梟 フクロウのレビュー・感想・評価
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恩に報いる
さすがの韓国作品。
二転三転と観る者の意表をつく展開に
ただただ驚きつつ、
先が観たくてたまらない感情が湧いて来る。
17西紀朝鮮、まだ王朝時代、
心臓に病を持つ10歳の幼き弟を持つ盲目の
鍼師の兄が宮廷に雇われ始めた頃からの話。
タイトルの意味が徐々にわかる。
盲目ながら鍼を打つことにかけては誰にも引けを取らないギョンス。
秘密があった。日中の明るい場面や薄明るい時には全くの盲目だが、真っ暗になると少しだけ見えるということ。
それでまだ字を覚えきれていないが、弟に身を案じる手紙をたどたどしく書いてもいた。
当時朝鮮は、隣国清からの侵略に備え8年前に世子を人質に出しておりやっと帰って来たばかりであった。世子妃や息子と会うのも8年ぶり。息子は、母である世子妃とも会うのは初めてだった。
その世子を利用し清の信頼を得て政権を手中に収めようとする領職一派が力を蓄え時機を見計らっていた。そんな一派が世子に話を持ち掛けても、世子は相手にしなかった。自分の父である王を倒すなど、と。
世子はよく咳き込むことがあり、侍医を読んで治療も受けていて、ある時、ギョンスの鍼の巧さに感心して話が弾む中、ギョンスの目が少し見えていることに気づく。嘘をついたと責めることなくもっと字を覚えろ、これでしっかりと見て覚えろ、と清から持ち帰った拡大鏡を授けてくれたのだ。
ある夜、体調悪いと知らせを受けて侍医と共に
世子の枕元に行き侍医が治療するそばに侍っていると、ろうそくが消えたのか真っ暗闇になり、 洗うよう手渡された手拭いを見ると血に染まっており驚くと共に
世子の顔を見るとどす黒くなってビックリ‼️
ギョンスの様子を見た侍医は、目が見えるのかと疑い
目の前に鍼を突き刺すようにするが、
様子がわかったギョンス微動だにもしないで
はぐらかす。
侍医はおつきの者たちに白々しく
落ち着いてお休みになられたと嘘を言い出て行く。
心配になったギョンスはこっそりと世子の寝所に赴くと息絶えていて頭には毒針が。
鍼を抜き戻ろうとするが、箪笥の蝶番で足に怪我を
してしまう。
毒針が無いことに気づいた侍医が探しに来て
ギョンスの後ろ姿を見てしまう。
世子は、目鼻耳から血を流し亡くなっていた❗️
宮廷、大騒動。
侍医が怪しい者を見たと言ったので、
門を閉ざし服を脱がし調べることとなった。
逃げ延びたギョンスは、必死に目を使い、
犯人を侍医だと名指しした告発文をしたため
証拠の毒針も添えて、
わかるように置いて来ようとしたところ、
世子嬪に見つかり自分が見たことを伝える。
初め疑っていた世子嬪に世子から賜った拡大鏡を見せ
信じてもらう。
体調の悪い王に呼ばれて鍼治療しているところに
世子嬪が証拠を持ってやって来る。
犯人の侍医がいる前で勇気を振り絞り、
目撃者が侍医が毒針を打つのを見、
証拠の毒針もここに、と、告げるのだが。
毒針を忘れよって⁉️と叫ぶ王の言葉に
首謀者が王であると気づいたギョンス、
世子妃に言うなと合図。
王は、
何ぃ、毒針だと〜⁉️と御簾を上げて出て来て
世子嬪が献上した食事に毒を入れおつきに
試食させ殺し、
毒を盛られたと叫び出す。
呆気に取られた世子嬪は捕まってしまう。
世子嬪は捕えられ、
ギョンスは逃げるが、追手に捕まりそうになるが逃げ。
領職らと相談して王が侍医と連絡用に
わざと左手で認めた書状を手に入れる必要があると
なり、侍医にバレ捕まえられそうになりつつ手に入れ
領職のもとに行き通行証を手に入れ逃げられたと
門を出た矢先、
若殿が倒れ王が侍医を呼んで治療、という言葉を
耳に挟み、若殿の危険を察知してしまい戻る。
寝かされ瀕死の状態になっている若殿から鍼を抜き、
抱き抱え逃げて行く。
たどり着いたところには王が潜んでいた。
しかし、領職も現れ王と手を組む算段をする。
扉を開け、
世子は感染症で死んだと叫ぶ王。
若殿は?
ギョンスは捕まった。
気の毒なことに世紀子嬪は処刑(毒殺)。
若殿は島流し。
ギョンスはすんでのところで首が繋がったか。
4年後、名医となったギョンスに王の治療が
命じられる。
王は感染症で亡くなる。
見事、世子や世子嬪の無念を果たしたのか。
自分の命の危機を感じれば、実子を手にかけることも
厭わない時代。
生死を史実に合わせているのでやむを得ないが、
息子の世子は、人質にまでなり国に尽くしさらに
父をちゃんと尊敬して思っていたのにもかかわらず。
父は玉座や命が狙われることばかりを心配し、凶行に
至った。
若殿は両親と穏やかに過ごすことはできず辛い時代。
ギョンスは、梟🦉で居ろうとしたが、
自分に優しくしてくれた世子やその家族のことが
忘れられなかったのだろう。
卑しいものは
卑しいもの(身分が低いもの)は、見て見ぬふりをして生きなければならない 正義感を持って問題を告発した人が自殺に追い込まれ、権力者は何食わぬ顔してその座に居座る。最近もどこかで見たことある。 実際に起きた歴史的事実をここまで今の時代に通じる物語として昇華させた映画は珍しい。 エンタメとしてもハラハラドキドキ、飽きさせない。 ヒーローが勝つ、といったありきたりなエンディングでもないのにも感嘆しました
闇を知るヒーローに
17世紀、朝鮮王朝仁祖の時代。有能で盲目の鍼医ギョンスは、王宮で働くことに。そんな時、清で人質になっていた世子が帰国。清で新しい時代に触れた彼は、清を敵視する父仁祖と対立してしまう。ある日、世子の体調が急変し怪死してしまう。毒殺の真相を知ってしまったギョンスは。
序盤のユーモラスな感じは、韓国映画の定番の面白さ。そして後半は、ハラハラ緊張感あるサスペンス。ギョンスが闇を知るヒーローになるのかと思いきや、そうはならず残念。たぶん史実を曲げるわけにいかなかったのか。結末には、無念を晴らすけど。
「暗くなるまで待って」を思い出しました。
見えない者だからこそ、見える闇の世界。
朝鮮王朝時代の”怪死事件”にエンターテイメント要素を加えた一作。この手法を取らせたら韓国映画の右に出るものはいない。 よくある目撃者スリラーものではあるが、幾重ものツイストが仕掛けられており、 圧倒的な没入感と緊張感には呼吸困難になるかと思うほど。 暗闇の世界での極上のサスペンス。 タイトルの意味が明らかになった時の、あの映像のマジックも見事。 なお、意外かもしれませんが、意外と笑えるシーンがあります。
宮廷内ってこわい!
梟のタイトルどおり、暗いところだけ少し目が見える主人公。
弟の病を治すために宮廷内の医師に抜擢されるが、王様と世子の政権争い(というか王様だけがプンプンしてるんだが)で混乱を極める。
実の子であっても殺しちゃったり、駆け引きやら、立場の問題やら、タイミングの問題、いろいろあるけど最後は弟の病が治って、王様を世子と同じ目に合わせて毒殺するあたりはスカッとしたよね。
世子の奥さんの家族全滅させたり、孫を島流しにするところは避けられなかったのが残念…
暗闇限定でかすかに視力があるという設定が面白い
普段は見えないフリをして、暗闇限定でかすかに視力があるという設定が面白い。最初暗闇でキビキビ動き出した時、「え、見えてるんかーい!」と驚いた。
黒幕が王と判明して一介の盲人が権力者にどう立ち向かうのか、中盤以降もダレることなく目が離せなくなる。
宮廷内のゴタゴタは「清に屈するか否か」の対立でシンプルで分かりやすい。この辺の歴史詳しくなくても入り込めそう。
清の使いが馬の糞を漏らしたり、服にひれ伏せさせるのは屈辱。王の表情から激しい怒りが伝わってくる。でも、当時の清は大国だから息子の言う通り怒りを堪えて清に仕えるべきだったと思うなー。
それにしても平然と息子殺しをする父はエグい。いくら政治のためとはいえそう簡単に殺せるものなのかね...この時代は身内殺しは当たり前だったのか。
心眼
韓国映画強化月間、第5弾にして最後は「梟」! 韓流ドラマでよくある宮廷ラブストーリー?とは一線を画す宮廷サスペンスです。 前後の説明的なシーンを極力カットして、一夜に起こった怪事件に焦点を絞り、夜明けまでに決着をつけるという「タイムリミット」で観客に緊張感を与える設定が効いています。 盲目と思われた主人公が、実は「闇の中では少し見える」というキャラクター設定に唸ってしまいました。この「闇の中で見える」という設定が、ストーリーに奥行きを与えているんですねえ。 で、この設定には、裏の意味があると思うのです。「見えないものを観る(診る)」という。 普通の人の目には見えない真実を観る。 普通の人の目には見えない身体の異常を診る。 「心眼」という言葉が思い浮かびました。 主人公ギョンスのリュ・ジュンヨル、そしてコンフィデンシャルでおっさん刑事を演じたユ・へジン(王様)の演技は抜群でした。 こういうテーマの映画をこのクオリティで日本で撮れるか?というとやはり今は撮れないだろうな、というのが正直な感想。 上質な邦画の歴史サスペンス作品を観てみたい。まだまだ先のことかな・・・。 (2024年映画館鑑賞26作目)
改めて勉強しなくちゃ
14世紀の朝鮮王朝時代に、王の息子が謎の死を遂げた史実に材を取ったサスペンスです。怪死事件のカギを握るのが盲目の鍼医だったと言う設定も巧みならば、鍼医自身が持つ秘密・真相解明の緊張感にも息を呑みました。近年の韓国映画の快調ぶりをスクリーン上で改めて確認できる様な作品でした。 ただ、王役のユ・ヘジンさんを見ると、これまでのコミカルな映画を想起してニヤニヤしてしまうのが難点と言えば難点。また、韓国映画を楽しむ為にも、朝鮮半島の歴史をもう一度勉強しておかねばとも思わされたのでした。
ノーモア、見ざる聞かざる言わざる
韓国映画「梟 フクロウ」観了。ポスターを観て、てっきりホラーだと思っていたんだけど、朝鮮王朝時代の史実を基にしたサスペンス。主人公が盲目という設定をメタファーにした、権力者の悪行には見ざる聞かざる言わざるではなく闘えという映画でした。前半は少しだれますが良作。 そして、コミカルな持ち味を封印したユ・ヘジンは名優の風格だったな。
映画の設定から、騙すのは、あまり好きではない。
主人公は盲目の天才鍼灸師である。
目が全く見えない・・・それが前提
であるのに、
治療中に王から「おまえ、見えておるな!!」
と見破られる。
そして「王の暗殺陰謀事件」の真っ只中、
渦中の人となる。
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された
“怪奇の死“にまつわる謎を、盲目の目撃者が暴くという
ストーリー。
しかし実は「ワタクシ、明るいところでは、見えませんが、
「暗いところでは少し見えます」
鍼医ギョンスは手紙も立派に書くのです。
真相・・・
ありきたりの「マクベス」で有り、黒澤明の「蜘蛛巣城」の
焼き直し映画。
親が子を殺し。
孫を島流しにして、
自分は狂っていく。
そこに「王の死」を治療と称して毒薬、毒死を感染症と偽る王医も、
実は犯人の差し金・・・
目撃したギョンスは王の妃に告げると、
妃はなんと目撃者ギョンスを庇い自分は殺される・・・
「なぜギョンスの名を言わないのだ?
「なぜむざむざ殺される?のだ!!」
暗闇をハヤテのように逃げるギョンス??!!
口先ひとつで命を逃れるギョンス??!?!
更に真犯人の「死」までギョンスが絡むとなると
もはや史実ではなく嘘偽りの世界。
こんなことは言いたくないけれど、
韓国の歴史ドラマは史実を歪めているものがある・・・
と聞く。
なるほどと思わざるを得ない。
まぁ北野武監督の「首」を楽しく観たのだから、
文句も言えないが、
「仕掛人・藤枝梅安」に「座頭市」
ここまで来ると“パクリ祭り““パクリ天国“である。
だが、映画としては、それなりに成立している。
これは目が離せない!
さすがは韓国映画だ。
テンポのよさと美しい映像。
ふと笑わせ次の恐怖で襲う。
予測を超える展開でみるみる引きずりこむ。
想像だけで鼻腔に張り付く薬草の混じる香り。
仄暗い空気は緊張を引き立てる。
その芯の部分をすいすいと渡る研ぎ澄まされた感覚が極まり人間の心の内を見抜く眼力となったのだろうか。
盲目のギョンスに備わっているものを役者、カメラ、照明、音楽が一体となって観客に体感させる。
腕を見込まれ宮廷内医院に引き抜かれたはずのはり師の彼が巻き込まれる陰謀の世界。
その勘はすぐに秘められた悪意に気づく。
何としても病の弟を助けるために生きて帰ろうとしながらのまれていくギョンス。
そんななか弟と同い年の若殿(世子の息子)の運命を動かすことになるギョンスと世子とのやりとり、胸を突く会話がある。
そこでみえる二人の人柄、身分は違えど重なるのは選べぬ運命、近しい人に見くびられ裏切られる悲しみ。
裏切りの全貌が見え始めるとようやく反撃の時を睨むギョンス。
そして度々のピンチに揺らぐ時、杖に結ばれた兄弟の絆が彼を奮い立たせる。
鳥肌級に訪れる渋いラストに貧しい盲目のはり師が問う〝人〟としての言葉。
誠意なしには必ずしも頂点は万能に見通せる場所ではないのだと、安穏と権力に君臨する者へのとどめが静かに響いていた気がする。
見えないものが見える
人の心はかくも弱く、強いのか。 そしてそれは人の行動の細部に現れ、視覚を必要とはしない。 そう思えた映画だった。 人の五感の中でも意識的に記憶に残るものを インプットしやすい ”視覚” キリスト教では視覚が五感の中で優劣をつけると一番重要とされる それがない世界で、人はどのようにものを感じ取るのか。 主人公は盲人である特性を生かしつつ、 見えないけれども”見える”ものを基に、謎を解き明かし、 時に危険な橋を渡り、そして罪を着せられつつも 生き延びて、最後にその集大成ともいえる行動を行う。 全てが繋がり、最後をみた時に、 それが「幸せな答え」ではなくても 「納得のいく答え」になる映画だなと思った。
言い訳の仕方を心得ている者
昔の朝鮮王朝が舞台のサスペンス。 王室に関わることになった身分の低い盲目の鍼医者が主人公。 一見とっつきにくそうな舞台ではあるが、そんなことはなく、 没入感や緊張感の持続する良い作品である。 良い点 ・設定 ・ポスター ・訴え ・むなしさ 悪い点 ・関係性が一部分かりづらいか
予想とは違っていたものの…
事前情報は、舞台が李氏朝鮮時代の話らしいということと、ポスターのインパクトあるビジュアルのみ。だから、てっきり「春琴抄」的な宮廷の悲恋物語か、「仕掛人藤枝梅安」の韓国版的なものと思っていたら全く違っていた。史実に残された不可思議な死に対する歴史ミステリ+特殊設定サスペンスといった風情なのだ。
盲目の天才鍼師ギョンスは、病気の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。しかし、ある夜、王の子の死を“目撃”し、恐ろしくもおぞましい真実に直面する。権力争いに巻き込まれ、追われる身となったギョンスは、それでも謎めいた死の真相を暴くために奔走する。
この秘密というのが、全盲ではなく“明るい所では見えないが、暗い所ではうっすらと見える”という特殊性。思いっきりネタ晴らししてるじゃないかと思われそうだが、この仕掛けがメイントリックというわけではない。むしろ周囲から盲目と思いこまれているが故に嫌疑を逃れたり、自分だけ夜目が利くことから危機を脱したりと、サスペンスを盛り上げるのに一役買っている。だからネタを知っていても面白さが損なわれることはない。「梟」というタイトルはそういう意味だったのか、と唸らされることだろう。
前半はギョンスが如何にして宮廷に呼ばれ、鍼師として重用されていくかという、いわば昼の世界。それが王の子の死を目撃してからは、ほとんどが夜の描写となり、観る者もギョンス同様サスペンスフルな闇の世界を体験することになる(暗闇だが、見せるべき所はちゃんと写すカメラワーク)。この明暗の使い分けがとても上手い。途中、真犯人の残した証拠品を拾おうと焦る場面も、ヒッチコックの「見知らぬ乗客」を彷彿させ、なかなかスリリングだ。
もちろんストーリーも、犯人の濡れ衣を着せられたり、善人と思われていた者が悪人だったり、誰が敵か味方か分からない裏切りと謀略の連続で二転三転。そして、クライマックスにおけるギョンスがとった行動と因果応報的ラスト。史実だけに覆らない部分は好き嫌いが別れそうだが、それでも上質のエンターテインメントであることは間違いない。
最初のエンドタイトル
の勇壮な感じと、柄本佑似の主人公の仲々踏み込めない感じがそぐわない。もう少し後日談をちゃんと描いてほしかったし、視えると解ってから結構ぐだぐだ。まぁ“卑しい者だから”と二の足を踏む感じは、珍しくて悪くなかったです。
面白い!
史実ベースを上手く料理したお手本の様な作品でございました。感想書いてなかったのを忘れていたのでなんだかドライになっちゃいますが、韓流食わず嫌いな方でも楽しめると思うし、映画は映画、ドラマはドラマで発展してきた韓流の良い形での着地点だなぁと感じました。面白い。
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