「【朝鮮王朝時代に鍼医となった、闇の中でのみ少しだけ目が見える男が見た、清から戻って来た王子に行われた恐ろしき事。今作は史実に基づいた歴史サスペンスであり、一人の男の生き様の変遷を示した物語でもある。】」梟 フクロウ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【朝鮮王朝時代に鍼医となった、闇の中でのみ少しだけ目が見える男が見た、清から戻って来た王子に行われた恐ろしき事。今作は史実に基づいた歴史サスペンスであり、一人の男の生き様の変遷を示した物語でもある。】
■1645年朝鮮王朝時代、8年もの間清に人質となっていた国王の嫡男、世子が王宮に戻って来る。国王仁祖(ユ・ヘジン)は、寵愛していた妾の進言や、自身の玉座に固執し、清との関係を深めるべきと進言する世子をお抱え鍼医イ・ヒョンイクを使い、鍼の先に毒を塗り、毒殺する。
お抱え鍼医の弟子ギョンス(リュ・ジョンユル)はその場にいたために、闇の中、微かな視力でその現場を目撃してしまう。
◆感想
・朝鮮王朝では、多くの毒殺事件が発生しているが、この映画が扱った事件もその一つである。
・ギョンスは、その見事な鍼治療の腕が認められ、王宮に鍼医として入るが、そこは権力抗争に塗れた魑魅魍魎が跋扈する世界であった。
だが、世子はギョンスの鍼医の腕を認め、彼の為に文字がもっと良く見えるようにルーペを上げたりするのである。
・王がお抱え鍼医に世子を毒殺させるシーン。お抱え鍼医は1本だけ毒の付いた鍼を世子の頭に残してしまい、ギョンスはその鍼を抜き取り部屋を脱出する。
・ギョンスはその事実を王宮内で権力を誇るチェ大監に進言し、王が鍼医に渡していた毒殺の指示が書かれた紙を渡すが、チェは“王の字が違う。”と言って否定する。王は左手で指示書を書いていたのである。
・更に、世子の息子スクチョルがイ・ヒョンイクの”治療”を受けていると知ったギョンスはスクチョルの身体に刺さっていた毒鍼を抜き、スクチョルを背負って逃げ出すのである。
■ギョンスが王の右手を麻痺させるために行った鍼治療。王は弔辞を左手で書く。ギョンスはそれをチェ大監に渡すが、王と話しを付けていたのか、反乱を止める。
だが、ギョンスは皆の前で国王仁祖が世子を毒殺した事を告白するのである。
・斬首を免れたギョンスはスクチョルと共に再び村で鍼医として仕事を始めるが、ある日王宮から使者が来る。
国王仁祖は孤独な中、精神を患い臥せっている。
ギョンスは、躊躇なく王の身体に毒針を打ち込み王を殺した後、その場を去るのである。
<今作は、自分を卑下していた盲目の鍼医が宮廷内の恐ろしい事実を知り、最初は怯えていたモノの、徐々に男としてやるべきことを自覚し、自身を可愛がってくれた世子の仇を打つ物語なのである。
それにしても、チェ大監の強かさや、世子の妻の最期などは、あんまり気持ちの良いモノではなかったかな。
何処の国でも、毒殺って昔からあるんだねえ・・。>