「なかなか烏帽子とらない」陰陽師0 てっぺいずキヌさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか烏帽子とらない
ポスターがかっこよかったのと、夢枕獏原作ということで見に行った。
色々ごちゃごちゃしていて楽しかった。
犯人捜し要素だったり、身分違いの恋愛だったり、スーパー呪術バトルだったりと2時間くらいの映画にたくさん詰め込んでいて、どれもそんなに不必要さを感じずに楽しめた。
夢枕獏はすごくハッタリが上手いと思う。
陰陽師の呪術の設定が、最初は手品っぽい胡散臭いものだと思わせておいて、実は人はすべて潜在意識で繋がっているから潜在意識から暗示をかけるもの、という設定に発展したと思いきや、最後は潜在意識から物質を引っ張り出すというハイパー呪術パワーを安倍晴明だけが使えるようになるという流れが作中であったけど、最初からハイパー呪術パワーが使える、というよりすごくハイパー呪術パワーに説得力が出てきて面白い。
個人的にはマーベルのヒーロー映画とかもお金をかけて、こんな大味なハッタリをやっているのかなぁと思った。日本の有名な俳優がたくさん出演していたし、これが日本版ハリウッド映画なんじゃないかと思う。ちなみにどっちも大好きですよ?
映像もハリウッドほど大迫力ではないけど、潜在意識世界に入ってから凄い綺麗だった。竜とか男女がハグすると凄い繁殖する植物とか。あと菅原道真が登場する前に対象を拘束する梅の大木とかが凄いかっこよかった。パッと梅が咲いたときのアツさが印象に残った。
キャストについては、僕個人として山崎賢人という俳優に過去一度も心を掴まれたことはなく、今作上映中も「こいつずっと棒読みだな」とか「たくさん実写化映画で経験積んだはずだろ」とか思いつつ、その顔とスタイルの良さだけに主人公としての価値を認めていた。
ひろまさ役の染谷将太が主人公分の感情表現をひっくるめて熱演してくれていたので、顔と身体がかっこいいだけの俳優でも主人公役は十分務まっていたように見えた。けど最後の最後にずっとひろまさに無愛想に接していた山崎賢人がちょっとデレたシーンが、作中の安倍晴明の冒険をひっくるめたうえでの、安倍晴明としてデレに見えて、山崎賢人という俳優と安倍晴明というキャラクターがばっちり重なったみたいで凄くよかった。「山崎賢人はこれで飯を食ってるんだ」と確信した。最初からキャラに入り込むのではなくて、ストーリー全部棒読みで演じて、ラストシーンで完璧にキャラクターになりきる調整をしているタイプの役者だった。
あと帝がティモシーシャラメに似ててなんか面白かった。