「決して万人向けではない、ワンダーランドとしての米東海岸の話」スイート・イースト 不思議の国のリリアン Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
決して万人向けではない、ワンダーランドとしての米東海岸の話
日本の副題が示すように、アリスがマッド・ハッターやハートの女王などの奇妙な人々と出会うように、リリアンもネオ・ナチやアンティファ、モスリム集団など奇妙でクセの強い人々と出会う。また、発砲事件のくだりは、当時のヒラリー陣営に対する誹謗中傷がエスカレートし、後にQアノンへと繋がる2016年のピザゲート(Pizzagate)事件を思わせ、陰謀論や社会の分断など現在のアメリカ社会の歯車の狂い方と、(自分の身に危険が及ばない限りは)それに関心をほとんど示さない若い世代のしらけぶりを皮肉たっぷりな風刺(カリカチュア)として描いている。
ただ、本作が制作されたのは実は2023年で、2024年の大統領選挙が行われる前。その当時は笑い話として揶揄っていれば済んだ話が、2025年の1月に新大統領が就任し、議会を無視した大統領令を立て続けに出している今、笑い事で済まなくなってしまっている。
やはり、彼の国を他山の石として、無関心でいないことを心掛けるしかないのだろうな。
コメントする