劇場公開日 2024年12月20日

「Viva Mexican Cinema」型破りな教室 ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0Viva Mexican Cinema

2024年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2011年頃のメキシコ、貧困と暴力が子供たちの間近にある片田舎の小学校が舞台。いわゆる貧困と教育という、子供達の可能性に対し、大人が課題だと分かっていながら、具体的な解決から目を逸らしがちなテーマ。しかしご安心を、実話ベースであるが、ちゃんと映画として「かわいく面白い」「あーやっぱりとそうなったか、と身につまされ」「最後はちゃんと、ほっとする」は成立しており、観客を選ばない作りとなっているので、鑑賞後も細かいところを思い出すゆとりのある映画。

後でちょっと自分なりに考えたエピソード、
「遭難船の救助ボートのエピソード」は、一見物理を通じ考える力の育成だけに目が行きがちだが、この物語の本質を冒頭で暗示している気がする。現在はどうだか知らないが、当時の教育政策という名の浮力を計算できる大人が少なく、救助ボートに乗れない子供たちがいる事を言いたかったのかもしれない。

「ゴミ山の上で天体望遠鏡をのぞき込むエピソード」カットは終始少年少女のやり取りにクローズされていた。望遠鏡のその先に金星か月かが見える映像でも出るのかなと思ったが、この映画はそんな些細な事は描かなかった。このカットは、少女は見えている星が少年には見えなかった。それはこの後の展開を暗示していていたのだろう。

映画として単純に見る事も出来るし、勝手深読みして妄想にふける事も出来た。なんといってもエピローグで明かすハッピーエンド実話系のノリ大好きです。メキシコ映画はほとんど見たことないけど、この作品は中々の傑作です。

ihatakaeight