「原作云々よりも、単純にドラマパートが不要で、怖がらせも弱すぎて話にならない」ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
原作云々よりも、単純にドラマパートが不要で、怖がらせも弱すぎて話にならない
2024.2.9 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年のアメリカ映画(109分、G)
アメリカでバズったホラーゲーム『Five Nights at Freddy‘s』を原作とするホラー映画
廃墟になったエンタメホールで起こる不可解な出来事に巻き込まれる夜間警備員を描いている
監督はエマ・タミ
脚本はスコット・カーソン&クリス・リー・ヒル&タイラー・マッキンタイア
物語の舞台は、ある地方都市で廃墟となった家族向けエンターテイメントセンター「Freedy Fazubear‘s Pizzaria」
そこで勤めていた夜間警備員の空きができたために、人員募集がなされていた
そこで働くことになったのは、前職にて客に手を出してクビになった警備員マイク(ジョシュ・ハッチャーソン、幼少期:Wyatt Parker)で、彼には幼少期の頃に抱えた大きなトラウマがあった
それは、弟ギャレット(ルーカス・ギャラント)が目を離した隙に誘拐されて行方知れずになっていたことだった
今では、年の離れた妹アビー(パイパー・ルビオ)の面倒を見ているが、叔母のジェーン(メアリー・スチュアート・マスターソン)は親権を奪うために弁護士を介入させていた
アビーを育てるにはマイクの経済的な状況が悪く、それによってソーシャルワーカー(Victoria Kidnapper)らの介入があるのだが、話は全く進展する気配はなかったのである
映画は、不親切なキャリアカウンセラー・スティーブ(マシュー・リラード)との絡みから始まり、働き出してからは、なぜそこにいるのかわからない警官ヴァネッサ(エリザベス・レイル)などが登場する流れで、このあたりは原作準拠なのかなと思ってしまう
とりあえず舞台設定をはめ込んでいる印象があって、このあたりの雑な導入は気にしない方が良い感じになっている
センター自体も廃墟なのに警備員が必要という謎設定で、原作だと警備員室からほぼ出られないのだが、映画だと結構自由に出入りしていく
動きを作らないとダメなのはわかるが、それでも「なんのために警備員が必要なのか」とか、「昼間は不要な理由は何?」とか、気になり出したら止まらない設定が多い
ホラー要素として、真夜中の廃墟という設定があり、そこに過去の事件が絡んでくるというもので、マイクだからこそ起きている様々な要因というものがある
アビーをあの場所に連れてくるための仕掛けも強引で、あの年齢なら留守番してたらOKなのじゃないの?と思ってしまう
そもそもが年齢が離れすぎていて、見た目は親子という感じがナンセンスで、そのアビーには何かが見えているというのも必要なのかわからなかったりする
結局のところ、過去の事件の犠牲者の一人がマイクの弟ということなのだが、その犯人がキャリアカウンセラーと一緒というオチも結構弱い
彼がマイクの過去を知っているから無理やり働かせたがったのかがわからず、偶然とすれば間が抜けているように思える
この辺りの舞台設定を細かく設定するよりは、とりあえず閉鎖空間で何かに襲われるという理不尽さを描きつつ、アビーだけは守らなければならないというふうに結んだ方がわかりやすかったのではないだろうか
いずれにせよ、ゲーム原作の映画化なので、元ネタを知らないとわからない部分が多い印象
映倫区分Gのホラー映画なので描写もマイルドで、起こっていることも単純なものが多い
そのかさ増しのためにマイクの過去のトラウマがあったりするのだが、それが彼の中で起こっているだけなので、本当に必要だったのかも微妙のように思える
導入までの流れをバッサリと削って、何も知らずに働き出したら、封印していた過去が蘇るという方が自然で、かつてその場所は弟を見失った場所と重なる部分が多いとか、もっとやりようがあったと思う
マイク自身がその場所を避けたかったが、アビーとの親権争いのためにやむを得ずに働くことになり、それがさらに彼の心を蝕んでしまうぐらいの方があっさりして良かったのではないだろうか