「共生がテーマだが実に難しいと実感」猿の惑星 キングダム ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
共生がテーマだが実に難しいと実感
猿の惑星の過去作は観ずに鑑賞しました。
猿が支配する地球という時代ですが、
知性のある猿といっても人間っぽくはなく、猿が進化したような造形です。
冒頭から息をもつかせぬテンポの良い展開で、ずっと面白いし目が離せないシーンが目白押しです。
前半1時間はあっという間でしたね。
そこから、主人公ノアとオランウータンのラカとの出会い、そしてノアのまわりを前半からチョロチョロしていた
フレイヤ・アーラン演じるメイと出会い、ノアに徐々に「人間を受け入れる」変化が見られ、3人の旅が始まるんですね。
このあたりは、ノアの気持ちと行動の変化が見どころで、ラカ・メイそれぞれとの良い関係性が築かれていくところに
温かさを感じましたね。
メイは、前半は動物的な動きで、ノアたちの食べ物を盗んだりして野生の人間的なキャラづけなのですが、
実は知性が高く・・・というか、現代の人間そのもので、凛とした佇まいと確かな意思みたいなものも感じられ、
只者じゃないという雰囲気は満々しています。
ただ、中盤から後半にかけて、ちょっとスローな展開でしたし、
もうちょっとコンパクトにできたんじゃないかと思いました。
本作145分の超大作ですが、120分に縮めることもできたんじゃないかと思います。
この長さがネックなんですよねー。中だるみしてしまいました。
そして後半は、メイが主人公か!?といっても過言ではないほど、メイの独壇場になっていきます。
人間の残した謎の軍事施設で暗躍、そしてノアと仲間たちvsプロキシマス・シーザー&シルヴァとの戦いで
イーグルのサンに助けられ勝利します。ここではカタルシスを感じることができて、実に映画的な面白さを味わうことができました。
ラストでのノアとメイの対話。ここは深かったですね。
メイはノアの姿勢次第では、ノアを殺すつもりであることがわかりますが、結果、ノアとは共生可能と判断したのでしょう。
そして最後の最後は、メイが謎の軍事施設から盗んだロック解除装置を、また人間が住む基地的なところへ持ち込み、
その基地的なところにいる人間がアメリカに住んでいる人間との通信をするところで終幕。
結局、人間は退化して野生動物的になっている人たちもいれば、現代の人間のような人たちもたくさんいるっぽい。
ということは、猿が支配する猿の惑星とは言えないんじゃないか?
というオチだったかと思います。
続編をつくれる終わり方ですね。
それにしても映像と音響が素晴らしいですね。ほぼCGかと思いきや、ロケ撮影をしているので、圧巻の自然の映像と
CGの掛け合わせに感動しました。Dolby Atmosで観てよかったです。
というわけで、私の大好きなフレイヤ・アーランがもはや主役級の活躍をしてくれているので、大満足だったのですが、
やはり上映時間の長さはネックでした。それがなければ4点をつけていたと思います。
トミーさん、ありがとうございます。あらゆるアクション映画のCGについて言えることですが、若干ありえない動き(スピードとかカクカクした感じとか)をするのを見たときには、ゲンナリしちゃいます。贅沢ですね(笑)