「古き良き80年代っぽさを醸し出す、思いっきり現代が舞台の童話映画」リトル・ワンダーズ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
古き良き80年代っぽさを醸し出す、思いっきり現代が舞台の童話映画
2024.10.28 字幕 アップリンク京都
2023年のアメリカ映画(113分、PG12)
悪ガキ三人組が謎の大人たちと関わる様子を描いた青春映画
監督&脚本はウェストン・ライズリー
原題は『Riddle of Fire』で「炎の謎」という意味
物語の舞台は、アメリカ・ワイオミング州のリボン
そこには、「不死身のワニ団」を結成しているヘイゼル(チャーリー・ストーパー)、弟のジョディ(スカイラー・ピーターズ)、ヘイゼルの気になる女の子アリス(フィービー・フェロ)が住んでいた
彼らは「オートモ」と言うメーカーが発売しているゲーム機で遊びたくてたまらなくて、とうとう倉庫に盗みに入ってしまった
ようやく盗みに成功したものの、家のテレビにはパスワードが設定されていて、寝込んでいる母(Danielle Hoetmer)から聞き出さなくてはならない
アリスのビデオ学習と言う嘘はあっさりと見破られ、母はゲームのためには教えてくれない
そこでヘイゼルは「何でもする」と言い「大好物のブルーベリーパイを買ってきて」という母の願いを叶えることになった
3人はパン屋に出向くものの、パン職人のセリア(Colleen Baum)は風邪で休んでいると言う
さらにセリアの家にまで行く3人だが、今度は「氷よりも冷たいものを持ってきたら、レシピを教えてあげる」と言われてしまう
映画は、この3人組がパイに塗るための卵をスーパーマーケットに買いに行くところから動き出す
最後の1パックを見つけたものの、それは見知らぬ男(のちにジョンと判明、演:チャールズ・ハルフォード)に奪われてしまった
そこで三人は男の後を追っていくのだが、その先には「魔法を使う女」が率いる謎の集団がいた
リーダーのアンナ=フレヤ(リオ・ティンプトン)は呪文で相手をコントロールでき、それは謎の男をも思い通りに動かす
さらに、そこにはアンナの妹の双子ケルズ(アンドレア・ブラウン)とサッズ(レイチェル・ブラウン)がいて、末っ子のマーティー(ウェストン・ラーズリ)も何かにつけて良いように使われていた
また、アンナには娘のペタル(ローレライ・オリヴィア)がいて、彼女は自由奔放に森を駆け巡っていた
そして、男を追ってきた三人組とペタルが顔を合わせることになったのである
映画は、幼少期のひと夏の体験映画で、そこで起きた冒険によって、少年少女が成長すると言うものだった
彼らはゲームしたさに母親の命令を聞くことになり、その後も目的のために命令を聞き続ける
その過程で、大人の嫌な部分に遭遇するのだが、自分たちのピンチを子どもの機転で覆すところが面白い
ヘイゼルは警官に気づかせるように「魔法の剣一味が密猟をしていること」をそれとなく伝え、それによって「ちょっと話を聞こうか」という展開になっていく
アンナの呪文は警察には通用しないのだが、それは催眠にかかる前段階の処置を施せていないからだろう
同じ理由でヘイゼルたちにも魔法をかけることはできないのだが、彼らにはアンナの催眠よりも明確な目的があって、その暗示にかかっていたから、とも言えるのかもしれません
いずれにせよ、フィルム撮影でかなり昔の映画っぽく撮られているのだが、映画の時代設定は思いっきり現代だった
スマホは普通に登場し、今のスマホよりも進んでいる印象もある
ゲームも見た目は近未来的だが、中身のゲームはレトロっぽさを感じさせる
この不思議な融和感と言うのは面白くて、さらにゲームのために無茶なことをすると言うチグハグさも面白い
最終的にはペタルもヘイゼルたちと一緒に住むことになるのだが、このあたりの寛容性も童話的だなあと思った