「闇が闇であった時代の想像力」陰陽師0 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
闇が闇であった時代の想像力
怖いモノを想像する人にとって〝妖怪や幽霊の存在〟が真実であるように、想いびと(大好きな人)がいる人にとって、恋心が生み出す想像の世界もまた真実。
そんなことを思いながら、百人一首の恋の歌などを思い出すと、寝れない夜になかなか会えない相手を思う当時の人たちの切実さと豊かな想像力やイメージ力に、尚のことため息が出ます。
瀬を早み 岩にせかるる 瀧川の
われてもすえに あはむとぞ思ふ
今の世にまで残る名歌だから、風流というか上品というかだけど、あの時代にいったいどれだけの人がどれだけの情念を想像力に委ねたのか。
きっと、夜がちゃんと夜だった時代、人間が闇を闇としてちゃんと畏怖していた時代、たくさんのモノたちが本当に見えていたのだと思います。
そういう時代に自分も迷い込んだのだとしたら…
古代エジプトや高松塚古墳などの遺跡でも、当時の色を再現した復原画などを見ると結構明るい色が使われていたりするわけで、極彩色の花園なんかも、意外と平安貴族にとってはそれほどかけ離れた想像ではないのかもしれないですね。
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