「家族とは? というデリケートなテーマを扱っていますが、重苦しいだけの展開にはせずコミカル要素もふんだんに盛り込んだ人間ドラマの秀作です。」あまろっく もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
家族とは? というデリケートなテーマを扱っていますが、重苦しいだけの展開にはせずコミカル要素もふんだんに盛り込んだ人間ドラマの秀作です。
最初は「鶴瓶さんが出ている作品」程度の認識しか無くて
鑑賞予定もなかったのですが、作品紹介を読んでいる内に
どうにも ” 観なければ ” な気になってしまいまして。
( ※ 私的に良くある話 ・_・; )
気になった作品ならば、観れる時には観ておきましょう。
という訳で鑑賞です。
さて。
舞台は兵庫県尼崎市。
小さな町工場を営なむ父の元に、一人娘が帰ってきた。
娘の表情は渋い。理由は簡単。務めていた会社を
リストラされたからだ。 う~ん。
家の玄関に着いた。
戸を開ける …と 満面の笑みの父の姿。
そして手書きの横断幕。
『 祝 リストラ おめでとう 』 ← 記憶曖昧 ・_・;
憮然とする娘に父。
「人生で起こることは何でも楽しまな」
笑顔の父。憮然とする娘。
そして現在。
父:近松竜太郎(笑福亭鶴瓶) 65才。社長。独身。
娘:近松優子 (江口のりこ) 39才。無職。ひきこもり・_・;
相変わらずの父と娘。…のハズだった。
ある日。食事の最中。
優子に話しかけた最後にオマケのように付け加える父。
「--で、今度再婚します」
「… えっ?」
一瞬固まる優子。
” 本気? 冗談? 何なの? ”
冗談ではなく、父が再婚相手を連れてきてしまう。 わー
” 家族揃っての夕食が夢だったんです ”
そう言う若い女性。
嫁:近松早希 (中条あやみ) 20才。市役所勤務(?)
自分よりも遥かに年下の ” 母 ” が現れた。
どうする? ⇒ 現実から逃避する。
屋台(おでん屋)のおやじ相手にクダを巻く優子。
おやじと言っても小学校の同級生。同い年だ。
割と遠慮なく、辛辣な意見をぶつけてくる。
” どちらかというと、優子の方が邪魔者では? ”
改めて突きつけられる現実に、ゆらゆら揺れる優子。
果たしてこの3人の家族の行く末は?
というお話です。
コミカルな場面をふんだんに盛り込みながら
3人それぞれの想いをキチンと描き切ったとの印象。
しっかりとした人間ドラマでもありました。 ・_・はい。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■大事なコトはどさくさ紛れ
大事な事を、関係ない話題の最後におまけのように
付け足して伝える父と娘。・_・;
再婚することを早口で娘に伝えた近松竜太郎。
結婚して海外に行くと早希に伝えた近松優子。
…うん。 親子だ。間違い無い。
■屋台で乾杯
おでん屋を営むのは優子の小学校からの同級生。
人との関わり方がヘタで、孤立しがちな優子のことを
憎からず想っていたのかな …と想っていたのですが
優子にお見合いの話にも、妬く素振りも特になく …あら
優子にとって「溜め込んだもの」を吐き出せる場所が必要で
それがこの屋台なら、この先も提供し続けてあげよう。
そんな風に考えたのかなぁ。
こういう男、キライじゃないです。
■あと30年は働いてな
と、竜太郎に頼られたベテラン工員が高橋鉄蔵さん。
” 俺をいくつやと思てんねん。八十過ぎとんのやで "
” 同い年くらいと思っとったわ ” と竜太郎。
80+30=110。 うーん。
それに、竜太郎さん。年齢設定が65です。
65+30=95。 う~ん。
人生100年の時代。(らしいです)
そこまで元気に働ける程に健康なら、それは幸せなのかも
…とは思いますが。 …う~ん。
※と、ここまで書いた後で何気なく公式サイトを見に行った
ところ、高橋鉄蔵を演じられた佐川満男さんの訃報が。えっ
先行上映の開始日に亡くなられたとか…。何ともはや…。
お悔やみ申し上げます。
◇最後に
尼崎ロック。=あまろっく。
尼崎の街を洪水から護る最後の砦 だそうです。
劇中で幾度も
” オレはこの家のあまロックや ”
” 普段はどんと構えて動かんものや ”
などと口にしていた竜太郎。
台風の接近で家が水に流されるかも… 大ピンチ。
一晩明けたら全く被害無し。 わぉ。
あまろっくは本当に、最後の砦だった。
それは、とりもなおさず竜太郎の事も肯定しているような
そんな事を感じるエンディングでした。
近松家の未来に乾杯。 ・_・
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。