「邦題がダサい。 タイトルのせいで見逃すところだった。」コット、はじまりの夏 三月☆うさぎさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題がダサい。 タイトルのせいで見逃すところだった。
ダメおやじが、本当に苦手だ。
アル中やらギャンブル中毒のろくでなしの父親が登場すると、心がキューッと寒くなる。
そして大抵母親は、優しいけれど、貧乏で苦しい毎日に疲れきって、子どもに愛を注ぐ余裕が無い。
コットは、まさにそういう家庭の少女だ。
愛情もかけられず、人から大切にされない。
とても静かなので、いてもいなくてもいいと思われている女の子。
最初は、そんなコットと一緒に縮みこんでいた気持ちが、次第にほぐれていくような、気持ちの良い映画だった。
少し昔のアイルランド。日常的にゲール語が使われていて、子どもたちは学校で英語を「習う」
アイリーンの話すゲール語は、響きが豊かでとても美しいと思った。この俳優さんは、ゲール語話者なのだろうな。
無伴奏で歌唱する彼女の歌(シャーン・ノース?)もめちゃくちゃ美しくて、うっとりせずにはいられない。
この歌にのせて、コットが少しずつ心を開いていく部分がとても素敵だった。
派手さも意外さもないけれど、静かで優しい映画でした。
ただアイリーンもショーンもとても優しいし、コットに愛情も注いでいるけれど、それは「他人」の愛だなと思う。
自分の子ではないから、期間限定だから、可哀想な子だから、無制限に優しく癒してあげる愛情だ。
2人は、次第にコットのことを家族として、愛するようになっていったのかもしれないけど
愛のことはよく分からない。
私は、コットは、あのクソ親父の元に帰って行ったのだろうと思う。
ショーンとアイリーンの家は彼女にとって、とてもとても大切な場所になったんだろうし、この先、彼女の心の拠り所になっていくんだろう。
全ての愛されない子どもが、そういう場所を持てればいいのに。
邦題についてなのですが、広告であらすじが予想できて、てっきり「コット、夏のおわり」と思っていました。見た後に感想を言ってる時に、人に指摘されて気づいたくらいでした。
コメントありがとうございます。
コットは、父親の愛情を知らないので、「お父さん」という言葉に肉親の愛情的なものが含まれていないのかもしれないし、それ以外に年の離れた男性に親しみを込めて呼びかける言葉を知らないのかもしれないと、ふと考えたりします。
こんにちは
>自分の子ではないから、期間限定だから、可哀想な子だから、無制限に優しく癒してあげる愛情だ
そうかもしれませんね、だからショーンとアイリンは積極的に自分たちが引き取って育てると言わないのかも
私もダメおやじが出てくると心臓がきゅーっとなります。
「おとうさん」という単語を聞くだけで心臓がきゅーっとなったので、コットのように大好きなおじさんを「おとうさん」と呼んだりしませんね、私は。