「1961年に台北で起きた、14歳の少年による "ある事件" に想を...」牯嶺街少年殺人事件 ナイン・わんわんさんの映画レビュー(感想・評価)
1961年に台北で起きた、14歳の少年による "ある事件" に想を...
1961年に台北で起きた、14歳の少年による "ある事件" に想を得た本作。
『恐怖分子』(1986)で世界的な成功を収めたエドワード・ヤンが自らの製作会社を設立して作ったのが今作。ヤン監督自身の家族が1940年代の終わりに中国大陸から台湾に移住した外省人だったように、本作で描かれるのは外省人たちとその家族と少年達。
物語は1960年代初頭の台北。建国高校昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)。7人家族で5人兄弟の4番目の少年。長女はしっかり者の張娟(チャンジュエン)。兄は老二(ラオアー)。次女は張瓊(チャンチョン)でキリスト教信者でもある。三女の張雲(チャンユエン)はまだ幼い。
小四(シャオスー)の学校のとなりに撮影所がある。不良グループ〝小公園“に属しており王茂(ワンマオ / 小猫王(リトル・プレスリー))や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、足を怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は〝小公園“のボス、ハニーの彼女でハニーは対立するグループ〝217”のボスと、小明を奪いあい問題を起こして姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った〝小公園“は、今では〝中山堂”を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。
小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。
中国大陸に帰ることを未だ夢見る親の世代と、中国大陸への思い入れはなく、エルヴィス・プレスリー、ジョン・ウェイン主演の西部劇などのアメリカ文化にあこがれる子供たち。親世代の不安や焦燥感は子供たちに伝わり、将来への希望が持てない状態で閉塞感に押しつぶされそうになり悪ガキ共は徒党を組む。
印象的に描かれる夜の闇のシーンは台湾という土地のなかで外省人として生きていかざるを得ない人々の心の闇を表しているらしい。
主人公の小四(シャオスー)を演じるのは、当時まったくの素人だったチャン・チェン。
登場人物が多くて、他にも
5人兄弟の父親、母親の二人
小馬(シャオマー)転入生
小虎(シャオフー)クラスメート
二條(アーティアオ)〝小公園“メンバー
小翠(シャオツイ)滑頭の恋人
山東(シャンドン))〝217”の今のボス
神経(クレージー)山東の彼女
汪國正(ワン・グオチェン)政府の有力者、等。
上映時間が188分のバージョンと236分のバージョンがあるが、188分のは観てない。