「救いがない」あんのこと だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
救いがない
多々羅が無理。いきなりヨガ、ところかまわず唾を吐く、あんのためとはいえ恫喝怖すぎ…
あんが薬を打ってしまって助けを呼んだとき、体に触れたことに「グルーミング!!!」との危機感が湧いた。
で、結局自助グループを私物化して女性参加者をレイプしてたってことよね。
女に手を出したというレベルではない、恫喝・恐喝的な音声にむりむりむりむりむr・・・・ってなる。実はいい人的評価は下せない。
あんの母親、河合青葉って分からんかった。エンドロールで名前出てきて、えっ?ってなった。
今までの河合青葉のイメージとつながらなくて、びっくりした。よいお仕事をされたのだね。
とはいえ、この母親を行政がさあ、娘から引き離せなかったのがさ、ダメなんじゃん?
なんなん、母親が娘に売春を強制してたっていうのは、刑法で裁けないの?
母親にママと呼ばれる娘の悲劇もさることながら、娘が孫をママと呼んで、虐待しまくってるのを許している、あんにとって”好きな”おばあちゃんは、全然あんの味方じゃない。
いつから足が悪いのかわからんけど、足が悪くなる前にできたことあったんちゃうん?
娘が孫をママと呼ぶ状況は、あなた(祖母)由来の何かでは?
そこをなかったことにしている描き方に疑問を感じた。
河合青葉演じる母親は、あの状態で生まれたわけじゃない。
つか、広岡百合子だったらしいね、祖母。これも全く気付かずでした。
あと、母親から逃げてるって知ってるのに給与明細を自宅に送って、母親を施設に来させた施設の職員の対応も、いやおめーの手抜かりやろ、もっとしっかり謝れよ、なにを上から辞めんでええとかゆうねんと思った。
あとは、子どもをあんに押しつけてふらふら蒸発した早見あかり演じる母親ね…
これはもう何も言う気力がなくなる。
母親からの虐待・売春強要、祖母からの見て見ぬふり、強要された売春で覚えた覚醒剤、
助けてくれた多々羅が逮捕され、助けてくれる人もいなくなり、コロナになって仕事も失い、
学校で出来たつながりもか細くなり、そこに押しつけられた子どもを必死に面倒を見ることで得た健やかなものを、母親によってふたたび奪われ、やめられていた覚醒剤を使ってしまって、
そのショックで自死を選んだ、という話ですわね。
救いがないように描いているのだろうけれども、なんだろうこの釈然としない気持ち。
救いがなく、怒りを覚えるというのが、悪いこととも思わないんだけど、みてよかったと思えないのわたし。
役者の皆さんは、よいお仕事をされたのだと思うのですよ。河合優実も稲垣吾郎(情熱の薔薇唄ってたね)も佐藤二郎(こんなガチのゲスじゃなくて鎌倉殿の比企さんくらいのかわいげが見たかった…)も。
で、悲惨な出来事で露と消えた一人の女の子への鎮魂歌として、描かれたのだろうとの意図もわかるんだけど。いい映画だったとは言いたくない、と思うのです。