「これもクリスマス映画🎄」ウィルバーの事情 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
これもクリスマス映画🎄
マッツの生誕60年映画祭でとても楽しく新鮮で笑えた映画群の監督や脚本はアナス・トーマス・イエンセンだと知った。その彼が脚本に関わっているので本作を見た。デンマークとスコットランド協力、話す言語は英語、舞台はスコットランドという設定。英語の原題は"Wilber Wants to Kill Himself"、デンマーク語の原題もおんなじ感じで素直でダイレクト。コメディなのだ‼️
自殺願望が強い男ウィルバー。いつ何をしでかすかわからないウィルバーから兄のハーバーは目が離せない。父親の古書店を継いだハーバー、隣接の住まいから変な音がしたら直ぐに店を閉めて駆けつける。ウィルバーは色んな方法で死を試みるから、兄は家の中の刃物も電化製品も薬も徹底的に回収する。弟がまだ5才の時に亡くなった母親も、古書店の店主だった父親もウィルバーを溺愛していたと兄は言う。両親が居ない今、兄はウィルバーのことだけを考えて生きていると言ってもいい。ウィルバーは幼稚園の先生で子ども達から圧倒的に愛され支持されている。一方で、病院の自殺願望患者とのセラピートークでは嫌われ者でウィルバーもそこは好きじゃない。
兄は弟を恨んだり妬いたりしないし、弟を疎ましいとはこれっぽっちも思わない。ひたすら優しい。ひたすら弟を大切に思っている。彼の古書店に古本(といっても自分の本でなく職場である病院にある本)を売りに来る、少女のように小柄なアリス。貧しいシングルマザーでメアリーというかわいい娘がいる。ひょんなこと(たまたま店に居たアリスが弟の首吊りに気づいて助けた!ひょんなことではない!本当は)からアリスと兄ハーバーは結婚する。ハーバーはアリスとメアリーを心から愛しアリスは初めて幸福というものを知る。ハーバーはアリスにウィルバーの様子を見ていてくれと常に言う。何度も何度も言われるがアリスは嫌な顔ひとつせずその通りにする。そしてウィルバーは兄の大きな愛をさり気なくプレゼントされ、長年自分を苦しめていた自殺念慮から解放された。
マッツの役は、兄弟に心を寄せる精神科医ホルスト(病院内で殆ど常にタバコを吸い、クリスマス・イブには病院で看護婦といちゃいちゃする。この変さは、アナス・トーマス・イエンセンの脚本だから?!)。本作は2002年の映画、マッツ37歳。ヘアスタイル、肌が今と全く異なり、目が生々しい。変マッツとハーバー&ウィルバー兄弟とアリス&メアリー母娘に笑いと共に癒された。
