「ダルい女子高生にタジタジになるオッサンどもの敗退録」スイート・イースト 不思議の国のリリアン 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ダルい女子高生にタジタジになるオッサンどもの敗退録
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オッサンどもが(若い男性も女性もいるが)、無感動、無関心で退屈しきった女子高生を手懐けようとしては逆搾取にあって撃沈していくという、なんとも皮肉で奇妙なロードムービー。しかし主人公のリリアンはリリアンなりに、自分で次の状況を切り開くし、ダルい無関心娘なりにそのときどきを楽しんでいる。しかし圧倒的に自分本位であり続け、世界が狂っていることなど意にも介さない。おそらくリリアンが生まれてこの方世界はずっと狂っていて、彼女にとってはごく当たり前の初期設定でしかないのだろう。
この空っぽの女子高生がやけに魅力的に見えてしまうこと自体が、オッサンどもが若い女性を搾取しようとする構造の裏返しでもあり、自分の中にも眠っているほのかな欲望を見透かされたようで、居心地が悪いような、風通しがよすぎて笑ってしまうような、非常に中途半端な気持ちにさせられ。なかなかほかの映画では得られない感覚を味わえる意味でも最高。とっつきにくいが、一度ハマると笑いっぱなしのブラックコメディ。とりあえずリリアンが歌い出したあたり(かなり序盤だが)から、すべてを受け入れると覚悟を決めて観ることをオススメします!
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