」と呼べるものだろう。
最近流行りのLGBTQのような話にせず、純粋に「友情」だけを描いているところにも好感が持てる。
ハウンのブログを辿る形で、過去と現在を行ったり来たりする語り口には、入り込みにくいところもあるのだが、自由奔放なミソが、画家になる夢を諦めて会社勤めになるのと入れ替わるように、堅実なハウンが、教師の職と結婚を投げ出し、画家になる夢を叶えようとする展開は鮮やかで、怒涛のラストまで目が離せなくなる。
2人の名前を形どったピアスや木片のブローチといった小道具のほかに、拾ってきた猫やジャニス・ジョプリンのエピソードなども良い味を出している。
ただ、洞窟でのキスの真相のように、「登場人物は皆知っているのに、観客だけが知らなかった」みたいなトリッキーな描き方をしているところもあるので、何が事実なのかが分かりにくいのも確かである。
特に、ハウンがバイカル湖に行くシーンは、真偽不明で混乱するが、これは、ハウンにそう生きてほしいと願うミソの幻想で間違いないだろう。
ミソは、これからも、ハウンに代わって絵を描き、ブログを更新することによって、ハウンと共に、やりたいことをやりながら、自由に生き続けるのだろう。
確かに悲劇的ではあるが、それと同時に明るい希望を感じることのできる素敵なエンディングだったと思う。
未完成なものが重なることでテンポが削がれるが、ビジュアル訴求力はとてつもなく強い
2024.2.24 字幕 MOVIX京都
2023年の韓国映画(124分、PG12)
2016年の香港映画『ソウルメイト 七月と安生』のリメイク映画
小学校以来の腐れ縁とある約束を描く青春映画
監督はミン・ヨングン
脚本はカン・ヒョンジュ&ミン・ヨングン
原題は『소울메이트』で、「ソウルメイト」という意味
物語の舞台は、韓国の済州島
そこで両親と暮らすコ・ハウン(チョン・ソニ、幼少期:リュ・ジアン)は、堅実に生きてほしいと願う両親の願いに応えながらも、得意な絵で生活したいと考えていた
ある日、彼女の通うクラスにソウルからアン・ミソ(キム・ダミ、幼少期:キム・スヒョン)という少女がやってきた
ハウンの隣の席に座ることを促されたが、荷物を置いたミソは、そのまま猛ダッシュで逃げてしまった
途方に暮れる教室、ハウンは隣に座っていたという理由だけで、彼女のカバンを届けることになった
海岸近くでミソを見つけたハウンは、彼女がいる展望台へと向かう
それから仲を深めていった二人は、ハウンの家に居候するまでになっていった
ミソの母(ホ・ジナ)はミソを置いて恋人の元に行ってしまい、それから彼女はハウンの両親(チャン・ヘジン&パク・チェンソン)の世話になっていく
物語は、高校生になったハウンに「想い人」が登場するところから動き出す
同じ学校に通うジヌ(ビョン・ウソク)に恋をしたハウンは、サークルの集会ゲーム「ゴー・ストップ」にしてペアになることができた
喫茶店で彼の似顔絵を描いたハウンは、勇気を出して告白をし、二人は付き合い始めるようになる
映画は、大学合格の祈願のために山に登り、その洞窟で「あること」が起きてからおかしくなる3人を描いていく
足を痛めたハウンを置いて、洞窟に向かったミソとジヌは、そこで口付けを交わしてしまう
よそよそしさから距離を取り始めたミソは、その後、ミュージシャンのギフン(ナム・ユンス)と付き合い始め、彼のためにソウルに行くと言い出してしまう
その別れには様々な意味が込められていて、それでも切れない絆というものが描かれていた
物語は「ミソを描いたハウンの絵」を起点として、学芸員(カン・マルグム)から連絡が入る現代パートが描かれ、ハウンが残したブログを読み進めながら、ミソが過去を思い出す形式になっている
現代パートでは、ある商社に勤めているミソが女の子(のちにアン・ハウンと判明する、演:キム・ソホン)を育てている様子が描かれるものの、父親らしき人物は登場しない
ある時点を最後に連絡を取り合っていないことが仄めかされるものの、その理由は最後まで明かされないまま、すべての伏線の回収はジヌに向けての制裁のようにも思えてくる
何も知らないまま、成長していけば自分かハウンの面影が見えてくるわけであり、それを含めても、あの洞窟でおかしくなった二人の関係に対する罰のようにも見えるのである
映画は、香港映画のリメイクだが、リメイク元は「ウェブ日記の映画化のために作者を探す」というものになっていて、それ以外の流れはほとんど同じになっている
だが、小説から絵画にしたことで、メリットとデメリットが両立する流れになっている
リメイク元は書かれた日記を追いかけるのだが、本作の場合もその日記を追いかける格好になっている
それよりは、ハウンの絵を見ながら過去を思い出していく方が良くて、最後に辿り着く絵で彼女の本当の想いに気づくという流れの方がスムーズだったように思えた
日記の完成とそれに付随する絵画が同時並行しているので、それよりは絵画だけに集中した方が良かったのではないだろうか
いずれにせよ、絵画にしたことによるビジュアルの訴求力は素晴らしく、中途半端に日記を挿入したことでテンポが悪くなっているように思えた
公開されているものと公開されていないものでは追いかけていく理由も異なっているので、改変をするならばそちらに振り切れば良かったと思う
最終的に、ハウンの未完成の絵を完成させて展覧会に出品することになるのだが、それがハウンの願いだったのかはわからないので、秘匿で始まった物語は秘匿のまま終えた方が綺麗にまとまったのではないだろうか
オリジナルも見てほしい
傑作と言えるデレク・ツァンのデビュー作を翻案した韓国版。良い作品ではあるが、時制と真実・幻想を往来する大筋やフックとなるシーンは美術や画角の印象まで驚くほど原作に忠実であり、それはつまり原作の良さではないかと思える。そんな中、小説を絵画に変えた点は改善要素たとおもう。
■追記■この映画にはまった方、ぜひチョウ・ドンユィの中国版「ソウルメイト 七月と安生」もみてください。アマプラで見られます。
韓流アイドルのコンサート鑑賞に上京した妻と何年ぶりかの映画鑑賞。役者は助演まで韓流ドラマで良く見られる方々だったらしい。そして終わった途端後ろの席の女性達が、あの男は東出っぽい、と笑ってました。
大切な人と観て欲しい
何年前だったか一枚のポスターに"ソウルメイト"って書いてあるねってころから気になっていた作品。誰か大切な人と観に行くと良いと思います。ラスト10分は涙と鼻をすするのを堪えるのに必死でいたら…まさか、、、あっそうか、そうだよなって。人を想う優しさをこれでもかってくらいに味わいました。
終わった瞬間に様々抱く想いを共有したくなる素敵な映画でした。
(オンライン試写会は一応ネタバレ扱い)オンライン試写会なのにボロボロ泣いてしまった…
今年56本目(合計1,148本目/今月(2024年2月度)9本目)。
(ひとつ前の作品「恋人までの距離(ディスタンス)」、次の作品は「フィスト・オブ・ザ・コンドル」)
大阪市に住んでいて、この映画の元映画は中国映画であることは知っていましたが、当時はコロナ事情もあり、放映されていたシネマートも1週間限定だったので見に行くことはできませんでしたが、そのあとVODで課金した程度です。
この「元ネタあり」の事情のため、元作品の展開を大きく超えることは基本的にできず、韓国に舞台を移したといっても、済州島、釜山、ソウルの3か所が主な舞台になります。
映画の紹介ほかは公式サイトほかに譲るとして、いわゆるシスターフッド系の展開は強く感じました。マイナーかもしれませんが「プリテンダーズ」などが該当します。仲のよかった2人が、年をとって、ほんの些細なことから分かれてしまい、またあることから接点を見出していく…という点「それ自体」については原作と変わらないものですが、こちらの作品はより女性連帯であるシスターフッドの考え方(女権拡張運動)を感じました。ただ、それも押し付けではなく、韓国であっても日本であっても、国により差はあっても今どこでも起きていることがらです。
展開は原作と基本的に似てはいますが、細かい部分で違います。VODで課金したといっても1年か前でそんなに深く覚えているわけではないものの、ラスト10分か15分かの「急速な展開」は涙する展開です。オンライン試写会なのに涙腺があふれでた映画もこう珍しいかな…と思います。
原作ありとはいえ、細かいところで新解釈という部分は見られますし、原作を見た方も見ていない方も強くおすすめします。年間に400本ほど見る私ですが、本作品は自信をもってのおすすめ作品です(ここでは5.0が上限であるだけで、8.0くらいつきそう。そのうえで以下を考慮しても7.9はつきうる)。
採点に関しては、「辛め採点」で以下まで考慮しましたが、大きなものではないでしょう。
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(減点0.1/(みんなが集まるシーンで)「ほら、これがケジャンだよ」)
韓国ではカニを醤油漬けにしたりヤンニョムソースにかけて食べる文化があり、このことをさしています(カンジャンケジャン、ヤンニョムケジャン)。カニである以上、韓国では済州島を除けば、主に海岸部で食べることができます(衛生の関係上、内陸部で食べられることは比較的少ない)。その中でも比較的この料理を食べられる地域として、麗水(ヨス)があります(「ベイビー・ブローカー」でもヨスに立ち寄ってカンジャンケジャンを食べているシーンがある)。
この点は韓国映画をある程度知っていれば何の問題もないですが、一言説明はあってもよかったかな…とは思います。
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繰り返しになりますが超おすすめ映画なのでぜひぜひ。
オンライン試写会に招いていただいたfansvoicejpさまにもご感謝を。
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