「母と娘の複雑な感情の葛藤」あんのこと MiMaさんの映画レビュー(感想・評価)
母と娘の複雑な感情の葛藤
虐待や貧困、薬物依存に苦しむ少女・あんが、救いを求めながらも絶望へと追い詰められていく様を描いています。あんは家庭内暴力を受け、支援者との出会いで一時的に希望を見いだすものの、最終的には救われず、自ら命を絶つ悲劇的な結末を迎えます。
特に母親役の河井青葉さんの演技が圧巻で、娘を売春に追いやり、暴力を振るう冷酷な母親像を見事に体現しています。しかし、その残酷さの裏には、娘を「ママ」と呼ぶなど、彼女自身の未成熟な一面が垣間見え、虐待が世代を超えて連鎖していく恐ろしさを感じさせます。
母と娘の関係を通して、作品は世代間で繰り返される虐待の連鎖の深刻さを浮き彫りにし、観る者に「救い」とは何かを改めて問いかける、心に残る一作です。
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