「あんが守ったものは」あんのこと N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
あんが守ったものは
痛々しい、グロい、を恐れていたが違った。
日の差す方へと懸命に伸び行く主人公の、
けなげで爽やかな一面が強く印象に残る。
下層で喘ぐ人々を自業自得と見てとる人も多いが、
主人公の不遇は決して自身の行いが招いたものではなく
環境に由来するところが果てなく大きい。
だが強いる周囲の人々もまた環境に歪められたのだろうとしか思えず、抜け出す道筋がいかに細く険しいものかを思う。
その中で主人公が守り抜いたものは最後、小さな命だったが、
あれはひとつの象徴ではないかと感じた。
荒み切った環境の中、人生の全てを投じ彼女が守ってきたものは
それでもモラルだったのではなかろうか。
守るために全てを受け止め、飲み込み続けたからこそ果てた。
実の母を手にかけなかったことを振り返る。
コロナがなければ仕事や学校の繋がりが残っていたかもしれない。
環境の恐ろしさをここにも垣間見る。
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