「メキシコのリアルと世界共通の子供たちの無限の可能性」型破りな教室 椿六十郎さんの映画レビュー(感想・評価)
メキシコのリアルと世界共通の子供たちの無限の可能性
そう、子供たちの無限の可能性(ポテンシャル)は世界共通だ
そして、その可能性を大人の都合で型にはめて、数字で評価して
個々の個性や可能性に蓋をしようとすることも世界共通だ
数字で判断するのは社会や先生のエゴであり職務怠慢だが
個人個人と正面から向き合うことは先生にとってはとてつもない
エネルギーであることは間違いない
武田鉄矢さんの金八先生に当時中学生だった私は感動したものだ
それでも、「こんな先生はいない」とも思っていた 現実味は感じなかった
確かに日本では幻だったかもしれないが、映画の中の生徒も先生もひたすら
人間らしいリアルさにあふれている
それが、メキシコという国のリアルさも相まって、静かに闘うメキシコの先生の
子供たちへの愛情と、個々の生徒の抱える「現実」から打ちのめされるリアルに
見ている我々は感情を揺さぶられる
ただ、全員の生徒を救う事は出来ないこともリアルだが映画の中では
救われない生徒にも、「救い」が描かれていて涙が溢れながらも心が救われた
「誰がボスかを判らせてただ従わせればいい」
「あなたにその本はまだ必要ないでしょ」
「テスト対策の勉強だけ効率よくすればいいんだ」
私達の周りにあふれる、子供たちを「殺す」言葉にあふれる中
「君たちには無限のポテンシャルがある」
「宇宙飛行士にだって、哲学者にだって、彼女の夢を支える無二の男にだってなれる」
死んだ目の子供たちの目に光が輝く言葉がそれらをはじき返す力になっていく
彼女の名前が刻まれた小舟を、校長先生と一緒に海原に押し出すシーンが好きだ
生まれたばかりの末っ子の面倒を見るために試験を受けに行けない子供の目には
ちゃんと光が残っていることを描いているシーンが好きだ
ずっと、学校の外から、不思議そうに校庭の生徒の様子を見つめている子供が
最後に門の前に立って中をのぞいているシーンが好きだ
そして私が一番好きなのは、校長先生だったりする
いい映画だった