劇場公開日 2024年4月5日

「無意識に向けていたナイフに気付かされる」ノルマル17歳。 わたしたちはADHD natsuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0無意識に向けていたナイフに気付かされる

2024年4月28日
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鑑賞方法:映画館

社会はほとんど無意識的に“普通”を押し付けていて、それが彼女たちには如何にナイフとして作用しているか、ということを痛感させられた。

また、そんな当事者が本音をさらけ出せる(それを言い訳だとか思わず、否定の言葉なく聴いてくれる)安全な存在が身近にあることがどれだけ大きいか、逆にないことがどれだけ致命的か、という点も考えさせられた。

家族が安全な存在になれればベストだと思うが、一方で家族側の積年の苦悩も垣間見えたり、また一方で家族には本人の長所の部分であったり本人が本人なりに頑張っている面が十分に見えていない様子も描かれており、家族の問題に押し込めてノータッチでいる無頓着な社会にも罪があるのでは・・・など、観終わってからも色々考えさせられている。

全体を通しては、当事者から見える景色はこんな感じなんだというのを窺い知れると同時に、自分も今ある社会もしょせんは“普通”サイドの視点からしか考えられていなかったのだなというのを思い知らされる作品だった。
身近にADHDの人を持つ人にこそお薦めかなと思う。

2人の突飛な出会いから始まるものの、朱里ちゃんの底抜けに明るく天真爛漫な感じの雰囲気がフックになって、観易かったです。

natsu