「衝撃作、大人達の欲に子供が犠牲、誰が一体守ってやるんだよ! 本当に心打たれた!」あんのこと The silk skyさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃作、大人達の欲に子供が犠牲、誰が一体守ってやるんだよ! 本当に心打たれた!
最近、配給でキノフィルムズさんを良く見掛けるように成ったね。
過去何作か鑑賞した事はあるが 今一歩作が多かったかな。
しかし近年、”騙し絵の牙”や”碁盤斬り”など 作品に非常に魅力を感じる物が増えたと思う。
そして今作を鑑賞したが、お見事であった。
作品への目利きがモノを言うのだが、近年非常に鋭く優れてきてると感じます。
素晴らしい作品を発掘し上映機会を広げて頂いてる事に深く感謝いたします。
今日は「あんのこと」を鑑賞しました。
この作品をズバリ語ると、”違国日記”の真逆側位置に当たる感じがします。
作品比較するのは良くは無いのですが、どちらも少女を主としての描写、その後を描く流れ展開が同じに捉えられます。そして
向こうの作品は 女性達によって影響し心情変化がしている事に対し、
この作品は、男性達によって心情変化していると思います。
(本作のこと)※実話ベ-ス
監督、脚本:入江悠氏
上映時間:113分/PG12
-----役者陣-----
・香川杏(不遇の少女):河合優実さん
・多々羅保(人情ある型破り刑事):佐藤二朗さん
・桐野達樹(週刊誌記者):稲垣吾郎さん
・香川春海(杏の駄目母):河井青葉さん
・香川恵美子(杏の祖母):広岡由里子さん
・三隅紗良(隣人、幼子の母):早見あかりさん
実話ベ-ス展開にて、少女杏の事(生きた軌跡)が描かれています。
生まれた時から虐待、小学校にも禄に行けず、親から売春斡旋させられて暴力受ける。全く酷い母親だ! なんて女なんだ、こんな母親は死ねば良いと本当に思う。
売春で同時に麻薬患者にも接触しシャブを打つようにもなる。
中学中退、売春、麻薬、そして逮捕補導。PG-12も頷ける内容です。
こんな人生既にリ-チで詰んでしまってる少女を、破天荒な刑事と、記者が寄り添い 何とか更生させていく話展開です。
女性からしたら こんな酷い仕打ちの作品観たい?と思うかもですが、
最後までご覧頂いたら きっと心の底から彼女へ手を差し伸べたい想いで
心いっぱいに満ちると思います。
特に、あれだけ人生荒れてた彼女が 介護施設で立派に働き老人に接していて
その姿に目を見張ります。
給与明細住所発送の手違いで働き先がバレて
虐待母親が施設へ乗り込んできて、娘へ凄く暴れる場面。
少女杏が皆さんに迷惑をかけたと、辞めないといけないと思い下駄箱を片づけようとした所。社長(施設責任者)が辞める必要は無いよ、皆で考えようと言ってくれて、杏が ”本当にすみません、ごめんなさい” と涙ながらに言葉発するところは
凄く涙し心打たれました。
こう言う周囲への配慮、感謝と謝罪が言葉に出来るくらい確り更生した姿が、
観ている側の心の奥底まで触れてきて 見ていて"良かった"の思いで一杯です。
多分、彼女以上の年齢の方なら 何とか彼女へ手を差し伸べたいと思うでしょう、きっと。
やがて、コロナ感染の闇が世間を包み、非正規社員の介護師(杏)は休業をしなくてはならず、そんな中 破天荒刑事も薬物患者を救う会(サルベ-ジ)の人と怪しい繋がりを指摘され記事になり逮捕。ネタを記事にしたのは一緒に杏へ手を差し伸べた桐野であった。一緒に杏を救済に努力していた輪の 何かが音を立てずに崩れて行くのを感じて行く~。
保護マンションに籠る杏に急に 隣人から預かり託される幼子(男の子)。これがリアルに幼少の子供を使っててマジでそのまま 一緒になって心配な思いになる。
夜間学校にも行っていたが、コロナで自宅授業。
幼子面倒みて、自宅待機、仕事にも行けず。でも杏は 託された幼子を必死に育児するのである。この姿は本当に健気であり、何とか自分と同じ様な目にはさせられない思いが強かったのであろうと感じた。
薬物患者を救う会は刑事の逮捕で閉鎖し、誰にも連絡できず 誰にも頼る事が出来ず、本当にこの幼子と二人っきり生活と成ってしまうのである。
窓の外に 五輪開催のブル-インパルス飛行機雲が見えていたのが マジリアルな情景に思い成りました。
・・ そして・・・悪魔の虐待母親に、ある日遭遇してしまう・・・
ココからは、書きません。いえ 書けませんわ。悲し過ぎて。
彼女の生きてきた証が、誰かの記憶に残るなら。
破天荒刑事(多々羅)の 拘置所のやり切れない思い。
私も凄く同じだったです。
杏を演じた河合優実さんは 本当に素晴らしかったですね。
大変な役所、良く頑張ったと感じました。
次回作にも期待しております。
中々、心エグられる内容展開ですが
ご興味ある方は
是非 お近くの劇場へ どうぞ!!