「教育の意味」型破りな教室 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
教育の意味
セルビオ・ファレス先生は、
今もモデルになった学校で教えている・・・
出世して校長になったり、教育委員会のお偉いさんさんに
なったりしていない。
もちろん市長に立候補もしてない。
現場・・・子供と触れ合い、今も小学校6年を担当する。
1人の教師が真の教育者であることは、残念だが非常に少ない。
その稀な例だからこそ、映画になり、わたしたちを感動させるのだろう。
2012年のメキシコ。海辺の貧しい村。治安も最悪だ。
生まれた故郷のその町に、ファレス先生が赴任した。
教師だってもちろん管理社会の一員である。
守るべき指導要綱でギシギシに締め付けられている。
(日本の教師がそうであるように・・・)
ファレス先生はその決まり事をことごとく破っていく。
床に座り車座になってディスカッションを重ねる。
《生徒に考えさせる教育》
問いを投げかけて、考えさせる。
★浮力とは、
★重力とは?
★引力とは?
☆船は重いのになぜ浮かぶか?
★答えは、教えない・・・考えさせる。
だいたいに、浮力、重力、引力を、
簡単に教えることなど不可能に近い、特に12歳前後の子供に。
パロマのように天才的な頭脳の子もいれば、普通の子供もいる。
そこで、その不思議を自分で解決しよう・・・その意識が芽生える。
自発的な学習・・・習う、あるいは答えだけ知る・・・学習から、
自分なりの答えを、試行錯誤して探す子供が現れる。
そして調べること。
先生はPCで調べようとする。
しかし学校のPC室は鍵で閉ざされ、校長に理由を聞くと、
“設置してすぐに盗まれた“
では図書室だ、
司書は事前の予約が必要とほざくが、ファレス先生はもちろん
強行突破する、
子供たちの中には【哲学】に興味を持つルペがいる。
勉強好きな女の子だ。
哲学書を求めて大学まで出向き、何冊も重い本を借りる。
夢は教師になること。
しかし彼女には生まれてくる弟妹がいて、母親から、
《来年は子守りを頼むから、学校には行けないよ》と、
告げられる。
そんなルペが、ファレス先生の授業を視察にきた教育庁の係員に、
「中絶」について語るシーンは、心が痛む。
貧しさを助長する妊娠・出産は避けるべきだから、中絶は
悪いことではない。
しかし生まれてきた弟妹の命はかけがえがなくて、
生まれなければ良かったとは、思えない。
(のような趣旨)
メキシコはカトリック教徒が77%、中絶は禁止だ。
男の子の中から「コンドーム」とハヤス声が聞こえる。
教育庁のお偉方は、“中絶!!コンドーム!!の声に、
驚き眉を顰めて、ファレス先生を教育者にふさわしくないと
決めつけるのだ。
★パロマの夢
海辺とは思えないほどのゴミや流れ着いている。
ゴミ捨て場になっている浜の掘建小屋に病気の父親と暮らしている。
ゴミの山は、父親のゴミ拾いの堆積物かもしれない。
そんな貧しい生活の中で、パロマは、密かに勉強していた。
後で分かるのだが、天体望遠鏡を自力で組み立てている。
パロマに憧れるニコ。
ニコは家族や身近な人間が危険な仕事をしている。
仲間に入るように強く勧められている。
ある日、ニコのカバンの中身を調べようとしたファレス先生は、
開けるのを思い留まる。
情けをかけたのだ。
パロマの天体望遠鏡は水平に置いて覗くと、テキサス州ヒューストンの
ロケット打ち上げ場所が見えるのだ。
メキシコとヒューストンはそんなに近いのか?
国境を超えて密入国するメキシコ人を描いた映画は数多くある。
♠︎♠︎調べると自動車産業が盛んで資源も多い、農産物も豊富だ。
なぜそんなに国民は貧しいのか?
麻薬に走るのか?
わからない。
♠︎♠︎政治が悪いのだろうか?
ニコに望遠鏡を覗かせるパロマは宇宙飛行士を夢を
見ているのかもしれない。
試験の大嫌いなファレス先生。
人に点数を付けてランク分けすることが耐えられないのだ。
しかし点数を付けなければ、優劣の決められない事柄も多い。
入学試験などがそうだろう。
《ENLACEという全国学力検定試験》
嫌がるファレス先生の6年生クラスも、試験を受けることになる。
今までが、全国最下位だったのだ。
先生たちがボーナスを得るためにも、受けなければならない。
カリキュラムを無視して、試験勉強を全くしてこなかった6年生。
しかし試験結果は意外なものだった。
総じてみんな優秀で、特に数学は上位0・1%に10人が入り、
パロマは全国学力第一位に輝く。
実話をもとにした映画なので、エンドロールにファレス先生と
パルマの実物写真が流れる。
2人とも美しくて知的で聡明な顔をしている。
パルマは“次世代のスティーブ•ジョプズ“の見出しで、
タイム誌の表紙を飾る。
パロマは募金で家が立て変わり、勉強をする環境が整ったようだ。
★ニコ。
悪い仲間に脅されて、危険の迫ったパルマを助けて、
命を落としたのだろう。
ファレス先生は、
あの時、ニコのカバンの中身を調べて警察なりに届けていれば
ニコは死なずに済んだかもしれない。
心の片隅に、家族を巻き込みたくない気持ちも、あっただろう。
ファレス先生は後悔して生涯自分を責めるだろう。
この映画は全国最低レベルの学級から、天才児が現れる、
ファレス先生の型破りな教育の成果に驚くし、
とても感動的な映画でした。
流れるメキシコ民族音楽も哀切を帯びながらも明るくて、
美しい余韻の残る映画でした。
しかしこの子たちが、明るい未来を手にしたかは?
未知数です。
こんにちは^ ^ 遅くなりましてすいません…イイね有難う御座います‼︎
ファレス先生と校長先生の関係性が心地良く感じられて好きな映画でした✨ファレス先生の型破りな教え方があったからこその子供達の成長でしたね(T^T")
琥珀糖さん
本当に。。
どちらかというとアンチ自◯党なのですが、一見若い世代を優遇しているように思える( ←財源は限られている為 。)某政党が、甘い政策で議席を倍増しましたが、結果若い世代の皆さんの首を絞める事になるのでは、と危惧しています。
特に政治家の皆さんには、ウケ狙いではなく、10年、20年先の日本を見据え、政策を考えて頂きたいものです。
琥珀糖さん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
今世界のあちこちで紛争や戦争が起きていますが、『 子供たちの明るい未来の展望 』にではなく、大人たちの欲望や支配欲を満たす為のみに重きを置いている国が多いように思います。
琥珀糖さん
琥珀糖さんがレビューの最後に書いていらっしゃる『 この子たちが、明るい未来を手にしたかは 』、その点が私も気になりました。
子供たちが置かれた環境によって、努力を重ねても手が届かなかったりと、立ちはだかる厳しい現実があったりしますので。