「個人的な思いですが・・・」九十歳。何がめでたい 浅見探偵さんの映画レビュー(感想・評価)
個人的な思いですが・・・
佐藤愛子さんが八十八歳で断筆宣言をしたのち、九十歳の時に書いたベストセラーエッセイ集を原作に、今年生誕九十歳を迎えた草笛光子さんの主演で映画化された本作。けっこう映画の口コミ評価が高いので、期待していたのだけれど、まあ、佐藤愛子さんの気っぷの良さと、九十歳で現役バリバリ草笛光子さんの生誕九十歳記念映画、っていう以外は、これといって何もない作品だった。ほんとに何もなかった、としか言い様がない。評価は★3.5かなあ。
せめて、大きな夕焼けでも見つめながら、晩年を生きる佐藤愛子さんの悲哀とか、郷愁とか、そういう人生の晩年に佇むような情景のひとつでもあれば、もっと深まった映画になっていたのではと思った。よけいなお世話かな(笑)。
私は45年ほどまえに、北海道の日高の修験寺院で半年ほど暮らしたことがある。M先生というそれはそれは痛快で同朋磊落な行者さんのお寺だった。その先生の霊能に魅せられたのか、豪放磊落ぶりの人柄に惚れたのか、日高の浦河町に別荘を持っていた佐藤さんは先生の信者さんだった。それで佐藤さんの(一部で有名だった幽霊)別荘にも2度ほどでかけて、お会いしたことがある。シャキシャキとして、淑女っていう感じの、気持ちのよい作家先生だった。
あれから半世紀が近く経ち、M先生もお隠れになり、お寺も今や廃寺となったのだが、いまなお矍鑠と元気に活躍されているという佐藤先生は、ほんと凄いなあと思うしかない。大したものである。そうそう、主役を張られた草笛さんも大したものだ・・・という感想でもある。これは、映画の評論ではないけどね(^^;)
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