劇場公開日 2024年4月19日

「巧みな物語の構成が高評価」陰陽師0 Moiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0巧みな物語の構成が高評価

2024年4月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

興奮

感想
正直余り期待していなかったが、観ると
上質なファンタジーロマン溢れる作品で
あった。

古代日本の社会心理と古文書伝承、易学、
天文学、気象学、基本的物理法則、伝承
医薬学、方位学などが複合的に合わさった
ものが陰陽道。
当時の人間が理解不能な天変地異、疫病など
を具体的に納得する為の公式な理由付け
(お墨付き)を行った帝直属の官庁であった
と認識していた。

物語の中で当時の平安京の構造、天皇を
中心とする政治体制、付随する官僚体制(寮)、
官位、陰陽寮の体制と仕事内容、地位
などが、わかりやすく説明され、興味深く
観た。その学生であった、若き日の晴明と
上級官位の博雅の出会い、また博雅の
悲しくも儚いロマンスを織り混ぜ、
人の業による諍いや愛、友情物語が展開
していく。

とりわけ博雅と徽子女王の深い絆と愛情が
素晴らしく描かれており、当時の慣習を反映
して涙を誘う。

脚本演出◎素晴らしい。今後も期待。
特撮◎白組定席。
配役◎ 豪華メンバー。
小林薫、山﨑、染谷、板垣、北村、安藤、
村上、國村、各氏は個性的で素晴らしい演技。
徽子女王役の奈緒さんの好演は特筆もの。

原作も滝田監督版も拝読、鑑賞済だか、
今回は恐怖よりも人の愚かさ、情、欲、念、
深層心理に話の中心がおかれ、
構成としては、今作の方が原作者の本来の
意図が反映されていて優れていると私感する。

以下は物語の中で説明された、物語を観て
いく上で必要となる、対照をなす言葉と、
その言葉の自分なりの解釈を掲示する。

『事実と真実』
事実とは現実世界。
真実とは人間一人一人が持つ現実世界を生きる
為の考え方。全ての人に真実が存在する。
真実は現実世界で絶え間なく努力し継続
していくと実現する。

『呪』
呪とは人から人への恨みつらみの念、無念、
羨みの念がエネルギーの塊として実体化した
もの。現実では見ることができない。
本当の陰陽師のみが招聘し操れる術。

『人間の深層心理』
人の情や念はコミュニケーションをとる事に
よって、絆を育み、気持ちを深い部分まで
お互いに理解できるようになり、双方に
その気持ちが強くあれば、言葉に出さず
とも意思疎通が果たせるようなる。時には
深い情を生み、男女なら愛情関係に発展する
こともある。
深層心理で心が繋がる事は可能である事を
この物語は主張している。
もし本当に深層心理下で意思疎通が可能で
あるのなら、現実世界に存在しない魂と
なったものとも、求めれば繋がる事ができる
かもしれない。ロマンを感じる部分である。

『暗示』
無意識に相手の意のままに意識を操られ心を
弄ばれる術。己れに強い真実(信念)を持つ
場合は罹らない。恐れと畏れによって罹る
強さは異なる。

『催眠術』
事実(現実)上のさまざまな視覚、心理操作に
より心を弄ばれる事。意識の中の思い込み
や性格などを逆手にとり、そのように誘導
してしまう事。これも恐れと畏れによって
罹る強さは異なる。

⭐️4

Moi