「80年代はじめのアイルランドの田舎町。 子だくさんの夫婦に、またひ...」コット、はじまりの夏 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
80年代はじめのアイルランドの田舎町。 子だくさんの夫婦に、またひ...
80年代はじめのアイルランドの田舎町。
子だくさんの夫婦に、またひとり子どもが生まれる。
年長の少女コット(キャサリン・クリンチ)は物静かで、父親からは邪険に扱われている。
母親が出産を控えた夏休み、コットはさらに田舎で暮らす伯父伯母夫婦のもとに預けられることになった・・・
というところからはじまる物語で、はじめはコットも伯父伯母夫婦も慣れない仲だったが、伯母はなにかにつけてコットの居場所を与えてくれるようになる。
というの、夫婦には息子がいたのだが、事故で失くしてしまったからだった・・・
物静かな少女コットのひと夏の出来事が、フィルム撮りの柔らかい手触りの映像で綴られていきます。
水汲みや郵便物の確認などの些細な家事がコットの居場所を与える・・・
家族なのだから、ちょっとした家事やなんかを子どもたちもやった方がいいよね。
ま、大人の眼の行き届いている範囲で、ということになるのかもしれませんが。
で、思い出したのは、自分ちののこと。
店舗兼住居で両親は商売をやっていたのだが、わたしの下に3つ違いの妹がいて、その2年後に弟が生まれた。
商売をしていると、家事・育児は大変で、弟が生まれたばかりの頃かもう少し後かは忘れたが、わたしの妹は田舎で暮らす母の姉のもとに預けられた。
伯母のもとには同じ年頃の姉妹がいたので映画とは異なるのだが、妹の田舎の伯母のもとでの生活もコットと同じようなものだったのかしらん。
と、そんなことを思い出した次第。
映画は、瑞々しい映像で綴られる何気ない日常の物語。
全編、アイルランドの言葉がしゃべられており、ラジオなどからは英語が流れるあたりが興味深い。
「THE QUIET GIRL」という原題に『はじまりの夏』とつけた日本タイトルは秀逸。
ラストショットにつながるポスターデザインも秀逸。