「ずっと胸が痛くなる作品」あんのこと 邦画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと胸が痛くなる作品
あらすじを聞いてあまりに内容が気になりすぎたので初日に見に行きました。私の住む地域で唯一公開されていたとこだったためか、ほぼ満席に近い状態でそれほど注目度が高い作品なんだなと感じました。肝心の内容はというと、実話をもとに作られたとのことですが果たしてどこまでが実話なのかがものすごく気になりました。とにかく最初から最後まで救いがなく見ていてとても胸が痛くなりました。思い描いていた内容が絶望の中から希望を見出していく、それでもまたそれが崩れてそれでも希望を見出していく今年3月に公開された「52ヘルツのクジラたち」のようなものをイメージしてました。たしかにそれに通じる部分もありましたが本作はさらにそれを上回る救いの無さ。先月見たミッシングも救いのない作品でしたが本作はそれとはまた種類の違う救いの無さでした。あまりのバッドエンドすぎる感じにとにかく見終えた後のどんより感がすごかったです。1番気になったのはタタラさんがわいせつなことを行っていたという件が本当なのかどうかよくわからなかったとこ。でも本人は素直に逮捕されてるのでやっぱりそういうことなのか。物語の展開上あのくだりは必要だったのでしょうけどあれだけ熱心に薬に溺れた人たちを支援してて、わいせつなことを要求してたってところがどうもつながらず、あんにはそういうことはしてなかったし、なんかそこが自分としては納得いかなかった。でもどんな善人にも悪い心があるという部分での表現なのか。吾郎ちゃんが正しいことをしたことが結果的に人を殺してしまったことへの無念さもとても心が痛かった。そして内容の凄まじさもありながら本作は主演の河合さん、母親役の女優の方も佐藤二郎さんも各々が今まで他の作品では見たことない演技力を爆発しています。特に母親役の方は本当にぶっ殺してしまえ!と、思うほどの憎たらしさ。佐藤二郎さんもいつもふざけてばかりですが、今回はちゃんと役者をやってます(笑)この演技力の凄さにはものすごく引き込まれます。だいぶ見るのがしんどい作品ですがぜひその目に焼きつけてください。