ゴースト・トロピックのレビュー・感想・評価
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夜の街を歩く。優しく柔らかな視座を持った物語
ベルギーのバス・ドゥヴォス監督がブリュッセルを舞台に描く、小さくてユニークな作品だ。移民系の住民の多いこの都市。主人公も50代のイスラム系の女性で、家族が安心して根を張って生きていけるよう、必死に頑張ってきた世代だ。夜間の清掃員として働く彼女は、仕事を終えて地下鉄で帰る途中、つい寝過ごして終点へ。折り返しの電車もなく、夜の街をそのまま歩いて帰ることになるのだが、そこには同じく夜の仕事に従ずる人々の姿があり、寒空の下で交わされる他愛もないやりとりが紡がれていく。だからって何か特別なことが起きるわけではないのだが、しかし透明感あふれる映像、そこはかとない温もりと優しさ、何よりも作り手がこの主人公に寄せる慈しみ深い思いがひしひしと伝わって目が離せなくなる。たまらない気持ちになる。何も知らなければ赤の他人。何気ない他人の日常。しかし一歩踏み込んで望むと、感情が、人生が、凝縮されていることに気づく。
全く知らない俳優さんや監督さん
終電で寝過ごして終着駅から家まで歩いて帰ることになった初老の女性の物語です。真夜中なので登場人物も台詞も少なく、大きな出来事も起きません。しかし、小さな出会いごとに垣間見える彼女の人柄、恐らくアラブ移民であろう彼女の来歴がゆっくり滲み出で来ます。その一歩一歩が、静かなギター音楽に乗って、しっかりしたカメラで捉えられるのです。そして終盤で、オープニング映像に繋がる展開に虚を衝かれ、何だか心が温かくなりました。素晴らしい作品です。
ベルギーにこんな監督さんや俳優さんがおられるのを今まで全く知りませんでした。映画の世界は本当に広い。
母、真夜中の大冒険
ベルギーの映画作家バス・ドゥボスの長編第3作。
ブリュッセルの町を舞台に、最終電車で乗り越してしまった主人公である初老の女性が真夜中の町をさまよい、その中での思いがけない出会いがもたらす、心のぬくもりを描く。
と解説されていたが 思いがけない というワードに対しては個人的に違和感。
なぜなら未開の地に歩を刻む彼女の姿は、さながら物語の勇者のようで
その道中に生じた事柄全てに必然性を感じたからだ
終電後の街はその土地を知らない人からすればある種の異世界。
ありふれた、むしろ少々陰鬱な主人公のキャラ設定があるからこそ
非日常における彼女の吹っ切れたような行動や一見過剰な好奇心にも
どこか共感を抱かずにはいられない
複雑な設定やSF的要素を駆使するでなく
極めてありふれた題材で非日常的、大衆的を表現した
素晴らしい作品でした。
それにしても海外作品の 冬➕路地 の組合せはなぜあんなにも
心を凍えさせるのか…日本の街頭の多さに感謝したいと思いました。
ブリュッセルの深夜の旅をする女性
ゴースト・トロピック Ghost Tropic
大阪十三にある映画館シアターセブンにて鑑賞2024年5月2日(木)
ベルギーの首都 ブリュッセル
定点でリビングルームが映し出される。ソファーとテーブルとテレビがあるが、人気は感じない。日は少しずつ落ちてゆく。
女性がフランス語で詩を朗読する声が聞こえる。
これが私に見えるもの 聞こえるもの過ぎた時間が見える この空間を見ると この大切な苦労が見える 赤の他人が この部屋に入ってきたら その人は何を見て何を聞くだろう。
部屋の外から街の音が鳴り響く。サイレンの音、鳥のさえずり。子供たちの声。部屋は少しずつ暗くなり、暗闇に消えていく。
Ghost Tropic
「あれは奇跡よ」
ハディージャ(サーディア・ベンタイブ)(女性 ヒジャブを身につけている)とビルの清掃仲間の笑い声が夜間の休憩室で鳴り響く。涙をこらえきれないほど笑うハーディジャ。見る限り国籍の異なる男女が集まっている。
ハディージャは一足先にロッカーを後にする。「また明日」地下鉄までの帰路、街角のモニターに移し出されている南国の写真を物思いにふけるように眺めている。青い海、白い砂浜、椰子の木。「Get Lost 見知らぬどこかへ」と書かれている。
駅に到着したハディージャは電車に乗る。「コント・ド・フランドル駅」「サント・カトリーヌ駅」ハディージャの目は、徐々に重たくなっていく。地下鉄を走る電車の音が完全に消え、ハディージャの寝息が聞こえ始める。誰も乗っていない車両。遠くから森林の小鳥のさえずりのような声が聞こえてくる。
深刻な顔をして携帯電話をかけているハディージャ。「ビラル、ママよ」「居眠りして終点まで来ちゃったの」「もう地下鉄がない」すでに寝ているであろう、息子の携帯に留守番電話を残す。
財布の中を覗き、意を決したハディージャはバッグをしっかりと肩に掛け、コートの首元を締め、夜道を歩き出す。
優しいガットギターの音色はまるでハディージャの冒険を見守るかのような温かみがある。
滑らかなカメラは夜のブリュッセルを歩くハディージャに寄り添う。
「ムシュー!」
ショッピングセンターまでたどり着いたハディージャは、警備員に声をかける「ちょっと待って」「現金下したいの」警備員は困惑しながらも、ハディージャを中に入れることにした。
「地下鉄で居眠りなんて20年働いて初めてよ」ATMにありつけた安心からか、ハディージャの声はかすかに弾んでいる。しかし口座の残高が不足している。
「大丈夫か?」と聞かれたハディージャは、とっさに「問題ない」と答えてしまう。
ハディージャがトイレを使用している間、警備員はルーマニア語で家族と話しをしている。「娘には妻が帰ってから薬を飲ませる」
警備員はハディージャにショッピングモールで飼っているオウムを見せる「元々4羽いたけど今は一羽しかいない」見知らぬ余所者どうしの何気のない会話。
ショッピングモールの外に出た警備員は、目線の向こう側に指を指す。「全部壊して亜熱帯風の水城公園を作るんだとさ」「トロピック・タイム」「トロピック・ファン」。
警備員はハディージャに中心街へ行きバスの乗り場を教える。ハディージャは夜間バスがあることを知らなかった。「ありがとう、お休み」警備員に伝える。「いいさ。それじゃあ」と歩き出す警備員。「バニラ味?」と後姿の警備員に尋ねる「ああ」「お休み」と答える。
バスの中は人で溢れている。突如アイドリング中のエンジン音が止まる。暫くすると車内灯がつき電子版に「運航中止」と出る。「そんな」というため息が聞こえる。隣の席の女性と目が合うハディージャ。誰もいなくいなったバスから降りて、再び夜の街を歩き始める。
高架下でホームレスの男性とその伴侶犬と出会う。男性は寝ているだけなのかと気になるハディージャ。伴侶犬に吠えられるが、立ち止まって携帯をかける。男性の脈に手を当てると、かすかに男性は動く。
到着した救急隊員に犬がいることを伝える。「連れていけない?」せめて逃げ出さないように「つないでおきます」と答える救急隊員。
「凍死しちゃうわ」とハディージャ。そうだよねと言わんばかりの目で二人は目を合わせる。
外灯の下に繋がれた犬と別れ、さらに歩き出すハディージャ。見覚えのある交差点で寄り道をする。
高層マンションが立ち並ぶ高級住宅街の敷地に入るハディージャ。外の窓から家を覗き込むが空き地のようだ。カーペットには子供のおもちゃが置かれている。不穏な音楽が画面に流れる。
突然、「パチンと」音を立ててキッチンの灯りがつく。中東系の顔をした青年がハディージャに気が付く。青年は人差し指を口元に充てる。うなづくハディージャ。青年は灯りを消してキッチンの暗闇に消えてゆく。
「ちょっと」「あんただ」
突然、後ろから男性に声を掛けられる。ハディージャは過去にこの家の家政婦をしていたことを伝える。男性は空き家に人影があるから見に来たというと、ハディージャは「誰もいませんよ」と青年を庇う。
「まだ家政婦の仕事を?」男性がポーランド人の家政婦をし始めると、ハディージャは遮るように今は「個人宅はやりません」と答える。男性は諦めて去る。
ハディージャはの旅は続く。その冒険を優しく包み込むように流れる、あのギターの音色。
ガソリンスタンドの売店を見つけたハディージャ。室内は明るくて温かいお湯もある。カウンターで女性店員にティーバッグが無いと伝える。「ミントティかレモンティなら?」と返すと「ミント」。ティーバッグにお湯を鎮めて、冷えた手を温めるようにカップを両手で握る。ハディージャは女性に店内でティーを飲んでいいかと尋ね、少し考え、すぐに済むのならと答える。ハディージャの顔に安堵の表情が浮かぶ。
ビールケースに腰を掛けて俯くハディージャ。その姿を慈しみに溢れたまなざしで見つめる女性店員。
商品の陳列を終えた女性は、ハディージャはを家まで送ることを提案する。「助かるわ」「遠くはないんだけど」「足がむくんでいて・・」
車に乗り込むハディージャ。抽象的な都会の夜の色とりどりの玉。遠くから再び聞こえてくる小鳥のさえずりのような声。
疲れてあまり話せなくて」と謝る女性に「いいのよ」と優しく返すハディージャ。慎重に破られる沈黙。
女性「あなた美人ね」
ハディージャ「あなたは結婚しているの?」
女性「離婚した」「エステルという6歳の娘がいるの」
ハディージャ「夫の名前はムニール 10年前に亡くなったわ」「子供は2人」
女性がほほ笑む。「ムニールが恋しい?」
ハディージャは「もちろん あなたは元恋人が恋しい?」
女性「まさか」「きになるひとがいるの」「よくタバコを買いに来るけど吸っていないと思う」
優しく笑うハディージャ。照れくさそうに笑いながら「背が高くて口ひげを生やしている」
ハディージャ「ひげは好みじゃないわ」楽しそうに笑う女性。
ふたりが少しずつ歩み寄ろうとするとき、ハディージャは家にいるはずの娘が、友人たちと真夜中の街を歩いているのを見かける。慌てて車から降りるハディージャ。ドアを閉める前にもう一度車内に体を入れて、女性にお礼を伝える。
娘グループを遠巻きから追うハディージャ。一瞬娘がハディージャのほうに顔を向ける。グループは深夜の売店でお酒を買い金曜日に行くクラブについて話している。「ヒップホップなら最高」と男が言う。深刻な顔をするハディージャ。
公園のベンチで酒を飲む娘たち。娘と男の友人2人だけが残る。男の友人がボトルの酒を勧める。
寒そうにしている彼女を気にかけ、男はセーターを取りに行く。その間娘はスマフォのカメラで確認している。
男が戻ってくるのをソワソワしながら待つ娘。その姿を木の陰から見つめるハディージャ。娘が見せる、一人の女性としての顔を見たハディージャは様々な心境が入り交ざった複雑な表情へと変わっていく。
前を向きながら歩くハディージャ。すでにテーマソングとなった優しいギターの音色が流れている。
娘たちに酒を売った売店に戻る。店員に声をかけようか迷ったが、すれ違いの警察官に通報することにした。さらに少し歩くと、さっきの救急隊員と出会う。ホームレスが運ばれた病院だと知ったハディージャは男性の容態が気になって仕方がない。
病院の受付で、面会は明日だとあしあらわれる。それでもきになるハディージャは、受付の女性が席を立った隙に、エレベーターに乗って病院に入る。
ナースセンターで夜勤のケアワーカーが談笑している。運びこまれたホームレスの部屋を尋ねると、一人のナースに案内されるが、違う患者の部屋だった。男性は運び込まれた時にはすでに亡くなっていたと聞かされる。
病室に響く心電図の音。
布団が剝がされた誰も寝ていない病室のベット。
また、森の森林の小鳥のさえずりのような声が聞こえてくる
外灯につながれたホームレスの伴侶犬。不思議な淡い光が画面を覆う。外灯に結ばれたリードがスルッとほどける。犬は振り返り光の方向へと歩き出す。
ハディージャの表情からは、不安は消えている。むしろ安堵に満ちた顔をしている。「よかった」と一言だけ呟く。
アパートに到着するハディージャ。
ベットに腰を掛け、ヒジャブを外して、静かにベットに体を鎮める。
ハディージャはすぐに起きてキッチンの灯りをつける水を一杯飲み、また身支度を始める。リビングルームの灯りを消して、仕事に出かける。
暗い部屋の外から街の音が鳴り響く。サイレンの音、鳥のさえずり、子供たちの声。部屋はすこしずつ明るくなり、完全に明るくなった時 画面に見覚えのある風景が広がる。
白い砂浜、青い海、椰子の木。
海辺に向かって走る若い男女。服を脱ぎ捨てて海に飛び込むカップルたち。そんな仲間を見つめてほほ笑む娘のローラ。
淡い西日に照らされる 風に揺れる髪 真っ直ぐ前を見る
監督 バス・ドゥヴォス
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感想
主人公の「ハディージャ」は作品の最後に「ヒジャブ」が登場しますのでイスラム系の女性という設定です。
その名前や衣装で気が付くかもしれませんけどもね。
ベルギー(ブリュッセル)の深夜、女性は安全な環境で過ごすことが可能なのではないかと感じました。
ベルギー(ブリュッセル)は、「紅茶」をいただく習慣なんだと思いました。
寝静まった深夜の街をゆったりと歩いていく映画です。 閑散とした音や...
寝静まった深夜の街をゆったりと歩いていく映画です。
閑散とした音や、冬の寒い空気の感触、そして深夜特有のワクワク感がリアルに伝わってくる映像に癒やされました。
波乱万丈の大冒険は一切起こりませんが、
主人公が道々で出会う街の人々との小さなやり取りに得も言われぬ温かみがありました。
のんびり眺めながら、深夜散歩を楽しむ作品だと思います。
リラックスし過ぎて少し眠くなるかも笑
シャンタル・アケルマンを思わせた。
冒頭、あの「ジャンヌ・ディエルマン」の続きを見ているかのような固定カメラの長回しで室内を捉えていた。
中年の女性清掃員ハディージャが遅い仕事を終えて乗り込んだブリュッセルのメトロで居眠りしてしまう。眠りに落ちると、一瞬音が消え、南の島の鳥の声が聞こえてきて、つかみは満点。どのようにghost(亡霊―まぼろし)と結びつくのかと思い見始める。しかし、ストーリーは良くなかった。私は、プロットには厳しいのかもしれない。
終点で目を覚ました彼女は、ショッピングセンターを開けてもらってATMに行くが、残額不十分で現金引き出しはできない。タクシーには乗れないので深夜バスに乗ろうとするけど、運行中止。第一、郊外から都心に向かう深夜バスなんてないよ。仕方なく歩き出す。特に急ぐわけでもないようだ。行き倒れの路上生活者を救急隊員に引き渡したり、以前に家政婦を務めていて今は空き家になっている邸宅を訪ねて、窓越しに不法侵入者を見つけたり、かと思えば、救急病院に押しかけたり、深夜まで開いているコンビニでミント・ティーにありついて、女性店員に家まで送ってもらう途中、スマホに出なかった17歳の娘が、男友達たちと路上で飲酒するところを見つけて尾行したり。とても、次の朝から仕事がある人には思えない。
人の目線より、やや高いところから、車が走るスピードで撮影が行われたことにも、やや戸惑う。
ハディージャは小柄で、髪を覆うスカーフをしていて、肌の色からも、マグレブ移民のムスリムと知れる。講習で習ったようなフランス語をゆっくり話す。外国人ばかりの街とはいえ、マイノリティーだからある程度、大事にされ、それに慣れているのか、結構図々しい。
一時、テロの巣窟と言われたモーレンベーグという地名も聞こえるから、監督のバス・ドゥボスは、バランスを取っているのかもしれない。こんな普通の移民もいるんだよと。最後に南の島が出てくる。
一番よかったのは、エンドクレジット。全編、フランス語だったのに、ここだけ英語。A film byと出て、一人一人のスタッフの名前が続く。極めて読みやすい。バス・ドゥボスは、オランダにも近いアントウェルペン州の出身だから、フラマン語(もう一つの公用語)にも、英語にも強いのだろう。
【終電を乗り過ごした老掃除婦が”偶々手に入れた非日常”の夜中の大都会を彷徨い、様々な人々と会い、彼らの実情の姿を、虚飾を廃して描いた、バス・ドゥヴォス監督の独特の静謐な作風を堪能した作品である。】
ー フライヤーには、この都市がブリュッセルとあるが敢えて記さない。老掃除婦の名もハディージャとあるが、これも又記さない。
バス・ドゥヴォス監督作品に固有名詞は不要と思ったからである。
■2024.4.30追記
尚、私は面白く鑑賞したが、起承転結のある物語を期待すると、”何だ、この作品?となるので、敢えて追記します。寝不足で鑑賞するのも止めた方が宜しいかと思います。ー
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、老掃除婦が住む居間を固定カメラで捉えている。部屋は明るい状態から徐々に暗くなり、最後は夜になる。
長廻しで撮ったこのシーンがラスト、全く逆パターンで映される。巧い。
・終電を乗り過ごした老掃除婦は途方に暮れながらも、街を歩きショッピングモールの守衛の青年に頼み中に入れて貰いATMを使おうとするが、残高不足と出る。
老掃除婦は青年と何気ない会話をして別れる。
ー ここから、二人の間に何も発展していかないのがバス・ドゥヴォス監督作品の特徴のようだ。-
・老掃除婦は道端で寝ている浮浪者を気遣って救急車を呼ぶ。
・老掃除婦はコンビニでお茶を飲み、店員と少しの会話をし家に送って貰う事になる。だが、途中で娘を見て車を降り、こっそりと娘の様子を伺う。
娘は若い男達と楽しそうに話しているが、酒を呑んでいる事に気付き、老掃除婦は警官に注意を求める。
■と言う感じで、老掃除婦は”終電を乗り過ごした事で手に入れた非日常”を楽しんでいく。
こういう風景が淡々と描かれるのだが、優し気なアコースティックギターの音色も画にマッチし、観ていて飽きない。
<漸く家に帰ったと思ったら、すぐに朝が来て老掃除婦はヒジャブを被って仕事に出掛けるのである。
再び、日常に帰って行くのである。
ラスト、イキナリ椰子の木が並ぶ海岸で、老掃除婦の娘は遊び仲間達と戯れている。
不思議だが、嵌ると癖になりそうな作品である。>
おせっかいなおばさん、早く家に帰って寝ようよ
ベルギーのブリュッセルで清掃作業をしてるハディージャは、一日の仕事を終え、最終電車で帰宅途中にうたた寝してしまい終点で目を覚ました。家に帰る手段を探すが、娘は電話に出ないし、タクシー代が無かったためATMに行くが残高が無く、深夜バスを教えてもらったが故障で運休となり、徒歩で帰るしか帰宅方法が無くなった。寒い真夜中のブリュッセルの町をさまよい始めた彼女だったが、その道中で路上生活者を発見して救急車を呼んだり、かつて家政婦として訪れてた家に寄ったり、ガソリンスタンドに寄って紅茶を飲んだり、夜中の旅を始める、と言う話。
最初に部屋が映って、また最後に同じ部屋が映ってたが、何のことかよく分からない作品だった。
娘を見つけたなら声掛ければ良いのに、とか、元家政婦の家にいた男性は何?とか、答えを教えてくれないクイズ番組のようだった。
最終列車で寝過ごし終点まで行った経験は何度もあるが、お金がない時は朝まで駅のベンチで寝たり、遠い時は15kmくらい歩いて帰った事がある自分としては、何してるんだろうとしか思えなかった。
おせっかいなおばさん、そんなことせず、早く家に帰って寝たら?という感想。
ラストに娘が行く海はいつのこと?そしてどこ?
難しい。
最終電車の終点で目を覚まし…
夜のベルギーはブリュッセルを、様々な人に出会いながら家を目指しますが、
映像が非常に美しくて、夜のブリュッセルに恋しそう(笑)
『世にも奇妙な物語』の奇妙さが軽い時にありそうで、少し不可思議な感じが好みです。
考察系でもあります。
これは気に入りました。
もう1回観たい♪
闇に潜むなにかのちから
終電で寝過ごして歩いて家に戻る、だけなのに、その道程は夢のなかに迷い込んだかのようで、郊外のなんてことない風景も、偶然の人とのすれ違いも、ひとつひとつがふかく印象にのこります。きれいな映画。
日常に潜む非日常を見事に切り出した作品
電車で寝過ごすという“非日常”から主人公ハディージャのいわゆる冒険が始まります。
電車を寝過ごすという日常からちょっと逸脱したところからストーリーが展開するのですが、
主人公ハディージャに関わる人たちの、実に温かみのある接し方に感銘を覚えましたし、
リアリティのなかにもファンタジーも入り込んでおり、実に豊潤な映画作品に仕上がっていると感じました。
ベルギーの移民が主人公ではあるものの、関わる人たちのなんと優しいことか。
こういう世界が全世界に広がれば、真の平和が訪れるのではないかとも思った次第です。
ラストシーンはどう理解すればよいのか戸惑いましたが、
深く考えずにタイトルと一致するシーンであったのだろうと思いました。
バス・ドゥボス監督、恐るべし。
『Here』も素晴らしかったですが、本作も本当に素晴らしい作品でした。いろいろと思いを馳せることのできる映画って
本当に後をひいて記憶に残りますね。
「Ghost」の意味するものは?
作品内のクレジットではタイトルは「Tropic」しか表示されていない(はず)
え「Ghost」どこに行っちゃったんだろう、ということでいろいろ調べてみたのだけどよく分からない。海外のポスターとかでも「Ghost Tropic」と表記されているので邦題のみ変えたということではないらしい。
一つ考えられるのは、この映画のクレジットでは役名もしくは担当業務名と、キャストもしくはスタッフの名前が時間差で表記されるところから、「Tropic」すなわち回帰する人は「Ghost」ですよと言っている、でもタイトルを出すときには「Ghost」自体を表示することもやめちゃったのではないかと。ゴーストだけに消えちゃったということなのだろう。
この映画の夜の光景はとても切迫感があるというか、深く暗く寒い夜が表現されている。16mmでこの闇のシーンを撮影するのは大変だったんだろうなと思う。
そして、そこに居る人達、主役のハディーシャが出会う人たちは、ハディーシャの娘も含め何かふわふわして輪郭がはっきりしない存在なのです。
この映画が、ロードムービーであるとか、人情ものであるとか評する向きもあるが私はそれは違うと思う。
この映画はハディーシャが夜そのものと出会う話であり、出てくる人たちはすべて夜がみせる幻影なのだろう。そして、ハディーシャが夜を抜け出したことを示すものはなにもない。最後に出てくるビーチのシーンには彼女は出てないしね。まあいろいろな考えが浮かんでくる作品でした。
日常からふとはみ出してしまった瞬間を新鮮に
ジャック&ベティにて、「Here」「ゴースト・トロピック」と連続鑑賞。
どちらも、しみじみと、ありふれた人生の、ふと訪れた場面の感情や機微を感じさせるような、繊細な語り口の映画。撮影や音響が素晴らしく良くて、感情に直接訴えかけてくる。
日常からふとはみ出してしまった瞬間を新鮮に描いているので、この手法でならばいくらでも撮れると思うが、次作ではなにかもう一歩踏み出すものが欲しいかな…
フランス映画とは…
フランス映画とは過去から合わないのだが…やっぱり
地下鉄で眠りこけて、終着駅まで行ってしまった死別した清掃員(元家政婦)おばちゃんの帰宅までのロードムービー
途中人の優しさに触れ、ほっこりする場面も有るが…
一人はあまりにも面白くなかった為か、途中退場 更に周りからは鼾のオンパレード
これだけ言えば…😞金返せ‼️と言いたい人もいたと思います
真夜中のロード・ムービー
寝過ごし、目が覚めたら終点。さぁ、どうする⁉️
そこから彼女のアドベンチャーが始まる。都会の夜は沢山の人々が静かに働いて支えてくれています。ギターの音色と彼女のちょっと舌足らずで可愛いフランス語が癒し系でした。
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