劇場公開日 2024年10月25日

「誰もが持つ「悪い子」心の冒険ファンタジー」リトル・ワンダーズ kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰もが持つ「悪い子」心の冒険ファンタジー

2024年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

子供は皆「悪いこと」をすることにある種の憧れを持っている。
巨大な倉庫に忍び込みゲーム機を盗んだら楽しいだろうな、というのは子供心の悪い憧れ。
実際には犯罪になるので出来ないことをこの映画は架空のファンタジーとして実現する。
いい意味でこの映画は中学生くらいの学生が学園祭で上映する8ミリ映画を面白いと思うことを好き勝手に入れて撮ったような伸びやかさがある。
ギャングや魔法使いも全部入れてしまえばいいのだ。
リアリティのない架空のファンタジーであることは、ほぼ本物のように見えて実はペイント弾の空気銃を操ったり、バイクを自由に操ったりする最初のシーンで提示される。
そして16ミリフィルムで撮られていることもフィクション感を増幅している。
この大冒険のきっかけも風邪で寝込んでいるママがブルーベリーパイを買ってきてと頼まれて、いつのまにか卵の争奪戦に巻き込まれていく、くだらなさのセンスが効いている。
その冒険の子供っぽさがこの作品の魅力だ。
友情に飢えた魔女の娘のペタルのこまっしゃくれた可愛さが秀逸。
魔法使いの一味の一人として出演もしているウェストン・ラズーリ監督は本作が長編デビュー作だというから驚く。次回作も期待。
グーニーズやスタンドバイミーのような王道子供冒険映画とは違う、ブラックユーモアのインディーズ子供映画の良作と言える。

kozuka