「優れた作品、と言っていいと思うけど、少しだけ不満が残りました」あんのこと パンとフィックスさんの映画レビュー(感想・評価)
優れた作品、と言っていいと思うけど、少しだけ不満が残りました
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どこが優れているかは他の人も色々書いているし、YouTube動画などにも上がっていて概ね賛成で私の言いたいことも言われているので、ここではどこに不満が残ったかを書きたいと思います。
まず、主人公の杏がいい子過ぎます。劣悪な環境で育てられて、あそこまで素直ないい子には育たないよな、と感じました。福祉施設で老人にわがままに振る舞われてもまるで反抗的な態度も見せないし、手を差し伸べてくれる大人の親切をすべて素直に受け入れているところに、やや非現実的なものを感じました。親切に接しても反発されてしまう、対応に苦慮してなかなか救いの手を差し伸べられないし差し伸べるのも嫌になってしまう、それが現実だと思います。そこを踏み込んで描いて欲しいなと感じました。
佐藤二郎演ずる多田羅が雅と関係したくだりで、多田羅に対する雅の態度を見ると、雅の方から誘ったのではないかと思えてしまいました。あるいは誘われたと思った多田羅がその気になって関係を持とうとしたら、雅の方が引いてしまったため、不満を感じて多田羅が強く迫ったのかと。もしそのような流れだったら、週刊誌が記事にしてしまったのが悪かったと、それがあれば最終盤の留置所での「もし記事にしなければ彼女はまだ生きていたのか」という台詞ももっと生きたと考えてしまいました。でもこれを描いたら、杏の話ではなく多々羅の話になってしまうので、やりづらかったのかも知れません。
以上書いた通り少々不満も残りましたが、全体的には非常にいい映画だったと思います。
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