「平和で、心穏やかに観ることができる作品です。これ意外と得難いかも。」九十歳。何がめでたい あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
平和で、心穏やかに観ることができる作品です。これ意外と得難いかも。
前田哲監督作品は、最近では「老後の資金がありません」とか「水は海に向かって流れる」とか。「老後」はドタバタコメディ寄り、「水」はロマンチックコメディ寄りだった。品がよく、心穏やかに観ることができるところが共通。逆にいえばアクがなく味が薄いともいえる。
本作も同様。佐藤愛子は90歳を過ぎてからのエッセイはさすがに戦闘性が薄れてきたが、元々は歯に衣着せぬもの言いで有名な論客。この映画でも佐藤本人および家族の写真がふんだんに出てくるが(年賀状の写真など)本物はかなりケレン味が強い感じを受ける。それが役者による映像になると、草笛光子、真矢ミキ、藤間爽子の母娘孫でぐっと品が良くなるところが面白い。
草笛光子という人はSKD出身で、お嬢様女優ということでもなかったが芥川也寸志と結婚していたこともあり何処か都会的な印象がある。
本作でも品がよく可愛らしい高齢者を見事に演じていて、佐藤愛子本人に似ているかいないか、読者の持つイメージと合っているかどうかは別として、とても魅力的なのである。
繰り返しになるが、本作品は品の良い、平和な、心穏やかに観ることができる作品です。まあ映画で嫌な気分になる必要はないものね。
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