ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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居残りsavage
寄宿学校のクリスマスの物語と言えば、エーリヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」を思い出さざるを得ない。あちらはドイツのギムナジウムの話だが、再読するたびに毎回号泣してしまう。主人公のマルティン君は本当に健気で良い子で、一方この映画のアンガス君はかなりの荒くれ者、社会規範に従う気はさらさらない(のちにその家庭的な背景が明らかになってくるのだが)。なので、その行動にはついていけないところも多々あるが、それでもラストはちょっぴり泣いた。
ポール・ジアマッティの斜視はどうしたんだろう?「教場」の木村拓哉の義眼みたいにコンタクトレンズを使用したのだろうか。
24-069
「評判通りのいい映画なのだろう」と観に行ったら、確かにいい映画だっ...
生きづらそうな先生
ハナム先生、偏屈で融通が利かないから友達ゼロ、家族さえいません。そんな先生が休暇中の学生寮監督を務めるところから物語はスタートします。お留守番メンバーは他にクリスマス休暇に家族の元に帰れない成績優秀なアンガス、息子を戦争で亡くした学食で働くメアリー。
この3人がそれぞれ持ってる淋しさは、お互い理解できるわけないんだけど、なんとなく噛み合っていくのが静かな演技でも分かります。
ハナム先生はクソ真面目で、先生からも生徒からも嫌われてるんだけど、ちゃんとそうなるルーツがあったんですね。でも理不尽な事も少しは、スルーできる能力がないと人生ってうまく立ち回れない。まだ若いアンガスは彼から、そんなことも学んだかな?ラストは勝手にそう思ってしまいました。
実は先生、あの後ちゃっかり作家デビューして印税生活してたら…なんて楽しい想像もしちゃいました。
そう、3人とも幸せになって!って応援したくなる映画でした。
誰しも、気軽に人に話せない葛藤がある
舞台は1970年代のアメリカマサチューセッツ州だけれども、フランス映画にも感じてしまう。それほど軽くなくしっかりと胸に残る映画。
全寮制の寄宿学校でクリスマス休暇に家へ帰れず残る生徒たちの監督役をすることになった教師のハナム。
皆と同じように家に帰るはずだったが、母親が再婚し新婚旅行に行くため帰れなくなり、突然寄宿学校に残ることになった生徒のアンガス。
ベトナム戦争で、まだ10代の息子を亡くした寄宿舎の料理長のメアリーもまた残って一緒にクリスマスを過ごすことに。
それぞれに葛藤を抱えてて、それぞれが望まない2週間を過ごすこととなる。
だけれどもそうすることでだんだんとお互いの本質が見えてきて、家族のように思いやることができるようになる。
アンガスは思ったことがそのまま口に出て、人を傷つけることもしばしばで、生意気で憎たらしいが、見た目は大きくても子供なのだ。嬉しかった時の表情が何とも可愛らしい。
そのアンガスを見事にハナムが教育するように思ったが、2人の関係はそうではなくて、お互いを知り尊重し合う事でお互いを家族のように大切に思うというものだったのだと思う。
最後アンガスは退学せずに済んだが、ハナムはクビに。
アンガスの将来を思ってのハナムの選択だったのだと思う。きっと多分、アンガスはそれを忘れることなく、クリスマス休暇にハナムに教えられたことを糧に立派な大人になれるだろう。
最後の終わりもフランス映画っぼかった
劇中の音楽がとても良くて、たくさんのクリスマスソングが流れ、とても綺麗なコーラスが流れたり、ブルースっぽい曲も流れたり。クリスマスにもう一度観たくなるかもね。
心がほっこりしました。
1970年のアメリカ。ベトナム戦争(1964-1975)は米兵5万8千人が戦死(ベトナム人の死者は300万人)したが、この頃は既にアメリカにとっての戦況は厳しくなっていたという。映画でもメアリーの息子はベトナムで戦死してるし、酒場では(おそらく戦地で)右手を失ったやさぐれ男も出てくるし、生徒も落第すると軍事高校に送られことを恐れていた。
そんな背景の中のクリスマス休暇。それぞれの事情で寝食を共にするようになった3人。僅か2週間で家族のような関係になりました。様々なエピソードが心に残ります。
メアリーはこれから生まれる妹の子供を大事にしていくんだなと思うし、アンガスは実の父さんとも母とも疎遠になっていくだろうけど、頭も良さそうだしこれからのアメリカで活躍していくんだと思います。
ハナムは何と言ってもアンガスを守り退学を回避させ、自らは学校を去ることになるが、颯爽と(引越し荷物をけん引した)車に乗り込みエンディングを迎えるラストがとても素敵です。この後の人生に幸あれと祈りたくなります。
いい映画を観たあとは本当に心が温かくなります。ありがとうございました。
じわじわくる
優しい「嘘」。
寂しん坊の吹き溜まり。
脚本と役者がすごい。
タイトルなし(ネタバレ)
1970年、米国北東部の寄宿制の名門バートン高校。
クリスマス休暇でほとんどの生徒たちは親元へ帰るのだが、事情があって帰れない生徒たちが何人かいる。
今年も4人、寄宿舎に残ることになった。
監督役を命じられたのは古代史を教える非常勤教師ポール・ハナム(ポール・ジアマッティ)。
頑固で偏屈、その上、体臭がキツイと、生徒はもちろん教師仲間からも疎まれている。
4人の居残り生徒と思ったが、急遽ひとり追加。
問題行動で高校を転々としているアンガス(ドミニク・セッサ)だ。
それに、黒人女性料理長メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)。
彼女は、去年同校を卒業した息子をベトナム戦争で息子を亡くしたばかりだった・・・
といったところからはじまる物語。
予告編などから、居残る生徒はひとりだと思っていたので、あれれと思ったけれど、他の4人は序盤でホリデイを迎えることができて、いなくなってしまう。
本題はどこからなのだけれど、この生徒5人のときの描写が丹念。
で、ここが意外といい。
急いては事を仕損じると言わんばかりの映画の語り口。
冒頭のユニバーサル映画マーク、鑑賞年齢の制限を示す「R」マーク、主要キャスト・スタッフのオープニングクレジットなど、画面のフィルム感も含めて、これぞ70年代の映画という雰囲気から続くのだから、急いではいけないわけである。
(なお、画質はデジタル撮影の上に効果処理を施したらしい)
で、ハナム、アンガス、メアリーの3人になってからの物語に通底するのは、嘘と後ろめたさ。
ベトナムで戦死したメアリーの息子は、白人の後ろめたさの象徴のようだ。
3人が徐々に心を通わせていく、というのはお馴染みの展開だが、アンガスがハナムの体臭に言及するあたりから、ふたりは似た者同士、同じ人物像の若きと老いとわかってくる。
このあたりから、じんわりと胸が熱くなってきます。
どうしてもボストンに行きたかったアンガスの理由、ハナムが母校で非常勤教師を務めている理由・・・
それらの真実には、幾分かの嘘が覆いかぶさっている。
物事を滞りなく進めるために。
けれど、嘘と真実のどちらを見ればいいのか。
嘘だけみていても世の中生きていけるじゃないか、とも思う。
それは、ハナムの斜視、左右で異なる方向をみているように見える目のようなものだろうか。
「どっちの眼をみて話をすればいいの」とアンガスがそれとなく言う。
最終盤、右の眼を指さしてハナムが言う。
「こちらの眼をみて、話せばいいんだよ」と。
観終わってすぐの感想は「久しぶりに、いい映画を観たなぁ」だった。
「いい」は「良い」「好い」とも書けるが、「善い」が適切でしょう。
毒親で気の毒
1970年12月、マサチューセッツ州の全寮制の寄宿学校で、生真面目で嫌われ者の教師・ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることになった。5人居たのだが、4人は親の了解を得てヘリで友達の所に行ったが、アンガスは親が電話に出ず寄宿舎に残ることになった。食堂のマネージャーで息子をベトナム戦争で亡くしたメアリー、ポール、アンガスの3人が、クリスマス休暇を家族のように過ごす、という話。
堅物だった教師のポールが少し柔軟になっていくところが見所なのかも。
アンガスの母親、ちょっと酷いんじゃない、って思ったが、良い親だったらアンガスは寄宿舎に残ってなくて、ポールも残らず、メアリーだけになるから、毒親で良かったのかも。
病気で体臭がキツくそれを気にしてるポールも気の毒だと思ったが、アンガスの影響で堅物度合いが低くなった感じがするし、メアリーも気の毒だったが、最後は良かった。
極上のドラマだった。もちろん主演男優の力は大きすぎる。でも、助演女...
極上のドラマだった。もちろん主演男優の力は大きすぎる。でも、助演女優の彼女も独特のキャラクターを一人の別人格を存在させる形で演じ、高校生の彼も良かった。よく考えると最もやんちゃなのは主人公であり、だからこそ、彼女の悲しみも、高校生の彼の心も受け止められる。もとから優しいやつなのだ。
高校生の子に、こちらの目だと話しかけるシーンは素晴らしい。初めて、彼が他者に自身を見させようとまっすぐ向き合うシーン。彼がどこまで高校でもつかはわからないけど、先生に支えられたことだけは忘れないし、それは彼を支えていくはずだ。2人ともの顔がラストあたりで全く変わっていくことに驚く。酔っぱらいだった先生も、ラストで酒を口に含むだけで吐き出すのだ。人を支えた経験が先生を支えていく。人と人の関係の美しさに心打たれる。
彼女も、少しずつ前を向き始める。
セリフも極上だった。
これからの生き方
全寮制の高校にて、クリスマス休暇で周りが家族と過ごす中、寮に残ることとなった訳ありの3人の物語。
素行にやや問題があるものの、成績は悪くはなく、実は優しい一面をもつアンガス。堅物で嫌われ教師のハナムとドンパチしながらも、パーティーに行きたがったり、スケートで手を振る姿を見るうちにとても可愛く見えてくるから不思議…(笑)
そして、これまた哀しい過去をもつメアリーの物語も絡み、コメディ要素も含みながら話はシリアスなドラマに変わっていき…。
登場人物がそれぞれ辛い過去を持ち、それを引きずりながらも心を開いていく様が素敵ですね。
彼らにそんな背景があったとは…。
他人を不幸にする嘘でのし上がる者もいれば、他人を守る為の嘘で失脚する者も。
しかし、歴史は現在の説明!と言いつつも、これからの生き方に過去のシガラミを否定してみせる姿…きっと彼らは未来を見つけていけるハズ‼
強いメッセージと希望をもらえる作品でもあった。
そんなこんなで、今年観た中でもトップクラスの本作ですが…
面白いのは良いけど、あと一歩で涙が零れそう!…というところで漏れなく笑わせにくるのがある意味残念だったかもw
まぁでもそこが本作の良さですかね♪
そして同僚の姪っコちゃん小悪魔で可愛すぎ…もっと出番増やしてくれや!
これからの彼らに幸あれ‼
3人の心が通い合う様は、とってもハートフル
問題児タリー君が、ひょんな事から、ハナム先生とラム(料理を作る人)と、3人で冬休みを過ごす事に。。。
タリー君は、言わゆるイタズラっ子、クソガキなんですが。。。3人で暮らして行く過程で、ハナム先生が、イタズラっ子なタリーを良く面倒を見ます。そのシーンが微笑ましいです。
タリー君は、終盤に生い立ちが解って行き、恵まれ無い、苦労せざる得ない子なんです。。。それでも、病気のお父さんの事を思いやる心優しい子なんです。ジーンとします🥹
ラムも、子供を戦争で亡くしており、ハナム先生も、大学を中退して、波乱万丈な人生!
その3者3様が、毎日一緒に暮らす中で、心が自然と通い合う姿に感動します🥹涙😭
ハートフルな映画🎞です。みなさんも、是非、観てみたらどうですか❓感動しますよ😃✨
何度でも観たい
爆笑コメディというよりは
ホロリ要素強め、時々クスっと笑えるビタースウィートヒューマンストーリー。
先生のポール、生徒のアンガス、共に嫌われ者らしいが
優しく常識的な一面を冒頭から醸し出しており、共感が沸いた。
生徒役のドミニク・セッサ、これが映画初出演だとは思えない程
屈折した部分と素直さを併せ持つ少年の演技が素晴らしかった。
ポール、アンガス、メアリー、3人とも深い悲しみを抱えており
それぞれの人生に身につまされるものがあった。
1970年から71年にかけての冬が舞台ということだが
その時代らしい演出が、音楽も含めてとてもはまっている。
斜視や臭いは今のご時世だともう話題にもできないかもしれないが
ポールが辿っていた人生を描く上で避けては通れず、
関連したセリフが何度も出る。そういう時代である。
印象的な場面の多い映画だが、
アンガスとポールの学校での追いかけっこ、
台所での爆竹、
アンガスとポールの最後の場面が特に心に残った。
何回も観たい映画であり出会えて良かった。
知らないところ
うん、いい映画だった。
穏やかで優しく、クリスマスにピッタリな作品。公開時期真逆過ぎ。70年代風にデフォルメされた配給・制作会社が何とも可愛らしい。MIRAMAXはこっちの方がいいんじゃない?映画本編も昔ながらのフィルムスタイル。これ、逆に現代風のほうが違和感あると思っちゃうくらいハマってた。
こういう映画はシネコンよりミニシアターで見たい。上映館少ないのにこの映画館でやってたことが奇跡だけど笑 度数高めのお酒を片手に、塩っけの強いナッツでもつまみながら。2回目見る時はしっかり時期合わせて、自分スタイルで見ることにしよう😁
見えてる部分だけがその人の全てでは無い。誰しも過去を持っていて、誰しも知らないところがある。偏見って良くない。良くないと分かっていても、目で見える範囲でその人を判断しちゃうのが人間という生き物であって、見えないところにまで目を向けるって、なかなか難しい。堅物教師・ポールのひとつひとつの行動に心打たれたし、堅物の皮が徐々に剥がれていく様に色々と思うものがあった。ポール・ジアマッティ、すごく良かった。。。
盛り上がるまでに結構時間を要していて、中盤若干退屈なのだけど、2人が仲を深め、互いのいいところ、わるいところを認めあっている姿は何時間だって見れる。評判が良すぎるが故に劇的な展開を期待していた自分がいたが、それほど驚きはなく、物語としては割と普通。ただ、味付けが非常に上手かった。期待は禁物。でもいい映画です。メアリーのような女性からしか得られない心の安らぎってあるよね...。
全277件中、121~140件目を表示