あんのことのレビュー・感想・評価
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伝えたいのは絶望か希望か?この映画が伝えたかったもの
なんの情報もなく、予告編を観て観ようと決めていた作品。始まりからどんよりとした映像と心重くなる内容に、この先への腹を括る。
草薙くんと慎吾ちゃんは騒動後も活躍しているイメージがあったが、久しぶりにスクリーンで観た稲垣吾郎ちゃんがとても新鮮であった。あまり丁寧な説明のない登場であったが「あなた誰よ?」とはならない自然な溶け込み方で主張しすぎることもしなすぎることもなく、ちょうど良かったと思います。そして、メインの多々羅刑事役は佐藤二郎さん。最近ではもっぱら福田雄一監督の作品に、なくてはならない曲者役者として活躍されています。今回は普通(失礼かな😅)の役どころで、物語のキーパーソンでした。それでもやはりいつもの佐藤節は健在で、クセはあります。一癖も二癖も…。でも彼の演じる何者かは、いつも現実社会のどこかに存在していそうなキャラなので、そこまでの違和感はないのです。そして、主人公のあんちゃんを演じた河合優実ちゃん。今回初めて彼女の名前を覚えました。並々ならぬ覚悟で今作に臨んだ彼女の決意が感じられる渾身の演技で、心をえぐられました。他の役も観てみたい、今後が楽しみな役者さんです。
さて、内容はというと…
非常に重いです。
ただ救いのないラストにそこまで引きずられなかったのは、この映画が観る側になんの感情も強要することなく、それぞれの立場の登場人物たちに起きた出来事をただ淡々と伝えることに重きを置いていたからだと思えます。
観終わった後すぐに調べたのは、この映画が事実なのかどうかということ。そして本当の衝撃はそこから…。コロナ禍という未曾有の有事の中、ノンフィクションでないにせよ、このような現実があったという事実に、もはや重い宿題をもらったような胸苦しい気分になりました。絶望する者、手を差し伸べるもの、事実を追い求めるもの、それでもそう生きるしかなかったものたちの圧倒的リアルな物語。
伝えたかったのは、絶望か希望か?
目を逸らすことなく
しっかりと胸に刻む。
杏の希望と絶望を分かち合う
河合優実演じる杏の生々しい実在感に終始圧倒される映画。佐藤二朗の熱さと個性、稲垣吾郎の静かな佇まいが、杏の過酷な人生を見守る私たちのいたたまれない気持ちを少しだけ和らげる。
事前に読んだネット記事には、本作をコロナ禍の物語であると評するものもあった。ただ、個人的な印象としては、そのように括るほど単純な話ではないように思える。
杏は、新聞記事に載った実在の女性がモデルとなっているそうだ。入江監督は、コロナ禍の空気を記録しておきたいという思いもあったものの、「コロナ禍と社会的弱者というテーマがあったわけではなく、むしろ記事に書かれていたひとりの女性について、より深く知りたいという動機が先にありました」と語っている。
そして確かに、この映画は杏(ひいてはモデルになった女性)の心に分け入り、彼女の痛みと希望、絶望をひたすら分かち合う映画になっていた。多々羅の罪やコロナ禍でコミュニケーションが分断されてゆく様も描かれるが、それらの描写に何かを断罪するニュアンスはあまりない。杏の人生があのように進んでいった原因について安易に単純化するような決めつけをしないという、彼女へのリスペクトが感じられた。
河合優実に、元になった記事の女性が憑依しているような錯覚を覚えた。
もちろん直接彼女を知っているわけではないし、またあそこまで酷いDVが起こっている家族に現実に接したことはない。それでも、杏の感情の動き、弱々しくも少しずつ立ち上がり、どうにか前を向いた心がまた折られてゆくさまは生々しいリアリティをもって胸に迫ってきた。見知らぬ彼女に出会ったような気持ちになり、気づけばその行く末を心配しながら見守っていた。
彼女を力強く救い出す多々羅にも心を揺さぶられた。彼があの熱さとちょっとしたユーモアで杏の人生に介入したからこそ、彼女に希望の光が差したことは疑いようのない事実だ。行方をくらました杏を多々羅が見つけて抱きしめるシーンには心を打たれた。
一方で、自助グループの世話役という立場を悪用し、参加者の弱みにつけ込んだ犯罪を犯すというアンビバレントな一面に困惑した。これは実話で、杏のモデルの女性を親身に助けた元刑事が、実際に別の相談者への性加害容疑で逮捕されたという。
そういったエピソードがフィクションにアレンジされる時、こういう行動をとる人物は、得てして「間違いを犯したけど本質的にはいい人」あるいは「実は悪い人だった」といった感じで単純化されがちな気がする。一見相反する行動に何らかの説明をつけ、わかりやすいように描かれる。
しかし、多々羅の描写にそんな辻褄合わせはない。でも、物語を邪魔するような矛盾は感じない。むしろ人間はそんなものかもしれない、とさえ思わせる。この辺の説得力は佐藤二朗の力量も大きいのだと思う。
物語においては、コロナ禍の孤独も確かに杏にはきつかったが、それより多々羅が杏の前から消えたことが彼女の絶望を後押ししたように見えた。それくらい多々羅の存在は杏にとって大きく、唯一のよすがだった。
ただひとつ押さえておきたいのは、多々羅の犯行を報じた桐野が最後に後悔の念を見せていたが、彼は仕事をしただけで間違ったことはしていない。杏と多々羅の縁を断ち切ったのはあくまで多々羅の行動である。
杏の母親を演じた河井青葉の迫力もすごかった。あの容赦のなさがないと、杏の絶望は観客に伝わらない。母親はなぜあのようになってしまったのか。母親が杏をママと呼ぶことに、祖母との母子関係の歪さが透けて見える。現在は一見穏やかそうな祖母と母親は、親子としてどのように過ごしてきたのだろうかと考えたりした。
気になった点もあった。
ひとつは、後半で杏に無理矢理預けられた子(この子のエピソードと、杏を取材した記者と多々羅の告発記事を書いた記者が同一人物、という部分は創作だそうだ)を演じた子役の扱いだ。杏の実家で母親の剣幕に晒される場面も心配になったが、オムツ替えの時に股間をしっかり映してたのがちょっと……。実の親の許可は当然取ってるんだろうけど、本人はそれが映像に残ることについて理解できない歳だし、見てしまっていいのだろうかという気持ちになった。
ブルーインパルスをあの場面で出すこともちょっとひっかかったのだが、監督のインタビューを読むとブルーインパルスそのものがどうとかいうより、その時それを眺めていた自分たちへの自省がこめられているようだった。
「自分たちがブルーインパルスを見ていた一方で、こういう事件が起こって、こんな女の子がいた。地続きのところにいたにも関わらず、そういった事件に対して全く想像力を働かせてなかった自分に『一体何をやっていたんだ』とショックを受けましたね」
なるほど、と思いつつも、あの描写でそれが伝わるのだろうか、という気もした。
杏に子供を押し付けた母親(早見あかり)も、初登場時は随分勝手な人間に見えたが、最後に出てきた時は物語の締めの台詞のためかすっかり殊勝な態度になっていて、キャラがぶれたように見えた。行動の辻褄合わせの描写がないのは多々羅と同じだが、脚本上の人物描写の精度と役者の力量の差だろうか。
とはいえ、河合優実の全霊の演技でスクリーンに立ち現れた杏の実在感は揺らがない。悲しい最期を憐れむより、彼女がドラッグを断ち、あの実家から脱出して仕事を始め、学校に行くようになった、その頑張りを尊敬し、彼女の姿として覚えていたい。彼女の生きた軌跡を見て、そんな気持ちになった。
辛い…
実話が元になっているのが、辛い。
小学生の時に万引きさせられていた。その時点で、なぜ児相に繋がらなかったのか…。そこで保護されていたなら、違う人生になっていたかも。
12歳で売春
周りの大人の中に、善意ある大人はいなかったのか?
アル依存の親で、小学校も通えなかったから、自分でその場から抜け出せる知識も知恵もない。
今でもそんな人がいるのが、辛い。
本当に必要な人のところに助けの手が伸びていない。生活保護の申請も、実態を調べる前に門前払い。
話に引き込まれるけど、辛すぎた。
しんどい
素晴らしい、と表現するのが相応しいのか、わかりませんが、心に残る作品でした。
ただ、幸せになって欲しかった。
主人公への感情移入が大きかっただけに、この結末は、しんどすぎる。
心身ともに万全な状態でのご鑑賞をお勧めします。
出演者の皆さんの演技は流石。特に主演の河合優実さん!凄かった。
逃げ場がどんどん無くなる地獄映画🪦
日本の作品にしてはセット感の無い家の中だったり
アホみたいなセリフも無く効果音もほとんど無くストレスフリーでストレスがかかるのを満喫できました!
似たような作品だと遠いところがほぼまんまの内容でそちらも相当イヤーな気分も満喫できるナイス👍な作品です。(イヤな気分🟰映画を観て最も味わいたい感覚😂アクション映画の痛快感とか笑えるコメディよりも自分にとっては重要な要素です🫡)
この作品に関しては見た人の家庭の事情も含めて胸糞度合いにかなりの差があるとおもうんですが自分はそこまで胸糞でも無く普通に皆様の上手い演技を堪能するって感じでした!(とはいえ母親役の人のクソバカゴミっぷりには感動しましたよ!こんなバカクズゴミムシはとっとと死ねよって思いながら見てる時点で演技が上手いが故にイライラさせられて感情を突き動かされているって😱😡😭証拠ですから👍)
そういやあそこでアイツが逮捕されてなかったらあんは死なないで住んだのかもしれないけど あんが性犯罪の被害者になってたのか?(最後に刑務所で自殺したと聞いて泣いてる場面があるって事は あんに対してはそういう感情で助けた訳では無いからレイプはしなかったんだろうと自分は思いました😢
あと超個人的な意見ですが胸騒ぎの600倍はこちらのほうが胸糞です🤣
あんのことを忘れない
去年最も見たかった邦画の一つ。
が、地元の映画館では上映せず。隣町の映画館に行こうとしたが、都合付かず。結局見れぬまま上映は終わり、レンタルを待っていた。
何とか時間を作って観に行くべきだったと後悔した。去年のベストの一本になっていただろう。
見て面白かった/楽しかったの類いではない。悲しく、苦しい。が、胸に響き、突き刺さる。邦画に毎年一本は必ず現れる力作。
コロナ禍、新聞に掲載された小さな小さな記事。一人の少女の事を伝えてくれた入江悠監督に感謝。
21歳の杏。
幼い頃から母親から虐待。
小学校も中学校もろくに通わず。漢字もほとんど読めず、計算も出来ない。
母と足の悪い祖母と団地のごみ屋敷部屋で貧しい暮らし。万引きを繰り返す。
母親から売春の斡旋をさせられたのは12歳の時。
薬物に手を出したのは16歳の時。
虐待、不登校、極貧、犯罪、売春、クスリ…。少女が身を置くあまりにも過酷壮絶な現状。
100%同情はしかねない。そういう現状だったとは言え、犯罪やクスリに手を出してしまったのは自分の弱さであり愚かさ。
が、母親から受ける虐待は痛ましい。
幼い頃庇ってくれた祖母には優しい。
当初は跳ねっ返りが強かったが、根はいい子なのだ。
こんな地獄から抜け出したい。
彼女にだって夢はある。
しかし、どうする事も出来ない。
自分一人の力じゃどうにも出来ない限界がある。
誰か、手を差し伸ばしてくれる助けが…。
居た。
覚醒剤使用と常習で逮捕。
その時担当になった一人の刑事。多々羅。
口も柄も悪い破天荒な性格。が、人情に厚い。
杏の面倒を見る。職安に付き添い。事務的対応の職員に怒号。自身が開く薬物更生者自助グループ“サルベージ”を案内。
介護施設で働き始める。彼女の夢。祖母を介護する為、介護士になりたい。多々羅の口からそれが語られた時、胸打った。
最初働いた介護施設は酷い雇用形態。次の介護施設が決まる。
この時力になってくれた人物がもう一人。多々羅の友人のジャーナリスト、桐野。彼のツテで。
ここの施設の経営者も良かった。ある時居場所を突き止めた母親が乗り込んできて、騒ぎを起こす。バツが悪くなった杏は辞めようとするが、引き留める。
働きぶりが認められ、本採用にも向けて。担当老人からも気に入られる。
その都度障害になる母親を断ち切る為、家を出る。DV被害者が住むシェルター・マンションへ。こういうのがあるんだ…。
もう一度勉強し直す為、夜間学校にも通う。
現状から抜け出したい、自立したい、介護士なりたい…本人の熱望。多々羅との出会い、桐野との出会い。
生気の無かった杏の顔にも笑みがこぼれるようになり…。
更生と夢へ向けて歩み始めたかに思えたが…。
多々羅に不祥事。警察という立場を利用して、サルベージの薬物更生者の女性に関係を強要。
そんなリークがあり、探っていたのが桐野。記事を書く為に近付いていた。
多々羅は警察を辞め、逮捕。サルベージも閉鎖。
時は2020年。あの世界的パンデミック…。
介護施設は人員削減。夜間学校は休校。
一瞬にして頼れる人も居場所も失い…。
それでもまだ“救い”はあった。
マンションに住む若い母親から突然幼子を預けられる。
最初は困惑するが、面倒を見る。介護施設働いていたからか、面倒見は良い。
一緒に遊び、食事を作り、手探りながら育児に奮闘。愛情を注ぐように。
が、またしても。居場所を突き止めた母親が現れ…。
救いの無い悲劇的なその人生。
しかし、絶望の中にも、差し込んだ希望の光や根底に人の温もりを感じる。
入江監督は同情的に描く事を避け、懸命に生き直そうとした姿を心掛けたという。
救われ、笑顔がこぼれ、幸せを感じる事もあった。
行き付けのラーメン屋、カラオケ、仕事や自立引っ越しが決まって3人で集まってお祝い…。
それまでの人生には無かった事。
ここに居て、いいんだ。
こんな新しい人生を、歩んでいいんだ。
…そうあって欲しかった。
体現したキャストの熱演。
昨年大ブレイクした河合優実だが、それを象徴する本作。熱演。
生気の無い序盤から、次第に生気を取り戻す。本来は素直でピュアな性格を滲ませて。
悲しみ、苦しみ。あるシーンの嗚咽には胸かきむしられた。
屈託のない笑顔は彼女の本来の顔なのだ。
幼子へ見せる眼差しと優しさ。
モデルとなった女性へ敬意を払って演じたという河合優実。…いや、演じたというより、在りし日の姿を生きた。
佐藤二朗も『さがす』に続く名演。本当にこの人は福田学芸会から一刻も早く決別した方がいい。
荒々しい性格だが、嗚咽する杏を「大丈夫、大丈夫」と抱き締めるシーン、サルベージで自分の事を話した杏を「よく話した」とまた抱き締めるシーン…人情が滲み出る。
しかし…。まさかの不祥事。いや、犯罪。ショックだった。
どっちが彼の本当の顔なのだろう。薬物更生者の為に熱く奔走する姿は本当なのだろう。その裏で自分の力を利用して女性に手を出してしまったのも本当の姿なのだろう。
人に混在する二面性。考えさせられる。入江監督もモデルとなった刑事の二面性に衝撃を受け、本作を作るきっかけの一つになったという。
サルベージの取材と偽って、本当は多々羅の悪行を暴く為近付いた桐野。
一見するとジャーナリズムを正義の盾にして相手を騙したヤな奴だが、彼の立場もまた辛い。
多々羅との友情は本物だった。それ故葛藤。杏への気遣いも本物。
稲垣吾郎が巧演。
吾郎ちゃんの歌声も久々に聞いた。にしても…、桐野が多々羅に女性への性暴力について追及するシーン。今見ると何だか…。
複雑ながらも感情移入してしまう人物も居れば、一切出来ない者も。
杏の母親、春海には震え上がった。
娘へ愛情の欠片は微塵もナシ。殴る、蹴る。娘は身体を売って金を稼ぐ“もの”。娘を“ママ”と呼ぶおぞましさ。
私も多くの映画を見ているが、これほどの毒親…いや、猛毒親はなかなか居ない。この存在が居たからこそ杏へ感情移入してしまう。憎悪すら抱かせる超絶嫌われ役を引き受けた河井青葉の怪演も特筆。
早見あかりが演じた杏に幼子を押し付けた若い母親には賛否分かれる。子供を押し付け育児放棄したくせに、最後の最後、杏さんに感謝したいなんて、よくもヌケヌケと。
隼人くんが実母の元に戻って幸せに育てられるのか…? 悪い母親のようには思えないが…。
隼人くん、まだまだ幼く、このほんのひと時の記憶など無いかもしれない。が、成長して、ふと思い出してくれたら…。
僕は幼い頃、母親とは違う女性と少しの間暮らした事があった。とても優しくしてくれた。
ラストは見る者を、また杏を、絶望の底へ叩き落とす。
母親から祖母がコロナに感染したと聞き、再び団地へ。
それは嘘。杏をまた身体を売って稼がせる為に。隼人は人質に。
せっかく更生の道を歩み始めた杏。振り出しに戻ってしまう。
帰ると、隼人が居ない。泣き喚く隼人をウザがり、母親が児相に連絡して連れ去った後だった。
このクソ親…!
全てを断ち切られ、失った杏は…
当初は独りでいる事が自分の人生だった。
が、ひと度人と触れ合って、出会って。
その温もりを知ったら、もう独りには戻れない。
人の輪、夢、自立。自分の人生を歩み始めた。
それを全て失った。奪われた。
当初の独りの比ではない。
立ち直れないほど身を襲う孤独と絶望…。
空にはブルーインパルスが飛ぶ。賛否分かれる中一年延期で開かれたスポーツの祭典。
その華やかさの陰で、誰に知られる事もなく…。
どうすれば良かったのか…?
何が悪かったのか…?
何が間違っていたのか…?
そもそも毒親と悪運の元に生まれてしまった事。
自らの弱さ。
多々羅の裏の悪行。
桐野の暴露。
答えは出ない。永遠の水掛け論。
コロナが決定的なとどめを差した事は否めない。
いつまで続くの?…と思ったコロナもやっと鎮静化。
多くのものを奪っていった。
多くの人が失った。
志村けんさんが亡くなった時、言われた事。コロナが憎い。
本当にそう。コロナが憎い。
コロナさえ無ければ、私たちの生活も、世界も、平常通りだった。
杏も新しい人生を生きていただろう。
人生や世の中は本当に不条理。突然、何が起きるか分からない。
それでも懸命に生きた証。
あんのことを忘れない。
なんのこと?明烏?
この映画なら『子宮に沈める』を観てもらいたい。この映画の様な不幸に遭遇する前に餌食に遭っているはずだ。こんな毒親ならね。
貧困で苦しんでいる人達はこんなウマシカ者ばかりじゃない。
さて、
『義務教育を放棄したのは自己責任?』この言葉だけで、この映画の価値は決まると思う。
日本人の大概の人が忘れているか、間違って解釈しているって事。この演出家もそれを全く知らない。若しくは誤解している。また、見る者も知らない。
だから、こう言った間違いの映画が過大評価されてしまう。
薬に手を出さなくとも、明るく元気に春を売っている少女が沢山世の中にはいるんじゃないかなぁ?
夜間中学に行く場面が登場するが、昔にもこんな映画があったね。相変わらずの大日本帝國劇場。
『不幸を売る映画』や『春を売る仕事』はいい加減やめてもらいたい。
どうせなら、薬打たないで、毒親をなんとかして、警察のご厄介になるとかじゃないかなぁ結末は。
刑事が春を買っていたの?不味いでしょ。薄気味悪いね。
『親から虐待を受けた者が、また虐待を繰り返す可能性がある、と言うのは遺伝ではない。』それは間違いない。社会的な第三者によるバイオレンスが問題である事は既に示されている。この演出家は『遺伝を否定した』と言っているが、そんな事は普通外国人なら分かる事。誤解しているのは日本人。義務教育を知らない事と同様である。
寧ろ、自殺は遺伝するのかもしれない。この演出家の意図する結末だったのだろうか?トラウマになる感動的な結末。
だよ全く。
追記
パンデミックと関連付けしているが、この実話と言う事件は20年くらい前の事件なんでしょ?ちょうどバブリーな時代が終わる時期だ。大日本帝國はそれでも奈落を落ち続けたって事だね。
ナミビアよりこっち派
この作品の秀逸なのは
彼等に出会った事で
光に向かうと思わせた事
当たり前の抑圧に耐えられた杏が
一見束の間の希望に出会い
普通の人生に戻って行く事で
耐えられなくなっていく
綺麗な空気の生活に慣れ過ぎて
風邪を引きやすくなる様な感覚
多々良の二面性やコロナ
隼人との出会いと別れが
また彼女を孤独にしていく
警察も役所もあてにならない様
現代社会の救いはどこにあるのか
紙一重のやり切れなさ
この映画の本当にやりきれないところは、あんはいまもちゃんと幸せに生きれている可能性があることがわかりすぎるくらいわかることだと思う。彼が逮捕されなければ。母親に見つからなければ。あのマンションで誰かが一緒にいれていれば。シビアな環境だけれどそれでも生きていた彼女に、ちゃんと存在していた寄り添う人や救いが、ほんとうにもう一歩だけ、届かなかった、そんなお話。
物語的には救いが無い映画
昨年に見逃していたのでフォローできて良かった。
コロナ流行中の東京が舞台ということもあり、物語的には救いが無い映画だった。
稲垣吾郎さんは、役にハマっていたのか、悪くはなかった。
佐藤二朗さんは、小狡い汚れ役が良く似合う。
河合優実さんは、佐藤二朗さんに引っ張られた感じだけれど、良い演技。
この映画だけだと実力はよく分からないかも。
アカデミー賞で最優秀主演女優賞なのがよーく分かる。
コロナ渦の前~コロナ渦の頃に実際あった出来事を映像化ししたもの。
毒親のもとで育ち、小学校もろくに卒業できず10代で売春・覚せい剤、寂しさや怒りをどこにもぶつけることができない閉鎖的生活の杏。
献身的な警察官と思いきや、私利私欲の塊だったことが分かり、頼れると思ってたところですら断たれてしまう。
それでも更生しようと頑張る姿、荒れた生活の姿、もがく姿、セリフが多いわけではないだけに表情で伝えようとする河合優実ってすごい。
これからどんな作品でどんな表情なのか、気になってくるところ。
それにしても、自責の念で・・・という終わり方は悲しすぎる。
救いのないお話
救いのない、幸の薄い女性のお話です。
後味が悪い作品ですが、これが現実に起こっていることなのだと思うと映画で描かれる価値のあるものだと思いました。
この映画のポイントは河合優実さんと佐藤二朗さんの演技だと思います。主人公の杏は作品の中であまり喋らない、どちらかというと無口に近い女性です。しかし、間の取り方や息遣い、泣き声、動作など河合優実さんの非言語的な演技から杏の感情がひしひしと伝わってきます。アカデミー賞も納得です。佐藤二朗さんもいつものコメディを封印して、薬物依存者を支えたいという善人の部分と庇いきれない不祥事を犯してしまう悪人の部分を併せ持った複雑な人物を演じています。映画の終盤にある記者との面会のシーンの演技は鳥肌がたちました。
映画の中で杏が亡くなった後、杏に子どもを預けた母親が「杏は恩人だ」と言っていたのがやるせない気持ちになりました。その言葉を生きている杏が聞けていたら、もっと結末は違ったのかもしれないのに。そしてこれは、実在した女性についても言えることだと私は思います。彼女が亡くなった後、こうして彼女の人生が映画化され、多くの人が彼女の人生を重く受けとめています。彼女が生きている間に、彼女の夢が閉ざされる前にもっと何かが変わっていればと思うばかりです。過酷な人生を懸命に生きた女性のご冥福を心よりお祈りいたします。
毒親
幼いころからDVし放題で万引き、売春、麻薬迄押し付ける母親に虐げられ人生の道を踏み外した女性が親身に支えてくれる刑事によって新しい人生を歩み始めた矢先、コロナ禍で生活が一変、自殺した不幸な女性がいたこと、善人だと思った刑事が犯罪者だったことなどが実話だったとは信じがたい驚きだ。どうしたら、こんな酷いことが実の娘にできるのだろうか・・。
子供を虐待する親の犯罪報道は耳にするが、そんな若者や大人をつくってしまった原因は何なのだろう・・。性善説を信じたい自分にとっては救いのない実話ドラマ、あんが隣のシングルマザーから息子を預かる下りはフィクションで入江監督は子への虐待癖は遺伝ではないことを示したかったそうだ。
日本アカデミー賞で話題になったので観たのだが、兎に角、胸が痛むエピソードばかり、正直言えば映画にしてまで観たくはなかった・・。
苦しい…あんまりにも苦しい
世の中にはこんな最低な母親がいるのか
そんな家庭環境で育ってもここまで更生できたのは
杏ちゃん自身の力と出会いだった
こんな母親のもとでも
優しくて真面目でいい子で育つんだな
後半はほんとに見るのが苦しくて
何回も悔しくて泣いた
自殺シーンは辛すぎて真っ直ぐ見れなかった
最後はやとの恩人だと言ってくれたことで
少しだけ救われた希望を少しでも残せた
母親に騙されて体を売らされて
帰ってきてみればはやとを失って
ほんとにどんな思いだったのか
筆舌に尽くしがたい
最優秀主演女優賞も納得
河合優実はすごいなあと実感した。精神的に持つのかとも。人生には親ガチャ含めリスクやめぐり合わせがあり(各々、生い立ちや多面性がある)、如何にセーフティーネットを設けて、かつ、機能・運用させるのか、考えさせられた。最後に少し救いを感じた。
どこかにいることを忘れてはならない
第98回キネマ旬報ベスト・テン第10位。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
とても苦しくて辛い映画だった。実話ベースの物語だからこその重みが心にずしっとのしかかる。杏の歩んだ悲劇的な半生を体現した河合優実の圧巻の演技に息を呑んだ。
冒頭から辛い。杏の荒んだ暮らしに心が痛む。そんな彼女に差し伸べられた手。見出した生きる希望。観る方も少し心が軽くなる。彼女の前途は明るく照らされ始めた…はずだった。
これは果たしてコロナ禍のせいだけなのだろうか。杏の家庭が機能不全であることが一因なのは間違いない。希望も絶望も知らないから、助けを求めようがなかったのかもしれない。
こんな悲惨なことが現実に起きたのだ。もしかしたら私のすぐ近くでも。衝撃を禁じ得ない。悲惨な現実をまざまざと見せつけられたような感じで複雑な余韻が残る。杏のような人がどこかにいることを、決して忘れてはならないと思った。
依存先は多い方がいい
生活保護や児相、訳ありの人のための家、定時制、高卒認定、非正規雇用など人を助ける手段が沢山でてきた。
また、薬をはじめとして友情、コミュニティ、趣味、勉強、仕事、愛情、使命など人を人たらしめる物も沢山でてきた。
自律とは1人で生きることではなく、依存先が多い状態を保っていること。
人物像が浅すぎて、ストーリーにあんま深入りできなかったのが残念。
刑事は悪人ではないはず
佐藤の演じる刑事の過去の行いと、それを暴いた記者によって、あんの平穏は音をたてて崩れた。
稲垣演じる記者が「熱心だった」と感じた女性。
彼女は、本当に性行為を強要されたのだろうか。
週刊誌側は、彼女に取材料を払ったのだろうか。
彼女についてきた、男の存在は何なのか。
当たり前の話だが、「性行為の強要」は否定されるべきもの。
それを前提として、特に最近、その話を持ち出されると、問答無用で男側の言い分は「卑怯者の言い訳」としてレッテルを貼られる傾向が強すぎはしないか。
男と女は、途中までは上手くいっても、ふとしたキッカケで関係が最悪なものに発展するケースは珍しくない。
そこで、復讐のためには「手段を選ばない」女性は、割といると感じる。
男と女が恋人など近しい関係があったとき、割り切ったり、酷いことを平気でできるのは、どちかというと「女性」のような気がする。
もちろん個人差もあるが、そういう場合、女々しかったりひきずったりするのは男側で、女側はドライ、というのが、今まで見てきた自分の感じ方だ。
いくら人間には多面性があると言っても、この刑事の、本質は悪人であるはずはない。性行為自体はあったとしても、「悪事」であったかどうか、そこは怪しい男を横につけた、女性側の主張一つしかない。
この記者が、余計なことをしなければ、あんは亡くならずに済んだ。
こどもは親を選べない
香川杏(かがわあん)
…母から薬物、売買を強要され
学校も行けず教育も受けられず
母の虐待を受け続けて
身体や心の状態まで
病んでいる時に…
刑事と出会う
そして
薬物を止めるきっかけをもらった
介護施設で働き学校で学べることが
彼女の心の安定となり
順調にいくのかと思いきや・・
コロナ禍で
施設で働けなくなり
学校も休校になって全てが止まり
人との繋がりも失くなってしまった
そして母に見つかってしまった事が
あんにとって最悪な状況に戻ってしまった
…母がいる限り
あんの生きる場所はないかもしれない
コロナ禍かぁ~
いい人達と繋がったのに
もし、コロナ禍じゃなかったら
と思ったりもするけど。
あんのこと
どこまでも自己中心的な母親が娘に暴力を振るい、自分の為に売春をさせ、娘をママと呼ぶ未成熟さが痛々しい。そんなどうしようもない毒親からの自立を図りなんとか生活を立て直そうとするも、電線に脚を絡め取られたカラスのように自由に空を羽ばたくことが出来ない。
薬物依存から立ち直る為のサルベージは間違いなく機能していたし、刑事の功績も大きかった。
記者が「私があの記事を書かなかったら、彼女はまだ生きていたんでしょうか?」と問うていたけれど、たったひとりの刑事の個人的努力によってしか救えない事自体が社会の問題で、やはり刑事の逮捕は間違っていなかったとおもう。それとは別の問題として捉えないといけない。
全く救いのないように見える物語だけれども、主人公はおばあちゃんのことをずっと想っていたし、あんな母親でも直接的に傷つけることはできなかった。
唐突に預けられた他人の子供もちゃんと面倒をみて、自分の体を犠牲にしてでも救おうとした。
だからこそ、彼女には幸せになってほしかったけれど、母親のように誰かを傷つける前に自分を傷つけて、それでも耐え切れずに命を絶ってしまった。
こんな子供たちの為に、映画を観ている私たちは何ができるんだろう。
きっともう忘れられない。あんのことを。
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