劇場公開日 2024年6月7日

「杏はあまりにも幼く、弱く、優しかった。」あんのこと 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0杏はあまりにも幼く、弱く、優しかった。

2024年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

典型的な親ガチャ。
そう言ってしまうとあまりにも不幸で、
その不運の積み重ねに言葉もありません。
親(春海=河井青葉)が杏(河合優実)のことを、
ママ、ママと呼ぶ異様な光景・・・
そして狂ったように激しいDV・・・
それを見て、正直、吐きそうだった。
(母親には嫌悪しかなかった)

11日前に河合優実の「ナミビアの砂漠」を観たばかりだった。
そのあまりの落差(別人)の演じ分けに心から驚いた。

「ナミビア・・・」では2人の男を思いのままに動かす一面のある
杏より世慣れた大人びた女性でした。
対して杏は、万引きがバレて小学4年から学校へいけなくなった少女。
漢字もろくに読めず書けない。
杏の寄る辺のない孤独・・・それを俯きがちで自信ない姿で表現した、
河合優実はカナとは全く別人だった。
心なしか背の高さまで、、小さく見える。

コロナ(パンデミック)から5年半経過ぎたの・・・ですね。
始まりは2019年(平成31年)春でしたね。
もう忘れそうな薄情者の私ですが、本当に怖かったです。
コロナに罹患した人は多く、家族で罹らないのは私だけ。
でも近所や親戚、知人にも、死んだ人は誰も知らない。
あの閉塞感、息の詰まる緊張感は異様でした。
(コロナ後遺症はさまざま聞きます、ワクチンの害とか・・)
はじめに志村けんさんが亡くなった。
親族は葬式もできずに、
骨になってやっと会えた。
見舞いにも行けない。面会も出来ない。
親の死に目にも会えない。
本当に怖いと思いました。
世界中、日本中がパニック状態でしたね。

シングルマザー、田舎から都会へ進学した学生、不定期労働者・・・
弱いものに皺寄せが行き、
若者に特に女性に自殺者が激増したと聞きました。
その一人が杏さんだったのですね。
その日暮らしの社会の底辺で地を這うように生きてきて、
やっと多々羅(佐藤二郎)やジャーナリストの桐野(稲垣吾郎)に、
定職を見つけて貰い、多々羅のヨガ教室や勉強も習い、
立ち直りつつあったのに、
コロナ禍がその希望も奪った。

弱肉強食。
弱者は死ぬしかないのだろうか?
あまりにも不公平な社会だ。

琥珀糖
R41さんのコメント
2024年9月20日

それと、
白雪姫殺人事件は以前見てレビューしています。
よければまた確認お願いします。

R41
R41さんのコメント
2024年9月20日

おはようございます。
さっそく「イニシエーション・ラヴ」見ました。
最高に面白かったです。
レビューはそこに記載しました。
ありがとうございます。
私は映画の情報さえほとんどないので助かります。

R41
R41さんのコメント
2024年9月17日

コメントありがとうございます。
事実は小説より奇なりとは言いますが、現実がさらに映画よりひどかったというのも頷けます。
「いったい誰が悪いのか」
必ずこの地点で議論は展開されますが、そこにこそ監督がフィクションにした理由があると思いました。
「何でもあるし、何でもできる」
という概念は、「外」または「安全地帯」で考えるからでしょう。
杏が対峙しなければならなかったのは毒母のように思います。
「事実に基づく」作品であっても、作品上に誰かがこの点について明確に触れるシーンがあった方がよかったと思いました。
多々羅とライターが待つ公園に、杏が母を振り切ってやってきたこと。
これがそのシーンだったと思いますが、もう少しはっきり描いてもよかったように思います。

R41
R41さんのコメント
2024年9月16日

いつもありがとうございます。
どうでもいいことですが、
河合優実さんをエンドロールを見るまでずっと石原さとみさんだと思っていました。
21歳の役
さすがだと思っていたのですが、間違っていました。

R41
レントさんのコメント
2024年9月16日

おはようございます。弱肉強食の社会、いやですね。私は社会とは個々の人間の集合体であり、個々の人間はいわば社会というひとつの体を形作っている体の一部だと考えています。
あんが例えば社会という体の中の一部である右手の人差し指だとすると、指を怪我したら治療しますよね、鉛筆を握れませんから。
生活保護に否定的な人がこの国には多いですが、生活保護がなぜ必要かを説明するときにはこのように説明します。大事な体の一部を治療するのは当たり前のことだと。人差し指の治療をせずに体が不自由になることはばかげたことですからね。

レント