罪と悪のレビュー・感想・評価
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罪と悪と馬鹿?
過去の事件と現在の事件がリンクして、ってプロットはまあありがちな話で、描きたいのは人間ドラマなんでこのプロット使わせていただきましたって作品か? にしてもディティールが雑すぎて、ミステリーとしては成立してないし、人間ドラマもいろいろ中途半端。
前半風呂敷広げてたんで、後半のたたみかたを期待していたらどんどん話が破綻していった。
とにかくツッコミどころ満載である。とくに酷いのは、直哉の自殺体を発見するや、部屋を探しまわってベッドの下から血痕のついた石を見つけて「これを探していたんだ」ハイ、小林少年の殺害被疑者決定ってあんまりじゃないか? 捨てにくい特殊な凶器ならともかく死体は河原に、凶器の石は自宅のベッドの下ってありえんだろう。田舎の警察はノーミソないのか?
珍しく佐藤浩市が死なない役だった。
「それはあなたの想像ですよね」を神様視点で彼らの妄想にしても良いものだろうか
2024.2.8 アップリンク京都
2024年の日本映画(115分、PG12)
高校時代の親友がある事件を機に過去と向き合う様子を描いたクライムミステリー
監督&脚本は斎藤勇起
物語の舞台は、日本の地方都市(ロケ地は福井県福井市)
サッカー部に所属する阪本春(高良健吾、青春期:坂元愛登)、𠮷田晃(大東駿介、青春期:田代輝)、朝倉朔(石田卓也、青春期:柴崎楓雅)、木田直樹(石崎柊斗)は大の仲良しで、終始行動をともにしていた
朔には兄・直哉(坂口辰平、青春期:深澤幸也)がいて、彼もサッカー部に所属してゴールキーパーをしていた
そんなある日、正樹が川で死んでいるのが見つかってしまう
春は「おんさん(大槻ヒロユキ)」と呼ばれる河川敷に住むジジイが犯人だと決めつけ、晃と朔を連れて、その小屋へと向かった
そこには正樹の血のついた靴があり、逆上した彼らは、男をボッコボコにしてしまう
さらに朔は、その辺に転がっていたスコップを拾い、それで男を殴り殺してしまう
春は二人を先に返し、小屋に火を放って、一人罪を被ることになった
それから20年後、3人は再会を果たすこともなく、それぞれの職業に就いていた
春は地元の悪ガキを保護する半グレのような状態になり、晃は父(蔵原健)と同じ警察への道へと進む
朔は父(久保耐吉)の農業の手伝いをして、直哉はいつからか部屋に引き篭もるようになっていた
春は小さな売店と土建屋を営んでいて、街の厄介な仕事を引き受ける何でも屋の顔を持っていた
そんな彼の元に「ヤクザの店で暴れて逃げた少年」を探している、地元の白山會・清水組の組長・志水(村上淳)とその手下の村田(成田瑛基)がやってくる
「情報は渡すが引渡しはしない」という条件のもと、春は少年の情報を伝えるものの、一向に捕まる気配がなく、再度清水は脅しをかけてきた
そんな折、清水が探していた少年・小林(本田旬)の死体が、正樹が殺されたのと同じ場所で発見される
そして、小林の殺人及び死体遺棄の捜査に晃がつくことになった
彼は最近地元に戻ったばかりで、春との再会に因縁めいたものを感じる
だが、二人は立場上相入れることはなく、それぞれの方法で犯人を追うことになる
20年前の事件に関しても、もしかしたら他に犯人がいて、彼らの殺人は間違いだった可能性も出てきてしまうのである
映画は、現在進行形の事件と20年前がリンクする形になっているが、実際には全く関係のない事件で、少年時代の因縁が再燃する形となっている
言わば、偶然の一致が起こした「過去の清算」であり、それが晃の帰省とともに起こっていると言える
晃は「20年の間に変わってしまった地元」という異世界に入った存在で、その世界の問題を解決する役割を担う「異世界招聘もの」に近い印象がある
ただし、晃自身もその異世界の問題の一端を担っていて、それが父から流れを汲む現地を統括する刑事・佐藤(椎名桔平)の存在だった
晃自身は現地の問題を解決するというよりは、父のあとに肥大化した街の暗部と向き合うことになっていて、これによって「罪と悪の関係性」を突きつけられることになるという構図になっている
結局のところ、過去の犯人は誰かという流れがあり、それが推定有罪のような形で後始末がつけられるのだが、これがこの街の流儀ということになる
この流儀に晃は反発するのかはわからないが、佐藤が引いている防衛線に関しては抗うという姿勢を見せている、という感じになっていた
いずれにせよ、役者の演技を堪能するには良いが、絡むと思われる事件が無関係だったり、真犯人の「お前らの想像だろ」から抜け出せていないのに致してしまうのはどうかと思う
彼は何一つ自白などしておらず、あの時に起こった本当のことは晃と春の脳内妄想でもない
あの過失(実際には殺人ではない)だと罪になることもないので、あの石を持ち去ったことと川に遺棄したことで彼を断定する何かが付着してしまっている(兄は共犯となっている)
それを踏まえると、穴だらけのシナリオになってしまっていて、天の声だけが知っている真実を「決して知り得ない彼らの妄想」にしてしまうのはナンセンスではないだろうか
24-020
半分は任侠映画
高良健吾主演だが、メインは大東駿介かな。
序盤、キャラ名は出してくれるものの、カットの切り替えが早く覚えづらかった。
現代を先に少しやってくれた方が、リンクさせて把握しやすかったかも。
ミスリードのつもりかもだけど、DV親父や奢ってくれる担任教師も結果的にはノイズ。
現代になっても、ヤクザ関係のゴタゴタが長い。
春が少年たちの面倒を見るのは佐藤との関係かとは思うが、本筋との関わりは薄いような…
メインの背景が薄いのに情報量が多く、このあたりが個人的にはバランス悪く感じた。
少年院には入ったものの、家庭も経済も春が一番満たされているため、謝罪が響きにくいのもあった。
引き摺ってたと言う割に出所の出迎えにも行ってないし。
真犯人の動機も、22年も前のことのためにと考えると説得力を感じず。
過去と同じ場所に死体を遺棄するのも、蒸し返されるデメリットしかない。
その間に春を狙ってないのもおかしいし、濡れ衣着せるにも黙っててくれた兄弟を殺しますかね。
そもそもが劇中でも言われたように偶然と想像でしかなく、そこに到る根拠も足りてない。
(学校から直で向かったのに、スパイクはいつ用意した?)
最後の轢殺も無理があり、朔役の演技がイマイチなのもあって乗り切れなかった。
要素が増えすぎて、最も描くべき“人間”が薄くなっていたのが一番残念です。
2つ目の犯人の動機は!?
面白い題材ですが、疑問点が多くモヤモヤしました。個人的な感想です。
1つ目の正樹の死亡について
警察の捜査→未解決
映画の中では事故と判明しました。
2つ目の不良少年の死亡について
警察の捜査→またもや未解決
映画の中では、想像の域で犯人が割り出されますが、そもそも犯人が不良少年を殺す動機については語られなかったように思います。
おもむろに凶器の石がベッドから出てくるし、警察は一体何をやっていたのでしょう?
暴力団が事件に絡んでくるのではと思っていたのですが、どうも関係ないように感じました。
雰囲気はよかったのですが、どうもスッキリしませんでした。
罪の意識とそれから
2024年劇場鑑賞7本目 良作 60点
韓国ノワールを意識しているだろう予告の雰囲気とタイトルの邦題感と韓国俳優の様な風貌の高良健吾に、寄せてきてんな〜〜と思いつつもそれなりに期待して鑑賞
結論、んん〜絶妙に作品としても心残り的にも盛り上がりきらないから印象に残りづらいなぁと思いました
というのも、随所に要素として似ている箇所が多く、町や若者と中年の構図が孤狼の血の様だし、街を題材に地にへばりついた悪循環というかそういったのがヴィレッジだし、テーマがパッとしない感じ
個人的に面白かったのが、子役たちが名前は個別に挙げるのが面倒なので省きますが、罪の声の子や雑魚どもよ大志を抱け!、CUBEや明日の食卓などに出演していた子役の子が勢揃いしていて、ここ3.4年邦画を沢山見る様になったので、丁度数年前チョイ役や子供時代の役を演じていた子達が、学園ものをやるにはまだ幼い年齢なので、ある種貴重な集結作品になったなぁと思ったし、みんな今後飛躍していくだろうから、成長の過程の経過を更新できたのは楽しみ方として一つ良かったです
内容としては、高良健吾が絶妙に板にはまってなくて、個人的に彼の出演作は貴公派で二枚目な感じの印象が強いのと、見た目的な線の太さや、声とか悪みが薄い感じがしました
生まれ育った家庭環境によって育まれた人格、大人になり生業として堕ちたにしても変わらず守りたいのはあの頃淡い幼少期を色眼鏡なく接してくれた仲間を守ることであって、これは物理的にもそうだし、高良健吾自身にとっても他二人や亡くなった一人含め集団としての温かさであって、前述の薄い感じや高良健吾の綺麗なお顔含め、良い人が拭えなかった
監督は初の長編デビューだそうで、さぞかし沢山映画見てきたんだろうなぁと思ったけど、テーマ的にも演出的にも摘んできたのを集約した感じがオリジナルさがあるようで、尖がないなあと思ったので、次回作に期待です
悪を裁く
渋すぎるキャスト、好きなジャンル
(ジャパニーズ)ノワール的な雰囲気漂う本作。
公開前からチェックしていましたが、2、3日ボーーーっと生きていたら
後2日で公開終了だと?!
え?早くない?!
焦って朝イチの回を予約。
急ぎたいのにこんな時に限って眉毛が上手く描けないo(`ω´ )o
ガタガタ眉毛でゼエゼエ着席。
本作は、
齊藤勇起監督自らが手掛けたオリジナルの脚本で挑んだ長編デビュー作だそう。
邦画を応援し隊・副隊長としましては贔屓しちゃいます♪
13歳の少年5人は幼馴染でサッカー部。練習に汗を流し、帰り道は自転車でふざけ合い笑い合っている、何処にでもいる中学生に見える。
(聡実君と同級生やんかぁ〜)
しかし、その中の1人春の家庭は荒んでいて、妹は幼くして亡くなっているとわかる。ゴミが散乱した部屋で、父親から暴力を振るわれ、母親からも責められていた。
さっきまでの春の笑顔を思い出して初っ端から辛すぎる。
親父もクソだが、母親も最低で、2人共マジ◯んでくれと思ったo(`ω´ )o
私も子の親になったからか、この手の描写については怒りの沸点が低くなる。序盤で既に怒りの感情が湧き上がる。
対して晃は刑事の父と母、姉妹と楽しげな食卓を囲んでいた。
その対照的なシーンにも心が痛む。
さっきまで2人共同じように笑い合っていた。
それなのに。。
ろくでもない名ばかりの親の元にいる悲劇。
春が不憫で仕方なかった。
あの固くなったご飯。捨てる事はせずお皿に移していたよね。
もしかしたら春が食べるのかな?
と想像し一瞬のシーンだったが泣いたよね
( ; ; )
そして妹の死因も。。なんて考えもよぎった。。
いつもの様に橋の上で待ち合わせをしている春と晃。
来るはずの正樹は現れず、程なくして河川敷で正樹の遺体が発見される。
春、晃、朔は、正樹を殺したのは
「おんさん」と呼ばれる男だと思い込み家に押しかける。
そこで男に襲われた3人は揉み合いになり、晃の決定打で男を殺害してしまう。春は自分が罪を被ると2人を追い払い、遺体と共に家に火を放つ。
春の悲惨な家庭環境から想像し、いつか自分は、父親を、母親を、殺してしまうだろう。
だからいずれはこうなるのだから。。と、2人を庇う事に何の躊躇もなかった姿が切なくて堪らなかった。
そして事件は幕を閉じたはずだった。。
時を経て、事件から22年後、刑事になった晃(大東君)は父の死をきっかけに町に戻り、春(高良君)
朔(石田卓也さん)と再会する。
共通の秘密、罪を背負った3人。
特に晃と朔は春に罪を背負わせた後悔と懺悔の気持ちを持ち続け生きていた。
朔は家業の農家を継ぎ、春は地元の不良少年達を集めて闇の仕事も請け負う建設会社を経営する社長になっていた。
(春の中学生時代を知っている身からすると(誰やねん)
あ〜、やっぱりそ〜なって、こ〜なるよねぇ〜、と落胆したのだが、生きる事を諦めないでいてくれた事に安堵した)
今では全く立場の違う3人。
生きる世界も違っていた。
そんな中、20年前と同じ河川敷で少年の遺体が発見される。
それぞれの心の奥にしまい込んでいた事件の扉が再び開いていく。。
半グレ・春、
ヤクザ・佐藤(ムラジュン)、町を牛耳る男・佐藤(浩市さん♡)が絡み、複数の事件が重なり合う。各々の信じる正義が違うので、それぞれの立場で「正義」を貫いていく過程と、春、晃、朔の運命の行方が見所。
そして田舎の町の恐ろしさも描いていた。
小さなコミニティーの中の暗黙のルール。
(「Village」っぽい)
この町は悪人と警察の結び付きが根強いようで(晃の父親も然り)犯罪を大目に見たり、見逃したり。。
面倒ごとは春(半グレ)に振って春もその見返りを得ていた。
笹原、佐藤の正義も、春の正義も
「この町のルール」として成立している所が恐ろしいと思った。
(「孤狼の血」っぽい)
町を出ていた晃。
彼の思う正義は通用するのか?
(ここが描ききれていなくて残念)
小林少年の死と20年前の事件の真相とは? 罪と向き合うとは?
罪の真実と正義の在り方を問う、二つの時代を行き来するミステリーで、楽しめましたが。。
ちょっと理解できなかった点が多かったよ
(°▽°)
①朔は秘密をばらされたと勘違いして正樹を殺害?
春、晃との再会をきっかけに、真相を知っている直哉も口止めの為に殺害?
②直哉は自責の念にかられ引きこもった?
正樹の遺体を朔と一緒に河川敷まで運んだ共犯?それを苦に自死?
上記の可能性は高いが、やっぱり自死ではない気がする。。
③小林少年は清水組の金を奪った事が理由で殺害された?と思わせておいて実はこれも朔が?!?!
ではなぜ遺体をあの場所に?
朔は春と晃に真相がバレるのを恐れた。
よって20年前の正樹の事件も直哉の仕業であったと思わせる為、同じく河川敷に遺体を放置して、二つの事件に関連性を持たせた?
そして直哉自死(と見せかけて)という結末で、自らの罪を背負わせた??
のか??
そーだろ?朔?!
悪はお前だったんか!!
そうだとすると、朔の事故はたぶん。
真相を知った春が、法では裁けない朔の罪を、あの少年を使って制裁を下したって事よね?!
どうなんでしょうか?('◉⌓◉’)
皆さん教えてw
謎が謎を呼ぶ展開や複数の事件、人間模様が絡んでくる様は見応えがあり楽しめましたが、、
投げっぱなしな箇所もあり、ともすると半グレの正義が正しいと勘違いされかねない読み取り方も出来るかも?と思ったり。。
登場人物が多いから難しいとはわかっているが、人物像をもっと深掘りして欲しかったかな。
上手いはずの高良君含め、みなさんの演技も何故か棒読みセリフのオンパレード。何で?!この違和感は何なの?!
私の耳がバカなのか、聞き取りにくいセリフもあり、集中力が途切れた。
「ウォンサン?」「ホンサン?」
外国の方??あ〜「おんさん」ww
ベテラン3人が出て来ると重みが増したので、何とか耐えられた(°▽°)
晃の先輩刑事勝也さん(金カム牛山さんw)こんな刑事さんいそう!でリアルな感じがしたのと、
春の父親母親、小林少年の母親
(ベッピンさんで魅力的だが、、お前もぉ〜!毒親で。。消えてくれ!)
には思いっきり胸糞な気分にさせられました。
よって高評価 d( ̄  ̄)
それから春の右腕的なあの彼
(けんたろうって呼ばれてた?)は誰なの??タイプ〜♡
あと、終始、大東君が粗品に見えてイヤだった(°▽°)
私が読み取れないのか、作品がごちゃついているのか(イチャモンか!w)
ちょっとてんこ盛り感はありますが、
齊藤監督にはこれからも注目していきたいと思いました。
うん。まずまず♪
説得力
少年時代の罪を抱えた男たちの友情と苦悩の物語
中学の幼なじみ5人組はその内の1人がある日遺体で発見されたことにより近所に住む変わり者のおじさんが怪しいとにらんでおじさんの家に向かうが、そこで偶発的におじさんを殺してしまう。阪本春(高良健吾)1人が罪を引き受け少年院に入る。
22年後彼は不良少年たちを雇いヤクザともうまく付き合いながら地元で建設会社を経営していた。
幼なじみの1人吉田晃(大東駿介)は父の想いを継いで刑事となっており、春の会社の不良少年たちが騒ぎを起こした事件捜査に関わり、また地元で農家をしていた朝倉朔とも出会って22年前の殺人事件に絡んだ物語が動き出す――
過去の幼なじみの遺体を思い起こさせる殺人事件が起こったことで、否が応でも過去のおじさんを殺した記憶が蘇り、緊張が走る。
反社会勢力との付き合いもある春と刑事の晃、捜査する者とされる者という立場の違いにより徐々に対立していく2人。
その中にあっても過去の秘密を共有しあう不思議な友情がそこにはあった。
その苦悩や葛藤を高良健吾、大東駿介、石田卓也の3人が好演していて、ドラマが非常に濃厚!
地方都市の闇の部分も見え隠れし事件が加速していく展開に引き込まれていく。
役者陣も名優揃いでなかなか見応えのある力作でした。
ガソリンどこで手に入れた?
推理物としては少々舌足らずで、謎解きではなく、思春期の秘密を共有した登場人物達の葛藤に重点が置かれている。
おんさんを単純悪者とし、佐藤刑事の事情にも深入りしないことで元少年達の苦悩がより鮮明に浮かび上がり、その行動から目が離せなくなる。
自分が彼らだったらと思うと胸が痛くなるような作品だった。
福井弁は全くないけど、福井にずっと住んでる設定
意識
今週の新作どれ見ようかなーと思って用事を済ませた後の時間と照らし合わせたら今作のみだったので、思いつきで劇場に飛び込みました。韓国っぽいノワールかなとあらすじやポスターからは想像していました。
結構好みの作品でした。演技やら演出やらに難はありますが、全体的にどっしりと重い雰囲気が最後まで続き、子供の時の罪の意識が大人になってとも持続している陰湿さが良かったです。
中学生時代に起こしてしまった殺人、勘違いもあったし実際に怪しいおじさんがレ○プをしていた事実もあったし、いくつも要因が重なってしまった起きた殺人を大人になっても抱えていた同級生3人が再会して、あの時の事件を同じ町で思い出す…といったわりかし現代でもありえるテーマをうまく絡めたエピローグがとても濃かったです。
中学生の頃の帰り道ってあんな感じにじゃれあってたよなぁとかしみじみ思ってしまいました。
ミステリー要素は後出しなので、あぁそうなるのねという感じであっさりしていたので、田舎ならではの閉塞感だったり、声に出さない無意識の罪だったり、そっちにもっとフォーカス当たっていればなと思いました。
全編に渡って会話が不自然で、なんだか演技してるって感じの会話なので棒読みチックでむず痒くなってしまいました。下手ではないと思うんですが、なんだか個性をかき消されてしまっていたなと思って残念でした。
主演3人に椎名さん、佐藤浩市さんは抜群の存在感で今作の内容の深さをより掘り下げていってくれていたなと思いました。
中学生のメンバーは辿々しいところもありましたが、あれぞリアルって感じがしたので欠点にはなっていなかったと思います。
終盤の展開は読めてはいましたが、驚かされるところもありましたし、かつて罪を分けた3人だからこそできる会話と会話のぶつかり合いは好みでした。実際は朔が犯人で、なんとかして黙っていたけれど、結局はバレてしまう…。細い絆すらも絶たれた瞬間は中々心に来るものがありました。
ただどこからともなく買われた恨みで轢き殺される朔はなんだか可哀想だなと思いました。あの時の警備員の対応も冷静すぎてなんだか血の気が通ってないように思えました。
オリジナル作品でここまで完成度の高いものを観れたのは中々の収穫だったと思います。上辺だけ掬った感じはありましたが、それでもこういう作品は多く作っていってほしいなと思いました。監督の次回作に期待しています。
鑑賞日 2/3
鑑賞時間 17:55〜20:00
座席 I-13
それぞれの罪と悪への向き合いかた…
握り拳のまま相手を抱擁する主人公
高良健吾演じる春は、握り拳のまま相手を抱擁する。手のひらを開いて相手を包み込むのではない。力を込めて自分の方へ引き寄せるのだ。そこに、春の生き方の覚悟が感じられる。
しがらみを断ち切って一度は離れた地元に戻ってきた晃や、しがらみを感じながらも身を隠すかのようにひっそりと暮らす朔に対して、春は、その地元のしがらみの中で登り詰め、生き抜いてきた。
彼自身が本当はどんなことを考えているのか、我々にははっきり示されない。ただ、警察やヤクザとも対等に渡り合いながら、後輩たちや自分の家族や友人たちを守る様子は伝わってくる。かつての彼の境遇にありながら、そうした行動をとる彼の生き様を目の当たりにする内に、我々観客は、何が正義で何が悪なのかを、問い返させられることになる。
途中、椎名桔平演じる佐藤が、「過去を暴いてどんな意味がある。誰のためになるって言うんだ」というようなことを部下の晃(大東駿介)に問うシーンがある。正確な言葉は失念したが、晃はそれに対して「これからの人たちのためだ」と答える。
自分はこの場面が、昨今の「過去に起こった問題を告発する者に対する、加害者側を擁護するかの如きネット民の論調」への答えのように受け取れて、心に響いた。
春の選択など、観る者によって賛否は様々だと思う。自分も、2度目を観ると全く違う感想を抱くかもしれない。けれど、それはこの映画がそれだけの奥行きと広がりを持っているということに他ならない。
「雑魚どもよ、大志を抱け!」に出ていたメンバー
坂元愛登や田代輝など、少年たちの演技も素晴らしかったことも付け加えておく。
そっちに進むのかぁ
監督のオリジナル脚本
監督が助監督時代に、この作品の構想等を高良健吾さんに話されており、初監督作品として実現されたものだという。
監督が脚本もオリジナルで書き下ろしているだけあり、作品のテーマや演出等一貫性があり、重いテーマながら血の通った作品であったと思う。観る者が各演者を主観客観様々な角度で、各々の『罪と悪』を掘り下げながら浮き彫りにしていく工程を鑑賞後半日経っても楽しみながら余韻に浸っている。久しぶりに深く考えさせられる趣深い邦画に出逢えた。もう一度劇場で観たい作品。
故郷の川に向かいて言うことなし
『クリント・イーストウッド』の〔ミスティック・リバー(2003年)〕は
『デニス・ルヘイン』原作の映画化で且つ秀作。
本作は監督・脚本の『齊藤勇起』によるオリジナルも、
設定を含め同作からの影響や引用が散見。
中学校のサッカー部に所属する仲の良い四人組。
そのうちの一人が増水した河川敷で遺体で発見され
残された三人は郊外の廃屋に住む男を犯人と疑い押し掛けるが
そこで事件は起きる。
それからニ十年後、
うち一人は尊敬する父親に倣い刑事として町に戻り、
また一人は地元でトマト農家となり、
もう一人は少年院を出所した後、町の顔役になる。
そしてまた昔と同じように、
河川敷で青年の他殺体が発見され
三人は否応なく過去に向き合うことに。
あまり良い言い方ではないが
〔ミスティック・リバー〕の記憶が強烈なため
本作はかなり霞んで見えてしまう。
なにがしかの新機軸を打ち出せれば良かったのだが。
同じように狭い世間の話しながら、
更に小さく纏まってしまっている印象。
『春(高良健吾)』一人が罪をかぶったことにより咎を逃れた
『晃(大東駿介)』と『朔(石田卓也)』の贖罪がテーマかと思いきや
二つ目の死体が出たことで
俄然謎解きの要素が強くなる。
誰が何の為に、夫々の事件を起こしたのか。
独立事象と見えた二つの殺人は、しかし
ある証拠が出たことから一転
繋がっている疑いが出て来る。
しかし、この証拠の存在そのものが
いかにも不自然で収まりの悪いことこの上なし。
また、二つ目の殺人が
どうして可能なのかも
最後まで釈然としないまま。
本編では閉塞した狭い世間ゆえに起きた幾つもの事件であることも語られるが
これも取って付けたよう。
『春』が思い描く自分の未来と
『晃』が目指すしがらみのない世間のカタチは
単に語られるだけで、
どのように成し遂げられるかも明らかにされないことにも不満が残る。
大言だけあって、観客には提示されることはない。
そんな人間の営みとは関係なしに、
舞台となった町の中を
我関せずとばかりに滔々と川は流れる。
存在感を見せつけるように。
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