「幅広く愛されるシリーズに相応しい一作目」ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ おくずさんの映画レビュー(感想・評価)
幅広く愛されるシリーズに相応しい一作目
洋画ファン、かつ原作ゲームを2014年からずっと追っているFNaFファンでもある者です。
映画化の話が上がってから8年が経ち、ここまで大きなコンテンツとなった今もう大コケする作品になるんじゃないかとヒヤヒヤしていましたが、OPからもうそんな心配をばっちり吹き飛ばしてくれました。
ゲーム等のコンテンツを原作とする映画は、原作の雰囲気を意識するあまり白々しい演出に寄ってしまう事が多々あります。もしくはその逆、ドラマ性を重視した結果原作からかけ離れ、原作ファンからブーイングを貰うパターンです。
原作のゲームはホラーというカテゴリにありながら真の魅力は緊張感のある作業プレイ、裏に潜むドラマ、そしてキャラクター達の魅力にあります。
この3つをブラムハウスという「奇妙な不気味さ」を撮るのに大変優れたスタジオが見事に映画という形に仕上げてくれました。
five nights at freddy'sは今やアメリカにおいて幼い子供から大人まで幅広い年代に愛されるゲームとなっています。(日本で言うイオンの様な国民的モールでもグッズが普通に売られ、ディズニーやマインクラフトと一緒に並べられているほどです。)
今回の作品ですが、そんな幅広い層のファンから年齢を絞らない、多くの方が観れるドラマとなっています。
前述の通り、元々ホラー要素がメインではない作品ですので、怖さが控えめなのも程度として適切だと思いました。(三部作予定との事ですので、1作目として抑えているのを考慮してもいい判断だと思います。)
特徴的な監視カメラ視点という要素を使ったホラー演出も「パラノーマル・アクティビティ」を撮ったブラムハウスと大変マッチしていると感じました。
そして原作ファンが思わず唸るような原作要素がこれでもかという位ふんだんに入ってます。
この要素は少し加減を間違えると原作を知らない人を置いて行ってしまうというリスクがありますが、私の思う限り作品を邪魔することなく、とても綺麗に落とし込んでいたと思います。本当にとんでもない量入ってます。
この点に関しては是非、パンフレットに記載の“サバイバルガイド”を見て頂きたいです。原作ファンもそうでない方も、2回目を観に行きたくなるような楽しめる原作要素や注目ポイントが案内されています。(日本国内へ向けたFNaF布教活動を長年してるyoutuberイシイニキからの紹介がたっぷり載っています。映画観る人は是非パンフ買って欲しい。)
少なくとも私は、長年とても楽しんだこのFNaF というコンテンツで「まだこんなに楽しませてくれるのか」と、FNaFを追ってきて良かったと思える作品でした。
【追記】ーーーーーーーーーーー
「想像していたホラー感、ゴアさ、スプラッタが無かった/物足りなかった。」といったレビューを散見しました。恐らく「ウィリーズ・ワンダーランド」のような映画を想像していた方でしょう。
元々はfive nights at freddy'sにインスパイアされ、スプラッタと爽快感をメインにして出来た作品がウィリーズ・ワンダーランドという映画だったのですが……。
日本において知名度の低い状態で、映画としては後発した事。そしてニコラス・ケイジの日本における人気(笑)。これらによって派生作品のイメージが出来上がった故に、元となる作品が悪い評価となっているのは大変残念です。
例えるならば「サメ映画なのに派手なパニックシーンやコメディが足りない。シリアスなドラマ多すぎ」と『JAWS』が評価されているような感じです。
原作となるゲームは「セサミストリートみたいな機械の人形たちってどこか不気味だよね……」というトラウマじみた不気味さを感じるテイストがホラー要素のメインとなっています。(つまり常に恐怖するようなホラー要素やスプラッタはメインでは無いのです。)
そのどこか不気味な雰囲気を持つ舞台の裏にはドラマが……?という魅力が真髄となる作品です。
是非、人形×ホラー=スプラッタやゴア表現というイメージを捨てて見ていただけるとその魅力をより楽しめるかと思います。