梟 フクロウのレビュー・感想・評価
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ちょっと物足りない。なんでかな。
韓国の時代劇。新人監督のデビュー作。で監督自らのオリジナル脚本。
ただこれは、史実に基づく新解釈。それがオリジナル。
結構良く出来ていて面白い。
ただ、ちょっと物足りない。なんでかな。
面白くなりそうな要素がいっぱいあるのに、開花せず終わった感がある。
もっとゆったり時間を取って描いた方が、と思う。連続ドラマにして数話で描いた方が良かったのでは?
韓国のこの頃の話(歴史物)は、韓国ドラマでもよく見たが、この時代(「明」から「清」に変わった時代)は、地政学的に中国の属国としてしか生きられない。だから、国内でもいろんな派閥があって、次の王は、誰にするかで裏切りや、裏切りではなくても筋を通すという形で一瞬にして味方が敵になったりする。今回もぎりぎりのところで主人公側は粛清されてしまう。一人主人公は、4年の歳月を我慢しひっそりと生き、ラストに復讐する。その復讐がカタルシスが感じられない。なぜだろう。やはりじっくり描いていないので落ちないのか。それとも私の感性のなさか。
目が見えない主人公の一部始終に、目が離せない展開
全部感染症にするのはコロナの影響か?
1645年の朝鮮王朝。盲目の鍼医ギョンスが登用され、師匠と呼ばれる鍼師の元、宮廷内で鍼治療を行うこととなった。1637年、南漢山城で屈辱を味わった経験から清の支配を恨んでいる仁祖。そこへ清での8年の抑留生活を経て息子・昭顕世子が帰国する。世子は清での文化に馴染んでいて、言わば親清派だったが、仁祖は明と手を組んで清に逆らおうとする親明派。可愛い息子であるはずが彼を葬ろうと企てていたのだった・・・この仁祖の恥辱とも言える史実を描いたのが『天命の城』(2017)だ。
御医イ・ヒョンイクが世子を毒殺した光景を同席していた盲人ギョンスが“目撃”したのだった。当然盲目であるから見えていないと思っていた御医。しかしギョンスは暗闇では少し見えていて、殺人現場での証拠を探し出そうとするのだった・・・しかし、現場から逃げるときに足を怪我して追われる立場に・・・といった内容。
歴史ものとしては物足りないし、目が見えることがバレては弟も殺される可能性があるという面倒くさい設定。世子の妻が味方になってくれたのに、彼女は事情を察して彼を庇ったようなかたち。さらに仁祖王に対して畏れ多いといった感情から、簡単に王が犯人であると右手を麻痺させる鍼を打ったりとか・・・この辺りが絶妙でありながら、心理的には納得できない。
まぁお家騒動は古今東西どこでもあるのだからストーリーは理解できるけど、むしろアクション映画にしたほうが面白いかなぁ~と思った。尚、闇で見える盲人の設定についてはTVドラマの『恋です!ヤンキー君と白杖ガール』で知識を得たのでさもありなんといったところです。
あっぱれ!韓国映画
世界の一流映画監督さえも唸らせたかつての日本映画
でも最近では、薄っぺらい?有名人を登用してヒットを狙うようになってしまった
勿論、アニメや特殊技術では世界に冠たるものがあるのだけれど、浅い日本映画がなんと増えたことか
それに比べると、緻密で凄いミステリー映画を作ったものだ
ほんのひとつの史実からここまで巧みに広げて練り上げるとは‼️
これで上手く収まるぞ!と思ったら、どんでん返し
今度こそ!と思ったらひっくり返り
あ〜良かった!と胸を撫で下ろしたのも束の間、直後に掌返し
こんなにドキドキしたのは何年ぶりだろう
米映画のように、あり得ない偶然が何度も重なって起こる非日常のヒーロー物とは一線を画してる
命懸けで助けたはずの若殿は島流しにされ、世子嬪さえも殺されるなんて
でも最後はスカッとする
う〜ん
映画って本当にいいものですね
それでは、さよならさよならさよなら
良作サスペンス!!
恩に報いる
さすがの韓国作品。
二転三転と観る者の意表をつく展開に
ただただ驚きつつ、
先が観たくてたまらない感情が湧いて来る。
17西紀朝鮮、まだ王朝時代、
心臓に病を持つ10歳の幼き弟を持つ盲目の
鍼師の兄が宮廷に雇われ始めた頃からの話。
タイトルの意味が徐々にわかる。
盲目ながら鍼を打つことにかけては誰にも引けを取らないギョンス。
秘密があった。日中の明るい場面や薄明るい時には全くの盲目だが、真っ暗になると少しだけ見えるということ。
それでまだ字を覚えきれていないが、弟に身を案じる手紙をたどたどしく書いてもいた。
当時朝鮮は、隣国清からの侵略に備え8年前に世子を人質に出しておりやっと帰って来たばかりであった。世子妃や息子と会うのも8年ぶり。息子は、母である世子妃とも会うのは初めてだった。
その世子を利用し清の信頼を得て政権を手中に収めようとする領職一派が力を蓄え時機を見計らっていた。そんな一派が世子に話を持ち掛けても、世子は相手にしなかった。自分の父である王を倒すなど、と。
世子はよく咳き込むことがあり、侍医を読んで治療も受けていて、ある時、ギョンスの鍼の巧さに感心して話が弾む中、ギョンスの目が少し見えていることに気づく。嘘をついたと責めることなくもっと字を覚えろ、これでしっかりと見て覚えろ、と清から持ち帰った拡大鏡を授けてくれたのだ。
ある夜、体調悪いと知らせを受けて侍医と共に
世子の枕元に行き侍医が治療するそばに侍っていると、ろうそくが消えたのか真っ暗闇になり、 洗うよう手渡された手拭いを見ると血に染まっており驚くと共に
世子の顔を見るとどす黒くなってビックリ‼️
ギョンスの様子を見た侍医は、目が見えるのかと疑い
目の前に鍼を突き刺すようにするが、
様子がわかったギョンス微動だにもしないで
はぐらかす。
侍医はおつきの者たちに白々しく
落ち着いてお休みになられたと嘘を言い出て行く。
心配になったギョンスはこっそりと世子の寝所に赴くと息絶えていて頭には毒針が。
鍼を抜き戻ろうとするが、箪笥の蝶番で足に怪我を
してしまう。
毒針が無いことに気づいた侍医が探しに来て
ギョンスの後ろ姿を見てしまう。
世子は、目鼻耳から血を流し亡くなっていた❗️
宮廷、大騒動。
侍医が怪しい者を見たと言ったので、
門を閉ざし服を脱がし調べることとなった。
逃げ延びたギョンスは、必死に目を使い、
犯人を侍医だと名指しした告発文をしたため
証拠の毒針も添えて、
わかるように置いて来ようとしたところ、
世子嬪に見つかり自分が見たことを伝える。
初め疑っていた世子嬪に世子から賜った拡大鏡を見せ
信じてもらう。
体調の悪い王に呼ばれて鍼治療しているところに
世子嬪が証拠を持ってやって来る。
犯人の侍医がいる前で勇気を振り絞り、
目撃者が侍医が毒針を打つのを見、
証拠の毒針もここに、と、告げるのだが。
毒針を忘れよって⁉️と叫ぶ王の言葉に
首謀者が王であると気づいたギョンス、
世子妃に言うなと合図。
王は、
何ぃ、毒針だと〜⁉️と御簾を上げて出て来て
世子嬪が献上した食事に毒を入れおつきに
試食させ殺し、
毒を盛られたと叫び出す。
呆気に取られた世子嬪は捕まってしまう。
世子嬪は捕えられ、
ギョンスは逃げるが、追手に捕まりそうになるが逃げ。
領職らと相談して王が侍医と連絡用に
わざと左手で認めた書状を手に入れる必要があると
なり、侍医にバレ捕まえられそうになりつつ手に入れ
領職のもとに行き通行証を手に入れ逃げられたと
門を出た矢先、
若殿が倒れ王が侍医を呼んで治療、という言葉を
耳に挟み、若殿の危険を察知してしまい戻る。
寝かされ瀕死の状態になっている若殿から鍼を抜き、
抱き抱え逃げて行く。
たどり着いたところには王が潜んでいた。
しかし、領職も現れ王と手を組む算段をする。
扉を開け、
世子は感染症で死んだと叫ぶ王。
若殿は?
ギョンスは捕まった。
気の毒なことに世紀子嬪は処刑(毒殺)。
若殿は島流し。
ギョンスはすんでのところで首が繋がったか。
4年後、名医となったギョンスに王の治療が
命じられる。
王は感染症で亡くなる。
見事、世子や世子嬪の無念を果たしたのか。
自分の命の危機を感じれば、実子を手にかけることも
厭わない時代。
生死を史実に合わせているのでやむを得ないが、
息子の世子は、人質にまでなり国に尽くしさらに
父をちゃんと尊敬して思っていたのにもかかわらず。
父は玉座や命が狙われることばかりを心配し、凶行に
至った。
若殿は両親と穏やかに過ごすことはできず辛い時代。
ギョンスは、梟🦉で居ろうとしたが、
自分に優しくしてくれた世子やその家族のことが
忘れられなかったのだろう。
卑しいものは
闇を知るヒーローに
17世紀、朝鮮王朝仁祖の時代。有能で盲目の鍼医ギョンスは、王宮で働くことに。そんな時、清で人質になっていた世子が帰国。清で新しい時代に触れた彼は、清を敵視する父仁祖と対立してしまう。ある日、世子の体調が急変し怪死してしまう。毒殺の真相を知ってしまったギョンスは。
序盤のユーモラスな感じは、韓国映画の定番の面白さ。そして後半は、ハラハラ緊張感あるサスペンス。ギョンスが闇を知るヒーローになるのかと思いきや、そうはならず残念。たぶん史実を曲げるわけにいかなかったのか。結末には、無念を晴らすけど。
「暗くなるまで待って」を思い出しました。
見えない者だからこそ、見える闇の世界。
宮廷内ってこわい!
梟のタイトルどおり、暗いところだけ少し目が見える主人公。
弟の病を治すために宮廷内の医師に抜擢されるが、王様と世子の政権争い(というか王様だけがプンプンしてるんだが)で混乱を極める。
実の子であっても殺しちゃったり、駆け引きやら、立場の問題やら、タイミングの問題、いろいろあるけど最後は弟の病が治って、王様を世子と同じ目に合わせて毒殺するあたりはスカッとしたよね。
世子の奥さんの家族全滅させたり、孫を島流しにするところは避けられなかったのが残念…
暗闇限定でかすかに視力があるという設定が面白い
普段は見えないフリをして、暗闇限定でかすかに視力があるという設定が面白い。最初暗闇でキビキビ動き出した時、「え、見えてるんかーい!」と驚いた。
黒幕が王と判明して一介の盲人が権力者にどう立ち向かうのか、中盤以降もダレることなく目が離せなくなる。
宮廷内のゴタゴタは「清に屈するか否か」の対立でシンプルで分かりやすい。この辺の歴史詳しくなくても入り込めそう。
清の使いが馬の糞を漏らしたり、服にひれ伏せさせるのは屈辱。王の表情から激しい怒りが伝わってくる。でも、当時の清は大国だから息子の言う通り怒りを堪えて清に仕えるべきだったと思うなー。
それにしても平然と息子殺しをする父はエグい。いくら政治のためとはいえそう簡単に殺せるものなのかね...この時代は身内殺しは当たり前だったのか。
心眼
韓国映画強化月間、第5弾にして最後は「梟」!
韓流ドラマでよくある宮廷ラブストーリー?とは一線を画す宮廷サスペンスです。
前後の説明的なシーンを極力カットして、一夜に起こった怪事件に焦点を絞り、夜明けまでに決着をつけるという「タイムリミット」で観客に緊張感を与える設定が効いています。
盲目と思われた主人公が、実は「闇の中では少し見える」というキャラクター設定に唸ってしまいました。この「闇の中で見える」という設定が、ストーリーに奥行きを与えているんですねえ。
で、この設定には、裏の意味があると思うのです。「見えないものを観る(診る)」という。
普通の人の目には見えない真実を観る。
普通の人の目には見えない身体の異常を診る。
「心眼」という言葉が思い浮かびました。
主人公ギョンスのリュ・ジュンヨル、そしてコンフィデンシャルでおっさん刑事を演じたユ・へジン(王様)の演技は抜群でした。
こういうテーマの映画をこのクオリティで日本で撮れるか?というとやはり今は撮れないだろうな、というのが正直な感想。
上質な邦画の歴史サスペンス作品を観てみたい。まだまだ先のことかな・・・。
(2024年映画館鑑賞26作目)
改めて勉強しなくちゃ
ノーモア、見ざる聞かざる言わざる
映画の設定から、騙すのは、あまり好きではない。
主人公は盲目の天才鍼灸師である。
目が全く見えない・・・それが前提
であるのに、
治療中に王から「おまえ、見えておるな!!」
と見破られる。
そして「王の暗殺陰謀事件」の真っ只中、
渦中の人となる。
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された
“怪奇の死“にまつわる謎を、盲目の目撃者が暴くという
ストーリー。
しかし実は「ワタクシ、明るいところでは、見えませんが、
「暗いところでは少し見えます」
鍼医ギョンスは手紙も立派に書くのです。
真相・・・
ありきたりの「マクベス」で有り、黒澤明の「蜘蛛巣城」の
焼き直し映画。
親が子を殺し。
孫を島流しにして、
自分は狂っていく。
そこに「王の死」を治療と称して毒薬、毒死を感染症と偽る王医も、
実は犯人の差し金・・・
目撃したギョンスは王の妃に告げると、
妃はなんと目撃者ギョンスを庇い自分は殺される・・・
「なぜギョンスの名を言わないのだ?
「なぜむざむざ殺される?のだ!!」
暗闇をハヤテのように逃げるギョンス??!!
口先ひとつで命を逃れるギョンス??!?!
更に真犯人の「死」までギョンスが絡むとなると
もはや史実ではなく嘘偽りの世界。
こんなことは言いたくないけれど、
韓国の歴史ドラマは史実を歪めているものがある・・・
と聞く。
なるほどと思わざるを得ない。
まぁ北野武監督の「首」を楽しく観たのだから、
文句も言えないが、
「仕掛人・藤枝梅安」に「座頭市」
ここまで来ると“パクリ祭り““パクリ天国“である。
だが、映画としては、それなりに成立している。
これは目が離せない!
さすがは韓国映画だ。
テンポのよさと美しい映像。
ふと笑わせ次の恐怖で襲う。
予測を超える展開でみるみる引きずりこむ。
想像だけで鼻腔に張り付く薬草の混じる香り。
仄暗い空気は緊張を引き立てる。
その芯の部分をすいすいと渡る研ぎ澄まされた感覚が極まり人間の心の内を見抜く眼力となったのだろうか。
盲目のギョンスに備わっているものを役者、カメラ、照明、音楽が一体となって観客に体感させる。
腕を見込まれ宮廷内医院に引き抜かれたはずのはり師の彼が巻き込まれる陰謀の世界。
その勘はすぐに秘められた悪意に気づく。
何としても病の弟を助けるために生きて帰ろうとしながらのまれていくギョンス。
そんななか弟と同い年の若殿(世子の息子)の運命を動かすことになるギョンスと世子とのやりとり、胸を突く会話がある。
そこでみえる二人の人柄、身分は違えど重なるのは選べぬ運命、近しい人に見くびられ裏切られる悲しみ。
裏切りの全貌が見え始めるとようやく反撃の時を睨むギョンス。
そして度々のピンチに揺らぐ時、杖に結ばれた兄弟の絆が彼を奮い立たせる。
鳥肌級に訪れる渋いラストに貧しい盲目のはり師が問う〝人〟としての言葉。
誠意なしには必ずしも頂点は万能に見通せる場所ではないのだと、安穏と権力に君臨する者へのとどめが静かに響いていた気がする。
見えないものが見える
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