「期待度○鑑賞後の満足度⭐ 何も言うことがない。予定調和的な処もあるが、それさえも美点に思える。人類の未来にとって一番大切なことを教えてくれる。ずっと泣いてました。」型破りな教室 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度○鑑賞後の満足度⭐ 何も言うことがない。予定調和的な処もあるが、それさえも美点に思える。人類の未来にとって一番大切なことを教えてくれる。ずっと泣いてました。
①今日は朝ドラ『お結び』の今週分を一気観して散々泣かされたので、情緒的に「泣き虫」の日だったにのかも知れないけれども…
②とっても当たり前でシンプル過ぎて見落としがちなこと、それは、子供たちに接する大人たちが忘れてはならないのは、一番大切なのは国でも組織でも自分たちでもなく、子供たちであること、子供たち一人一人が自分たちには可能性があると信じてもらうこと、それに尽きることを教えてくれる映画。
③何より生徒たちが学び知る喜びを知っていく過程が観ていて楽しく嬉しい。
④私も60数年生きて来ましたから現実は甘くないことは十二分に分かっております。
それでも夢を見させてくれるのは映画の大きな力ではないだろうか。
⑤(拳銃が入っている)リュックを渡すように言われたとき涙をが流すニコが痛ましい。涙受けを狙ったありドラマならばニコは何とか足を洗う事ができた方向に話を持っていっただろうが、本作では安易なヒューマニズムを
選ばない。
結局ニコはセルシオ先生と出逢う前にはためらいなく進んだ道をやむを得ず選ばざるを得なくなるが、その入り口で好きな女の子を守るために命を散らしてしまった悲劇に心が痛む。
ニコの兄さんもニコを守るために相討ちになって命を落としたと信じたい。
しかし、そこまでニコを変えたこと、ニコがボートを治し塗り治りパロマ号と名付けたことに、セルシオ先生の教えが決して無駄ではなかったことがせめての救いとなる。
出来ればニコとパロマを乗せて海に浮かぶはずだった筈のボートが波を越えて沖に消えていくところを俯瞰で描くショットは、花啓く前に散って行ったニコへの鎮魂歌か。
⑥実話を基にしていると云ってもあくまで劇映画であってドキュメンタリー映画ではないので、ニコのエピソードは作劇的に脚色されたものだと察するが、現実の人間の歴史・社会ではニコやルぺのような子供たちの存在の方が当たり前であってパロマの様なケースは極めて稀であるに違いない(だから映画化されたのだろうし)。
だが、パロマがセルシオという教師に出逢えた事が彼女にとっての僥倖というよりも、受け持った生徒の中にパロマという生徒がいた事がセルシオ先生にとって僥倖と云うべきなのかも知れない。
そう、あくまで焦点を当てられるべきは子供たちであり、大人たちにとっての教師は子供たちであるという不思議だけれども正鵠な事実のメタファーだと捉えるのは穿ちすぎであろうか。
果たせなかったニコの夢の分もパロマが引き継いだ事も静かな感動を呼ぶ。
⑦マルチェロ・マストロヤンニを地味にしたような(失礼かな?)セルシオ先生役の俳優さんが実に良い味を出している。
セルシオ先生が「小さなお願い」を言い出す前の表情が印象的な、いつの間にかセルシオ先生のペースに引き込まれていく校長先生も
ステレオタイプと云えばステレオタイプであるけれども、これまた本作の中で良きアクセントとなっている。
⑧舞台である街がロケット打ち上げセンターが望遠鏡で見えるほどアメリカ合衆国との国境に近いというところで、トランプの“メキシコとの国境の壁”の事が頭を過ったけれども、アメリカ合衆国側にも事情のあることで、此れは此れで現実なんだよなぁ…