九十歳。何がめでたいのレビュー・感想・評価
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草笛の天真らんまんさ、昭和のダメオヤジを面白可笑しく演じた唐沢寿明など前田監督はベテランの役者からコメディーセンスを巧みに引き出しています。
大正から令和の時代を経験し、昨年めでたく(?)100歳を迎えた直木賞作家、佐藤愛子。本作は彼女が90歳を過ぎて執筆し、累計180万部を売り上げたベストセラーエッセー集の映画化。本人も90歳を迎え、現役で輝き続ける大女優・草笛光子が、自分軸のある文豪をコミカルに軽やかに演じる。
形だけのねぎらいや配慮を伴う「お年寄り」扱いはまっぴらご免。
挑発的なタイトルそのままに毒とユーモアにあふれた、長寿社会ならではの痛快コメディーです。
●STORY
これまで数々の文学賞を受賞してきた作家の佐藤愛子は、90歳を過ぎた現在は断筆宣言して人づきあいも減り、新聞やテレビをぼうっと眺める鬱々とした日々を過ごしていました。同じ家の2階に暮らす娘・響子(真矢ミキ)や孫・桃子(藤間爽子)には、愛子の孤独な気持ちは伝わりません。
同じ頃、大手出版社に勤める中年編集者・吉川真也(唐沢寿明)は、昭和気質なコミュニケーションがパワハラ、セクハラだと問題となり、謹慎処分に、妻や娘にも愛想を尽かされ、仕事にプライベートに悶々とする日々。
そんなある日、吉川の所属する編集部では愛子の連載エッセイ企画が持ち上がります。当初若い編集者が連載依頼に赴くも、愛子は無下に断るのです。それを受けて、今度は吉川が、昭和気質のしつこいコミュニケーションを武器に、何度も愛子に迫るのです。化かし合いのすったもんだの末、佐藤はエッセーを引き受ける羽目に。こうして吉川は、晴れて担当編集となるのでした。
しぶしぶ始めたものの、生きづらい世の中への怒りを歯に衣着せぬ物言いでつづった愛子のエッセイは、身近な出来事や体験に寄せて、高齢者の本音を代弁していると評価され、思いがけず大反響を呼びベストセラーになります。
愛子の人生は90歳にして大きく変わり始めるのです。
●解説
愛子が原稿用紙に綴るのは、日常の気づきや戸惑い、怒りなど。子供の遊び声を騒音と見なす風潮に、「私は戦争の恐ろしい静寂を知っている」と憂うのです。好奇心のアンテナの先には、明晰(めいせき)な社会・文明批評が刻まれます。
ただし、長老の言葉を有り難がるだけの映画ではありません。老いも若きもここでは常に刺激を与え合う関係性。変化し続ける登場人物たちの存在が希望に映ります。
好奇心旺盛でチャーミングな現役作家を、現在90歳の草笛が楽しげに演じます。台詞の声も大きく、威勢のいいテンポでたたみかけ、笑い飛ばす豪快な姿は、とても90歳には見えません。
何げないしぐさがうまく、年の功がなせる妙味があります。唐沢との小気味よい掛け合いは夫婦漫才を見ているかのようです。エッセーのエピソードを発展させて、コンプライアンスやハラスメントなどが叫ばれる現代人の息苦しさや世代論を物語にうまく絡めました。
愛子の毒舌が成り立つのは、人生経験に裏打ちされた知恵と含蓄があるから。姉御肌でもあり、古い価値観をふりかざして周囲から孤立していた吉川が一歩を踏み出す後押しまでしてみせるのです。
監督は、草笛が「老後の資金がありません!」でも組んだ頼れる職人肌の前田哲。エンターテインメントに針を振り切り、名優たちからコメディーの才を引き出す。世相の反映で重い題材の作品が続く中、人生の機微や日々の営みに心を開くウェルメイド・コメディーにホッとさせられます。
愛子は一つ屋根の下、娘、孫娘と同居。風通しの良い女3代の家族構成も興味深いところです。小津作品や「男はつらいよ」シリーズなど時代ごとに家族の微妙な有り様を写してきた松竹映画らしく、ここでも現代に息づく家族像を更新しています。
●最後にひと言
脇役の三谷幸喜には全く気がつきませんでした。その他オダギリショーなど大物俳優もカメオ出演に近いちょい役で多数出演しています。
とにかく草笛の天真らんまんさ、昭和のダメオヤジを面白可笑しく演じた唐沢寿明など前田監督はベテランの役者からコメディーセンスを巧みに引き出しています。
原作同様に、時代に迎合せず、世をはかなむこともしない、戦中世代の衿持に快哉を叫びたくなる作品でした。
やっぱり、めでたい!
タイトルなし(ネタバレ)
この方は才能に恵まれている上に家族にも恵まれている。
先ず娘ということと孫娘ということ。何だかんだ女同士言いたいことは言い合うが
いざという時には手助けする。
これが息子と孫息子だったらこういったかな。
そして何よりお金の心配が無いこと。
色んな時代の荒波を超えて文章にして来たエネルギーは尊敬します。
が、全体的には恵まれているお年寄りな事には違いない。
この映画を見て前向きになれるのはイイことだと思いますが、皆が年老いてこの方の
ようになれるかどうかはわからない。
映画のワンシーンのようには行かずこれからは倒れたまま誰にも看取られず孤独死扱いになる方が殆どでしょうね。
ましてや人生100年なんて誰もかれもが生きられるとは限らない。
だからこそ毎日毎日大切に生きたいと思わされたのは良かったです。
三谷幸喜の怪演が素晴らしい!
「九十歳。何がめでたい」何が面白い?
草笛光子生誕九十周年記念映画って! 佐藤愛子の映画なのに。佐藤愛子生誕百周年も冠してあげて。
(草笛光子さんは素晴らしかった。長生きもいいなぁって元気もらえた)
劇中の愛子さん風に言うと
「泣けないっ、笑えないっ、面白くないっ!」
「佐藤愛子のどの作品を読んで映画化しようって思ったの?」
三谷幸喜さん、映画面白くしたいなら出演するより脚本書いてあげればいいのに。
例えば、このサイトで三谷幸喜ポチッて押したらこの作品出てくるよ。知らない人がみたら、三谷さんの脚本か監督作品って思っちゃうよ。いいの?三谷さん。
バッドボーイズに続いて笑わせるところで笑えない作品でした、私には。
夜の部、観客二人。もうひとりの若い人始まってちょっとしたら(タイトル出るまでに)帰っちゃった。
生き方を考えさせられる、程ではない
もっと楽しく、笑えて、毒を含んで。
佐藤愛子さんの著作からそのように期待していたが。
インタビューや記者会見の受け答えシーンでは、本人のコメントに爆笑をしていたが、ほとんど笑えなかった。
このシーンがリアルだったなら、老作家に取り巻きの記者たちが忖度していると感じさせるようなもの。愛子さんが最も嫌う状況ではないか。
それでも、妻や娘に嫌悪され捨てられる吉川を演じる唐沢寿明は、愛子との交流を通じて少しづつ開かれていく様を好演している。
リアルに90歳の草笛光子は、日本映画史上最高齢主演だそう。頭が下がる。
今年で100歳を迎えた佐藤愛子さんご本人が本作を鑑賞してどう仰ったのか知りたい。
「あたしはこんなろくなもんじゃないよ!」というようなコメントを聞きたい。
コミカル主体だが味わい深さもある
主人公である断筆宣言をした作家・佐藤愛子がエッセイ集『九十歳。何がめでたい』を家族、編集者を巻き込んで再執筆し完成するまでとその後をコミカルに描いている。劇中で紹介されるエッセイ、主人公の台詞は人生の手引書のような含蓄があり、コミカル主体だが味わい深さもある作品である。
断筆宣言から2年後。愛子(90歳)は仕事人間だったので、やることもなく自宅でテレビを見て家族に愚痴を言う鬱々とした生活をしていた。そんな時、冴えない出版社の編集者・吉川(唐沢寿明)からエッセイ執筆依頼が舞い込む。彼女は吉川の粘り強い依頼に根負けし執筆活動を再開し一気に活性化する。不透明で生き辛い世の中を一刀両断した小気味良いエッセイを綴っていく・・・。
再執筆の最初に綴られる騒音に関するエッセイが素晴らしい。新聞記事を題材に、流れるような美しい文章で、戦争体験を交えた自己主張は説経臭く無く素直に心に吸い込まれていく。彼女は、断筆後も毎朝、数部の新聞を読み。社会の最新情報を収集していた。故に、2年間断筆直後に社会的なエッセイが書けた。断筆はしたが彼女の書きたいという作家魂は死んでいなかった。
主人公を演じる草笛光子も90歳だが、年齢を感じさせない立ち居振る舞い、バイタリティーに圧倒される。歯に衣着せぬ毒舌で周りを爆笑の渦に巻き込むだけではない。時に90年の人生経験から放つ言葉は人生訓のようであり、なるほど、さすがと頷いてしまう。彼女は、執筆を再開してからは、社会に敏感に反応して人と関わって生きている。
一方、主人公と対象的な存在とし吉川が描かれる。彼は妻と離婚し娘からも見放される。彼は仕事人間で家庭を全く顧みなかった。働くことが美徳の時代は過ぎ去り働き方が変わった社会に鈍感だった。そんな吉川にも主人公は面白い爺になれとエールを送る。
人生100年時代。変わっていく社会に敏感に反応すること、人と関わることがいつまでも活気ある人生を送るには大切だと感じた。
90歳、ただただあっぱれ
草笛光子生誕90年記念作品
久々に楽しい映画を観た。草笛光子さん、唐沢寿明さん他、大物俳優たちが、大勢ちょい役で出演していて、わくわくした。きっと草笛光子さんの人徳によるものだろうと思うと、この映画の目指したものがよりはっきりしてよかったと思う。
よりよく生きるとか愛される年寄りになれとか、説教くさいことを言うと折角の映画が台なしになるような気がするので、なるべく言わないようにしたい。
でも、
人生100年時代、なにがめでたい!と毒を吐きながら、ちょっぴり人に迷惑をかけるかもしれないけど、ちょっと弱音は吐くかもしてないけど、お互いさまということで許してもらい、のんびり愉快な人生を送れたらいいなと思う。
そのためには、生涯現役で…、というとハードルが高いので、とりあえず、新しいことにチャレンジする気持ちを大切にしてゆきたい。
佐藤愛子といえは、”先にあいさつもなしに逝ってしまった”、遠藤周作や北杜夫の盟友だったとおもう。彼らの作品はよく読んだが、実は、佐藤愛子の作品は読んだことがない。
まずはこのあたりからチャレンジしてみようと思う。
いやそこまでは売れないだろとは思ったけど
昭和を感じた感動の秀作❕
平和で、心穏やかに観ることができる作品です。これ意外と得難いかも。
前田哲監督作品は、最近では「老後の資金がありません」とか「水は海に向かって流れる」とか。「老後」はドタバタコメディ寄り、「水」はロマンチックコメディ寄りだった。品がよく、心穏やかに観ることができるところが共通。逆にいえばアクがなく味が薄いともいえる。
本作も同様。佐藤愛子は90歳を過ぎてからのエッセイはさすがに戦闘性が薄れてきたが、元々は歯に衣着せぬもの言いで有名な論客。この映画でも佐藤本人および家族の写真がふんだんに出てくるが(年賀状の写真など)本物はかなりケレン味が強い感じを受ける。それが役者による映像になると、草笛光子、真矢ミキ、藤間爽子の母娘孫でぐっと品が良くなるところが面白い。
草笛光子という人はSKD出身で、お嬢様女優ということでもなかったが芥川也寸志と結婚していたこともあり何処か都会的な印象がある。
本作でも品がよく可愛らしい高齢者を見事に演じていて、佐藤愛子本人に似ているかいないか、読者の持つイメージと合っているかどうかは別として、とても魅力的なのである。
繰り返しになるが、本作品は品の良い、平和な、心穏やかに観ることができる作品です。まあ映画で嫌な気分になる必要はないものね。
超オススメ!竹を割ったような痛快作品!!
*
まずこれを言わせてください
「草笛さんのエネルギッシュな演技に拍手!」
この役は草笛さんしか考えられません!
元気でパワフルで恐れ入りました…
三十そこらの若輩者の僕より全然元気です
足腰丈夫!声もよう出る!びっくりしました
*
佐藤愛子さんのことは存じ上げなかったのですが
あの本の表紙とタイトルは知っていました
にわかに知っているということは
当時相当なブームを巻き起こしていた、
ということなのでしょう
劇中で紹介される一つ一つの話が胸に刺さり
その度に僕は泣いてしまいました
この作品のよいところは
泣けるだけでなく笑える場面も盛りだくさん!
連載の説得に菓子折りを持って
やって来る編集者のことは追い出すのに
お菓子はしっかり受け取るところとか…
もう本当いろいろあります
(ぜひ劇場で楽しんでください!)
利便性を追い求め続ける僕たちや世の中に
「喝!」も飛んできてハッとさせられます…
ラストの会見シーンも号泣でした!!!!
*
佐藤愛子先生のお人柄と同じように
まどろっこしさなしの竹を割ったような作品!
どストレートに「スコォーン!!」と
胸に届きますっ、というかブッ刺さります!
気になってるって人は絶対観てください!!
後悔はしないです!しないと思います!!!
*
90歳過ぎてもバイタリティがすごい
作家の佐藤愛子は、90歳を過ぎ、断筆宣言して人づきあいも減り、毎日、特にする事もない生活を送っていた。そんな彼女のもとに、編集者の吉川がエッセイの執筆依頼をしてきた。最初は断っていたが、書き始めると、怒りのエッセイが大反響となり、愛子の人生は90歳にして大きく変わり・・・という事実を基にした話。
実話ベースで実際に90歳の草笛光子が愛子役をされてるだけで素晴らしいと思う。
佐藤愛子さんの本は読んだ事ないけど、映画の中で言ってたような事が書かれてるのだろう。バイタリティがすごいと思った。
編集者・吉川役の唐沢寿明、娘・響子を真矢ミキ、孫・桃子役の藤間爽子、吉川の妻役の木村多江など、素晴らしい役者が揃ってて、みんな上手かった。
愉快で爽快!
長生きする秘訣とは‼️❓
佐藤愛子の随筆の映画化、皮層的です、まあ、作り話でしょうから、ほとんど。
変装癖はエンドロールで流れますが。
余談ですが、長生きする人を統計的に分析すると、遺伝子と運、だそうです、病気になる遺伝子が少なく、事故や事件に巡り会わない、生まれながらの星と幸運の積み重ね、味気ないですが、真実でしょうか。
でも、佐藤愛子さんや瀬戸内寂聴さんなどを分析すると、長生きしてる人は、自己中でエロが半端ないそうです、それは参考になります、映画館でも元気な高齢者は映画中でも大声で雑談、スマホ使い放題です、元気で微笑ましい😀長生きするでしょう。
編集者のおじさんも自己中で楽天家、一人でも長生き出来る、真似したくないけど。
ところで、草笛さん、元気ですね。
石田ひかるの病院の人の態度、こんな人いるんでしょうか、なんか偏見感じます。
のんびりしてて、ほのぼのしました、オダギリジョーの電気屋さん、エアペイ使えるんでしょうか、あ、CMか。
たまには、何も残らない映画もいいもんです、ありがとうございました😊
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