九十歳。何がめでたいのレビュー・感想・評価
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日本のおばちゃまたちの元気の秘訣は…
公開日を少し過ぎた本作品、密かにロングランヒットしているということで、本日の映画サービスデーは気になっていた本作品をチョイス。客層は予想通りかなりアダルトでした。自分の席につくと、おば(ぁ)ちゃま2人が仲良く談笑の真っ最中。一瞬席を間違えたかと思いましたが、多分間違えたのはおばちゃまたちよ🙄悪びれることなく席をスライドするお2人のお喋りは、映画の予告編中終わりを見せない。映画本編を見る前に、日本のおばちゃまたちの元気の秘訣を知ることとなる。
エンドロールで「2023年に佐藤愛子先生が100歳を迎えられた」とでるやいなや、観客のおば(ぁ)ちゃまたちからは一斉にため息が漏れた。
「こうありたい。」「こんな風に生きられたら」という憧れにもにたザワメキとため息。これこそが、この映画が上映される意味なんたと思いました。
内容はご想像どおり、観れば元気をもらえる痛快エンターテイメント!細かいことにクヨクヨ悩んでる自分が馬鹿らしくなります。子ども2人を成人させた私ですら、ここではまだまだ若輩者。90歳、100歳にして現役で輝いて生きている人はそれだけで憧れます。
主演の草笛光子さん、90歳にしてスクリーンで今なお輝くそのお姿は、中高年の希望です。唐沢寿明さんも、歳をとられたんですね。トレンディドラマも良かったですが、悩める中高年役も素敵でした。途中お楽しみチョイ役キャストがスパイスになって楽しめます。オダギリジョーさん、LiLiCo、石田ひかりさん、清水ミチコさんなどなど。特に、タクシー運転手役の三谷幸喜さんは、ノリノリで思わず笑ってしまいます。
昨今の映画館では、空前のアニメブームもあり上映作品の半分にもせまる勢いで、アニメ作品のラインナップが増えています。それはそれで、時代なのかとも思いますが、本作品のようにおじちゃまおばちゃまが元気になれる作品がもっと増えるといいなぁと思いました。
問答無用で楽しめる作品ですので、頭を空っぽにしてご来場ください♪
草笛光子。非常にめでたい!
綾小路きみまろの漫談でこんなのがあった。
“鏡の前の女の一生”。
10代。鏡の前で、大はしゃぎ。
20代。鏡の前で、にらめっこ。
30代。鏡の前で、美しく微笑んだ。
40代。鏡の前で、遠目の姿に納得した。
50代。鏡を、拭いた。
60代。鏡の前を、通り過ぎた。
70代。鏡を、捨てた。
80代。自分を、捨てた。
そして90代。女性の鑑と言われた。
さすが巧い事言うなぁ、と(笑)。
歳を重ねていく度の女性の心境や嘆きを、毒舌笑いにしつつ、しっかりオチで讃歌する。
だけど、当事者たちは実際どう思っているだろう…?
女性の鑑?
こちとら身体が痛い。目も悪い。頭も痛い。心臓も悪い。世の中も悪い。何もかもガタガタ。あ~あ、早く死にたい!
何がめでたい!
小説家・佐藤愛子。
恥ずかしながら実在の方だと知らず、勿論著書の方も…。こりゃ怒られるな…。
社会を鋭く批判する作風で、数々の文学賞を受賞。長年の活躍・功績から紫綬褒章も。
そんな女史が90歳になって書いたエッセイ。今の世の中に対して思う事を一刀両断。
世の中がコンプラに配慮してなかなか言えない事を、辛口ながらもズバッと言う姿勢が受け、ベストセラーに。
そういや、90歳の女性作家が今の世の中に斬り込んだ本が受けている…というのは何かで聞いた事がある。
それそれ。本作はそれを基にした映画化。
しかし、エッセイを書くまで一苦労。
90となり、断筆を宣言した愛子。
途端に生き甲斐を失い、TVや世の中へ鬱憤を漏らすだけの日々。
ほとんど外出もせず、一緒に住む娘・響子と孫・桃子はまだまだ跳ねっ返りは強いものの何処か元気の無い愛子を心配。
そこへ、出版社の編集者・吉川が訪問。執筆を依頼。
断筆宣言した愛子は書かない、書けない、書きたくない!…の一点張り。手土産持参で何度も何度もしつこく伺う吉川。
90歳の頑固ばあさん対50代のしつこい編集男。壮絶な(?)戦いの結果は…
根負けし、渋々執筆を承諾。ただし、隔週で。
こうして、エッセイの執筆に漕ぎ着けた。
愛子のエッセイ誕生秘話だけではなく、編集者の吉川の訳あり奮闘記でもある。
敏腕編集者として手腕を振るってきた吉川だが…
時代錯誤のパワハラ気質。セクハラの疑いも。若い社員たちから次々訴え。
本人に自覚ナシ。仕事上やコミュニケーションの一環。
問題となり、今の部署を外される。引き取り手の無い吉川はかつての後輩が編集者を務める部署へ。
若い連中とソリが合わず。
その頃編集部では愛子を特集し、執筆の依頼を。が、若い担当編集者は頑固な愛子にKO。
特集のテーマは“4つの時代を生きてきた大先生が今の世の中に物申す!”としたエッセイ。
テーマに面白味を感じた吉川は変わって担当に。
ちょっと今の世の中に取り残された二人だからこそ、面白おかしく、ズバッと!
愛子のエッセイは今の世の中への不満を思うがままに述べたものだが、ただ辛口なだけじゃなく共感も。
例えば、新聞でこんな記事を見て。保育園の新設に近隣住民が反対。子供の声がうるさい、と。
何と嘆かわしい。子供の声がうるさい? 私は子供が元気に叫び、はしゃぎ、笑う声が大好きだ。生きている事を実感し、この国が明るく幸せな証。
その思いは戦争時の体験から。空襲の際は町中が静まり返る。ビクビク怯え、恐怖し、町や人々が死に絶えたかのように。もうあんな思いは真っ平。騒がしいくらいがいい。
暗い時代を生き抜いた人だからこその言葉。しみじみさせるものもあれば、愛子節炸裂の毒舌も。
世の中、年寄りは厄介者扱い。そのくせ敬老の日なんか設けてその日だけは労って、それ以外の日はまた厄介者扱い。年寄りを労れ!
今は何をするもスマホ。人との交流よりスマホ。あたかも得意気そうに。そもそもスマホはアンタが作ったもんじゃないだろう! 自分で成し遂げたものはナシで、何かに頼りっきり。けしからん!
日本人総アホ時代!
正直自分にもチクチク刺さるものあるが、何かついつい頷いてしまう。
吉川は共感しきり。
彼のパワハラへの周囲の反応も過剰。そういう風刺でもある。
世のハラスメントは問題だが、何かとそれに結び付ける過剰な今の世の中にも首を傾げてしまう。
呆れたハラスメント。文の最後の“。”。今の若い連中は威圧感を感じるらしく、“マルハラ”なんだとか。バカじゃねぇの!(←ちなみにこれもハラスメントになるのだろう。ハァ…)
不平不満だけじゃなく、家族の思い出も。
飼っていた亡き犬。北海道旅行の時、狐に教われていた捨て子犬を保護し、“ハチ”と名付けて飼う事に。
が、その頃執筆に忙しく、構ってやれず。寂しそうなハチ…。
ハチが体調を崩す。栄養を付けさせる為に愛子特製の“グチャグチャ飯”を。ハチの前にも2度犬を飼っており、このグチャグチャ飯で長生きした。
ところが、ほどなくして死去。グチャグチャ飯がいけなかったのか、さすがに落ち込む愛子。
犬の気持ちが分かるという友人がハチの焼香に。ハチの遺影を前にした途端、ハチの言葉が…。
嘘か真か。が、その言葉を聞いた愛子の目に…。
吉川もこのエッセイを読みながら…。
“家族”に対して表情曇る吉川。
彼のパワハラ気質は職場だけじゃなく、家庭でも。
家庭の事は無関心。妻や娘の事もほとんど見ようとせず。
うんざりした妻は娘を連れて家を出、離婚も申請。会う事も拒否。
突然の事に吉川は放心状態…。
ある時久々に娘と会う。プレゼントやら用意するが…
プレゼントなんか要らない。一緒に暮らしてた時は見も気にも留めてなかったくせに、何今更?
“家族”というより赤の他人がただ一緒にその場にいただけ。ママが泣いていた事知ってる? もうママを自由にしてあげて!
私でさえ耳や胸が痛い。娘にこんな事を言わせて、吉川は完全KO。
図々しさだけが取り柄だったのに、体調を崩してしまう…。
暫く連絡が取れなくなった吉川に、仮病か…? そんな愛子も…。
エッセイがベストセラーとなり、一躍時の人に。
取材やらTV出演やらネットでの新連載やら慌ただしく。
それが負担になったか、ある日倒れてしまう。しかも、症状は思っていた以上に重く…。
響子からの連絡を受けて、吉川は急いで駆け付ける。
そこで見たのは顔に白い布を掛けられた愛子の姿…。
まさかの展開…?!
軽快なコメディだったのに、悲しい結末に…?
あれ…? 佐藤愛子女史って亡くなったんだっけ…?
いえいえ。現在100歳超え(!)でご健在。ちなみに98歳で再び著書を…!
突然忍び寄った死の影すらも“びっくり”で笑い飛ばす。
所々ベタな部分もある。ベストセラーとなったエッセイを、町行く人々皆が手に持ち至る所で笑って読んでいるシーンはちょっと盛り過ぎ感が…。
でも、本作にはちょうどいいんじゃないかな。
『老後の資金がありません!』に続いて“老後”や“人生のこれから”を題材に。
前田哲監督の演出は、終始カラッと楽しいヒューマン・コメディ仕立て。
唐沢寿明はちとオーバー演技な気もするが、巧く作品を面白く見せてくれる。
愛子の娘役・真矢ミキ、吉川の妻役・木村多江らも好助演するが、多彩なゲストキャストが楽しい。オダギリジョー、清水ミチコ、LiLiCo、宮野真守、三谷幸喜、石田ひかり…。
おそらく“座長”を称えて。言うまでもない。
草笛光子劇場!
言うわ言うわの毒舌辛口。だけど何処かお茶目でユーモラスで品もあり。
役柄と同じ90歳だからこそのハマり役。(本作は草笛光子90歳記念映画でもある)
草笛さんの最近のご活躍。『老後の資金がありません!』で快演を見せたかと思えば、本作ではさらに土壇場。今年も主演映画が公開される。
70年以上も第一線でご活躍されてきたが、まだまだ日本映画界は草笛さんを放っておく事が出来ないようで。
確かに元気な姿を見ているだけでこちらも元気を貰える。
草笛光子現91歳。非常にめでたい!
そんな人生の大先輩からエール。
作品のメッセージや締め括るようなラストの愛子と吉川の対話。
生きづらい今の世の中。
どう生きたらいい…?
嫌われたっていい。迷惑掛けたっていい。
喚いて。もがいて。
憎まれっ子世にはばかるじゃなくて、憎まれっ子世にはばかれ!
いい人になろうとせず、面白い人であれ。
今や人生100年時代。
50代なんてまだまだ半分。
90代で女性の鑑…? いやいや、それ以上になれる。
人生100年楽しまなきゃ損々。
面白く、楽しくあれ!
言葉を胸に響かせるには
気持ちの良い作品
カッコ良くて茶目っ気たっぷりの愛子さんと光子さん
鑑賞日7月2日。記憶が曖昧になってきて、正確でない所があるかもしれません。
テレビで観た「老後の資金が足りません」の方は現実離れしていて、身につまされる感が無かったですが、本作は面白かったです。
筆を折ると決めてからも新聞は全紙チェックし、実は社会との接点は持っていたい佐藤愛子さん。編集者の吉川からの執筆依頼もまんざらでない様子で、二人のやり取りが楽しかったです。
吉川は時代遅れのパワハラ・セクハラ上司という設定で、確かにハラスメントに当たるのでしょうが、私には部署を移動させられる程ひどいとは思えませんでした。 唐沢さんが演じたからかもしれません。
本が評判になって人々がこぞって読んでいるという描写。リハビリ中に歩行器で歩きながら、あるいは太極拳をしながら……こういうウソっぽく、かといって爆笑する程面白くもない演出は、私は好きではないです。lilicoさんが読んでいるシーンは良かったです。
筆は折るものでは無い、折れるのだ
ほんとうにおもしろい作品!最高!
ほぼ想像通りの映画でした
前日に同じコチラの映画館で見たのが『新米記者トロッ子私がやらねば誰がやる!』。
私の年だと、『九十歳。何がめでたい』の方が断然見やすい話でした。
(いわき旅行中に駅前のまちポレいわきで鑑賞)
佐藤愛子さんの本は80半ばの母親に頼まれて3〜4冊amazonで購入した事がありました。
私自身は読んだことは無かったけど解説などで、どんな感じかは分かっていた。
いわゆる毒舌系ですね。
それが小気味よいらしい。。
映画の方は、ほぼ想像通りの映画でした。
主演の草笛光子も実年齢は90歳との事。
元気ですね。
唐沢寿明が演じる編集者も良かった。
断筆していた佐藤愛子に何かを書かせるのは難しかっただろうと思う。
この編集者の家族の話はフィクションとしても、佐藤愛子がエッセイを書き始めた実話ベースの話なんでしょうね。
この映画を見る若い人はほとんどいないでしょう。
映画は、無理して見る必要はない。
見たい映画を見たい時に見れば良い。
前日に見た青春映画の話を受け入れづらかったとしたら、合わなかったというだけの話。
既に映画館へ行きたがらない高齢な母親へサブスクで見せる前に、時間があったので私が見てみる事にした。
当初は食指は動かなかったが、時間も合ったので見て見る事にした。
練達の役者二人の演技の掛け合い
断筆宣言をした90歳の作家・佐藤愛子と、彼女に連載エッセイを書いてもらいたい窓際の中年編集者の攻防を描いたコメディ・ドラマです。
二人の年齢設定からして、その攻防は昭和レトロ感に満ちたやり取り交渉になり、懐古志向を漂わせて進行していきますが、展開は全て室内での会話で進みます。アクションも謎解きもなく、まるで舞台劇のような印象でした。
ただ主役の草笛光子の意固地な“静”、相手役の唐沢寿明の口八丁手八丁の“動”、練達の役者二人の演技の掛け合いは、仄々とした中に頑固者同士の生き生きした迫力があって、つい惹き込まれてしまいます。
草笛光子80歳、唐沢寿明60歳、それぞれの熟練の滋味が巧く沁み出していたと思います。
佐藤愛子氏の同名エッセイが原作ですが、その自然流の生き方とポリシー、変に人生哲学めいた大仰な構えでもない、ブレない確固たる人生への捉え方は印象的でした。価値観が急速に変容している現代においては、その確かな生き方が鮮やかにくっきりと浮かび上がってきます。激動の昭和をしなやかに生き抜いた強かさと狡猾さが透けて見えるようにも思います。
本作は、己の信念に従って生きることの美しさ、尊さ、清らかさ、高潔さを、面白おかしく訴えているのではないでしょうか。
観賞後、1979年に107歳で亡くなった文化勲章受章者の彫刻家・平櫛田中氏の晩年の言葉を思い出し、改めてその意味を咀嚼したしだいです。
曰く「60,70鼻たれ小僧、男盛りは100から100から」
曰く「いまやらねばいつできる わしがやらねば誰がやる」
編集者の功績が大きい
次は百歳になった草苗光子を観てみたい!
病床の母が元気に
母が入院しており、病院に行く合間に鑑賞してきました。
そして佐藤愛子先生パワーを母に伝え、入院中ですので映画を見に行くことは
できないので「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」
を差し入れしたところ
それまでなかなか好転しない病状にしおれていた感じでしたが、
本を1日1冊のペースで読み。急に気力が出てきたので助かりました。
映画の内容は前半は作家活動をやめていた佐藤先生が描かれ、張り合いもなく
体も弱る一方。動くのは新聞を門まで取りに行くぐらい。
この様子を草笛さんがノーメイク?に近い状態で
一番最初は先生がご存命とも知らずおそらく晩年の様子なのか…と勝手に想像する
ようなシーンが撮られていました。
そこから時代遅れの編集者に押しまくれ、作家活動を再開するいきさつ。
これも非常に面白かったです。
そして「九十歳。何がめでたい」というエッセイ集が完成。
これが大ベストセラーとなり、記者が押し寄せ先生もどんどん張り合いを取り戻す
という元気が出る話。
かいつまんで映画のあらすじを入院中の母に伝えたところ
「そりゃ映画も面白いだろう。目に浮かぶわ」とのこと。
大病ですので映画にはいかれないけど前述のとおり、本を持ち込んだところ
元気をいただき、無事退院することができました。
生き甲斐
原作は知らずに…,
高齢で筆をおいた作家が生き甲斐を見つける物語。
後先ない人生を悲観することなく、言いたいことを吐き出すことで人生を謳歌する。
また今のコンプラ時代に逆行する編集者との掛け合いを軸に描くことでそれぞれがイキイキとなる過程を丁寧に描いてて好感が持てた。
ただドラマとしては楽しめるがテレビ放送を考えた作りをしてる点が見え隠れしてる様に思え残念でした。
ぼやきは不思議と嫌な気がせず面白い
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