「龍、多めの登場。」陰陽師0 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
龍、多めの登場。
若き日の安倍晴明の魅力いっぱいの映画である。陰陽師となって権勢をふるう前の、生意気で我が道を行くという感じがとてもよい。陰陽師というのは、よく分からない存在であったが、この作品を見て何なのかを実感することができた。単なる祈祷師や占い師というよりも、科学者のようである。天文学や生物学、医学から心理学まで精通する科学者である。一方で人知では解明できない精霊や物の怪の類を操ることのできる特殊能力の持ち主とも言える。現代よりもずっと「呪術」が身近にあった時代の物語であり、「呪術」の世界に身を置く晴明はとてもかっこいい。VFXで何匹も龍が出てくるが、とても迫力あるシーンになっている。
ストーリー的には、晴明と貴族の源博雅がコンビとなって、事件を解決していくのが楽しい。本来なら、身分的に大きな差があるはずなのに、対等なバディとなっていく所がとても好ましい。元斎王の女王と博雅の恋愛事情も平安時代の雅な感じが出ていてよかった。
陰陽師になる気はなかった晴明が、これから陰陽師として活躍するのを予感させる終わり方である。その意味でこの作品は、晴明の原点「陰陽師0」と呼ぶにふさわしい。
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