「これは本当にソウルメイトなのか?」ソウルメイト estrellaさんの映画レビュー(感想・評価)
これは本当にソウルメイトなのか?
友情に感動したというレビューがどこでも多いが、私はこの二人は本当にソウルメイトなのか?と思った。正直、あとあじが非常に悪かった映画だ。
キムダミが演じるミソ。
水商売だと思われる母親が男を追いかけ子供を置いて逃げ、その子((ミソ)をハウンと家族が育ててあげた。
”持たざる者”であるミソから見れば、ハウンはきれいで優しくてまじめで親に愛され猫がいてイケメンの彼氏がいる幸せな”持てる者”。自分がないものがある”持てる者”であるハウンへの嫉妬や彼女のものを奪いたいという気持ちがずっとあったのではないだろうか。
ミソは嘘をよくつくし、嘘なのにこれが正しいのだと信じ込んでしまうメンタルの人格だと思う。
ミソ役のキム・ダミはサイコパスっぽい役がうまい女優だから、彼女を使ってそんなキャラクターを演じさせたのかと私は思った。
もし親友なら絶対にやってはいけないことを何度もやっている。
①ハウンの彼氏を略奪した。→ 彼を好きだからではなく、ハウンの彼氏だから奪ったのでは。でもハウンも山でミソと彼氏を二人にしながら後から来て隠れて見たのはそれに気づいて試したかも。彼氏もクズ男だが。
②最後の方でわかるように、ミソはハウンの親と猫や子までハウンが持つものを結局自分のものにした。ハウンの親がやるべき病院の手続きなども自分がやり、ハウンの子供の親権までとった。
③二人ともアーティストなのに、アーティストなら絶対にやってはいけないことをミソがやった。アーティストは未完成の作品なら未完成のまま発表や展示される。
しかしミソはハウンの作品に手を加えた。それをハウンの名前で発表し受賞。ギャラリーや業界の人達と新作のリリースについてハウンの代理人になりすまし話をしている。結局自分の作品にしてしまったのだし、ギャラ収入もミソに入る。
④ハウンの元彼に子供の父親だと告げ、子供に会わせると約束した。元彼は医者になったし、もしかしてまたミソが彼に手を出すかも。
伏線やミソのやったことは他にもたくさんあるが。こういうところから見て私はミソがハウンのものを全部奪って、結局は自分がハウンになったのだなと思った。
この2人をソウルメイトとよんでるところがかえって怖いと思った。
ハウンはチェジュ島という田舎の閉鎖的な村で育ち島から出たこともない。親が決めたレールを進む人生でないといけないと思って、自分の夢をあきらめた。そんな人生のハウンの前に急に都会のソウルからきた破天荒なミソが現れたから、ミソに惹かれたのだと思う。
自分とは正反対の性格で、つまらない自分の毎日に刺激を与えてくれるミソ。ミソといると自分にないものを埋めてくれるように思ったのだと思う。
お互いに相手にないものを求めていて、裏切られても執着して親友と思い込んでたのは実は共依存だったのかもしれない。だが結局は傷つけられることが多かった。
韓国映画はハリウッドとは違って伏線が多いし、ハッピーエンドではなく悲劇の結末も多い。
私の点数が低いのはこの映画がどこのサイトでもランクトップにあがるくらい評価が高いからだ。二人の友情に感動して泣いた、というレビューが多い。
でも私は違う感想を抱いた。
私が思ったような伏線があり、監督が意図して皮肉なタイトルをつけたのなら理解できるし私も点数をもう少し高くしたと思う。
だが本当にこれがソウルメイト、無二の親友だ、という映画だったら私的には理解できない。
そもそも映画レビューサイトに登録してレビューを書きはじめたようと思ったのは、この作品の自分なりの感想を書きたかったからだ。そんな衝動をおこさせるような映画だった。