「演出はなかなか。」ファミリー・ディナー 風のビリーさんの映画レビュー(感想・評価)
演出はなかなか。
僕が5〜6歳の頃、はじめて従兄弟の家で夕食を頂くことになった。そのときはカレーをみんなで作って食べることになったのだが、あのとき僕の中には何とも言い難い違和感を感じていた。
カレーの味はもちろんのこと、中に入っている具材(肉、野菜)は僕の家のカレーとは全然違ったからだ。
誰しもこんな経験はあるだろう。親戚や友人の家に行った時に、それまで自分の中にあった常識とはまた違ったものがそこにはある。今思い返せばたいしたことではない。しかし当時の僕からしたら少しの違いでも、かなり奇妙に感じたものだ。
この映画「ファミリー・ディナー」もまた、そんな異文化に出会したときの違和感や気味の悪さをを教えてくれる。誰もが異常だと認める「シキタリ」も、当人たちからして見れば、それは常識なのだ。
映画の演出は素晴らしい。しかし、ストーリーは少し物足りない。それは時間が経って痛んできた「肉」を、他の具材と混ぜて味付けしたカレーのようだ。
どんなストーリーでも、味付け次第ではここまでカッコよくなると学べる映画でもある。見て損はないだろう。
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