「ふたりでひとり」ソウルメイト サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたりでひとり
幼なじみ2人の少女の半生を描いた人間ドラマ。ビデオカメラ越しに彼女達の人生を覗き見しているんじゃないかと、そう錯覚させるほどリアルな人物描写。楽しいことだけではなく、悲しいことも包み隠さず描くその容赦ない展開は、良い意味で映画っぽくない。おいおい、今年の韓国映画ヤバいんじゃないか...?
この手の作品は人物の描き不足、たった2時間であるために物足りないという感想に陥りがちだけど、本作はすごく人間らしくも愛おしい少女2人と、大量のエピソードで完璧に作り込まれた最っ高の人生ロードムービーになっていた。ドラマじゃないのに、ここまでのものを作れるとは。。。とてつもないボリュームで、信じられない見応え。これフィクションって嘘だよね?もう、彼女たちは友達同然な気分なんだけど。
笑った顔が清原果耶なチョン・ソニと横顔が完全に東出昌大なピョン・ウソク。びっくりするくらい似てる。あまりに清原果耶だったから、作風的にも藤井道人映画見ているようだった。「The witch魔女」でお馴染みキム・ダミはやっぱり最高に演技上手い。こんなぐちゃぐちゃな涙を流せる人、そういない。2人の相性も完全に演技の枠を超えていた。そんな風にキャストの好演に圧倒されていると、更に物凄い勢いでパンチを食らわさる。
子どもでいること、大人になること。そして、自分が自分でいられること。本当はそれでありたいけど、実際はそう上手くいかない。子どものままではいられないし、スグに大人になんてならない。ましてや自分でいることは社会に出ると忘れてしまう。それでも、友達といる時だけは思いっきり子どもでいていいじゃないか。胸が苦しくなりボロボロと泣いてしまうと同時に、当たり前だけど人生は楽しまなくっちゃと思いっきり背中を押してくれる、そんな素晴らしい作品だった。