劇場公開日 2024年6月7日

あんのことのレビュー・感想・評価

全535件中、1~20件目を表示

4.5どうしたら彼女を救えたのか

2025年1月16日
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鑑賞方法:VOD

彼女がひとつひとつ立てた自分の居場所や、やりがいや、自尊心が、ドミノ倒しのようにバタバタと倒れていく残酷さや無慈悲さに、胸が苦しくなる作品だった。これが実話だなんて…。

彼女を地獄から救ってくれたのも、突き落としたのも、彼女に関わった人々。
学ぶこと、考えることを幼少期の虐待によって奪われた彼女にとって、他人からの影響で簡単に人生を左右されてしまう。それが悲しい。
多々羅刑事が杏を救いたい、助けたいと想う気持ちには嘘は無かったと思いたい。誰かにとっては良い人でも、誰かにとっては悪い人、人間ってそういう生き物なんだと思い知らされた。

コロナ禍を過ごした今、あの時期を振り返ると確かに異常な日々だった。
人と人との繋がりで成り立つ社会で、感染防止を名目に人と人とのコミュニケーションを断ち切ろうとする社会だった。けれど人間は、身体の健康と同じくらい心の健康も大事。身体の健康だけを重視し、心の健康をおざなりにした結果招いた悲劇のように感じた。
あの時、杏のような想いであの日々を過ごした人は、たくさんいたんだろうな。

どうしたら彼女を救えたのか、映画を見た後そればかりを考えてしまう。

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AZU

1.5ヤッパリ観なければよかった。

2024年9月14日
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2024年上半期の邦画で非常に評価の高い作品ということで、果たしてあまのじゃくのオレが見ていい映画かどうか迷ったが。

「あんのこと」



ヤッパリ観なければよかった。すまん。

お客様が入ってなんぼ、という意味では大成功で、この映画は「あの花が咲く丘で君とまた出会えたら」と同じく、その成果にはとても感服する。

おそらく製作陣が意識したであろう、過剰に哀れな描写はしないという姿勢とは全く真逆の演技と生活描写が目につく。一方、今生存している人類が二度と経験しないであろう、世紀のコロナ流行に、対処している団体、自治体は描かれない。

各キャラクターそれぞれに深みを持たせない設定、描写は理解するが、カラオケで「ランナウェイ」を歌わせるには、その意味が唯一見出せるであろう歌詞の一節を歌わせなかったり、あえての浮世離れの役者起用で、存在感を薄く設定したキャラクターが、思いっきり腰から崩れる。

ごみ捨てはできないが、児相に電話でき、本人の都合通り対処できる母。児相がその家を訪れた描写がないのは、あえて省略したのだろう。主人公を追い詰めないといけないので、そんな脱線はできない、ということだろう。

ラストの母子家庭の廊下のワンカットに希望を見いだせた人は、素晴らしい人で、うやましい限り。

面会シーンでいうと、両者ともに「良心もあるが等しくクズ」で、言い訳、言い逃れ、といった自己弁護、罪悪感のぶつけ合い、という意味があるなら、成功しているかもしれないが、当時を舞台にするならば、いっそそこだけはコロナのせい、と言ってしまったほうがよかったような気もする。

といったように、本作の各キャラクターに関して、「なぜ」の理由は要らないとは思うが、彼らの「背景」には「なぜ」そして「なぜそうなったか」の問題提起を匂わす描写、あるいは問いかけは絶対に必要だと思ったが、よけいなことは入れずに、「主人公熱演」、「救いのない」といった感想にあふれる結果となったのだから、大成功ですね。

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しんざん

4.0伝えたいのは絶望か希望か?この映画が伝えたかったもの

2024年7月11日
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泣ける

悲しい

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ななやお

4.0杏の希望と絶望を分かち合う

2024年6月8日
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ニコ

5.0河合優実は今年を代表する役者

2024年6月30日
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鑑賞方法:映画館

いつもの入江監督のスタイルとは異なるテイストの作品に仕上がっている。できるだけ監督自身の采配を芝居に入れずに観察・記録に徹するようなやり方を今回は選択している。そのやり方が成立するのは、役者への信頼ゆえだが、その信頼に120%役者たちが応えている。主演の河合優実は本作と『ナミビア砂漠』と『ルックバック』で、今年を代表する俳優となると思うが、本作の鬼気迫る芝居は観る人全てをくぎ付けにする。非常に辛く悲しい物語を現実感ある手触りで描いた作品なので、見るのがしんどいと感じる人はいるだろうが、それでも目をそらさせないだけの芝居を彼女がやってのけたおかげで、観客はこの理不尽な現実を受け止めるしかない。
佐藤二朗も善人とも悪人とも決めかねる存在を見事に演じているし、稲垣吾郎の週刊誌記者役もじつにはまっている。母親役の河井青葉もすごい。
実話をベースにしているが、映画のアレンジも加えている(早見あかり関連のシーン)。現実を捻じ曲げたいからではなく、現実の理不尽さを際立たせて伝えるために的確なアレンジだったと思う。この現実にあった理不尽のその本質は何かを真剣に考えたからこそ、生まれたアイディアだったと思う。

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杉本穂高

4.0目を開かせ、意識を突き動かす秀作

2024年6月26日
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鑑賞方法:試写会

あんの人生は過酷だ。その少なからず痛みを伴う物語を、いかなる語り口で観客に伝えるか。作り手の腕の見せどころはそこにあるわけだが、本作は巧みにハードルを超え、観客の心を一度掴むと離さない。彼女の人生に触れると誰もが他人事ではいられなくなる。この子が少しでも前へ進めますように。ささやかなれど確実な幸せが訪れますように。そう切に思わせるのが河合優実という人の凄さだ。加えて、佐藤二朗や稲垣吾郎演じる役柄が存在感を添える。すべての人が敵ではない。彼女を守ってくれる人はこの世に存在する。そう思える、信じられる幸福。ただし、この映画はやがて意表突く展開を提示すると共に、誰しもが経験したコロナ時代を無慈悲に突きつける。せっかく積み上げてきたものが音なく崩れ落ちていく無念さーーー。我々は日々、どれほど多くの声なき声や慟哭に気付かぬまま生きているのだろう。閉じた目を開かせ、視野を広げ、意識を突き動かす秀作だ。

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牛津厚信

4.5コロナ禍の“日本人像”を記憶にとどめる営み

2024年6月11日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

どちらかといえば娯楽作の印象が強い入江悠監督が脚本も兼ね、コロナ禍である若い女性の身に起きた実際の出来事に着想を得て映画化した、真摯で重苦しい社会派ドラマだ。近年の邦画では、時代背景と人物らの設定で近い部分が多いのは2021年の石井裕也監督作「茜色に焼かれる」だろうか。またコロナ禍とは直接関係ないものの、2020年の大森立嗣監督作「MOTHER マザー」、2023年の工藤将亮監督作「遠いところ」なども社会の底辺でもがく人々の可視化を試みた点で共通する。

本作の杏のように家庭環境に恵まれず社会経験も積めないまま困窮している人々に手を差し伸べる人も、支援する制度や組織もあるにはある。そうしたセーフティネットの脆弱さがコロナ禍によって露呈した面は確かにあったが、すべてをコロナのせいにするのもきっと違うのだろうと、本作を観て痛感させられる。長いものには巻かれる(上が決めたことには異を唱えず従う)、都合の悪いことや面倒なことは見て見ぬふりをしてやり過ごすといった日本人に染み付いた傾向のせいで、想定外の天災に直面して社会的な機能不全を起こし、結果として杏のような存在を追い込んでいったのではないか。

映画鑑賞後にモデルになった女性や出来事に関心を持った方は、「ハナ(仮名) コロナ 朝日新聞」で検索すると2000年6月の記事が見つかる(有料記事のため無料で閲覧できるのは一部のみ)。本作を観る前に記事を読むとネタバレになるので要注意。河合優実の熱演も含め、「あんのこと」を、そしてハナさんのことを忘れるべきではないし、日本人の脆さと弱さを自問し続けなければならないと思う。

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高森 郁哉

4.5絶望をそのまま描く

2025年7月15日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

毒親に支配される少女の人生が描かれる。逃げても見つけられ、希望の道は閉ざされる。

三世代の不幸の再生産は断ち切れなかった。

この世界で人ひとりの命はたぶんとても軽い。

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惑星

4.0救えなかった命

2025年7月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

酷い家庭環境、そして成人してもなお親を拒否できない恐ろしさ。親なら監禁暴行の罪に問われないって、この問題に真摯に行政は向き合って欲しい。いや、向き合っている人はたくさんいるのだろう、そういう人の苦労が並大抵ではないことは容易に想像できるし、本当にありがたいと思う。それでもきっとまだまだ救うには人と制度が不足なのだろう。多々羅刑事は残念だなあ、あんなに信念のある人がどうしてああなるの?そもそも下品だし乱暴過ぎるでしょ、人として。

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Sheeta

2.0可哀想な女の子をエンタメ化したゲスな映画

2025年7月12日
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河合優実が出ている映画なので見ました。河合優実の演技力はさすがと言ったところ。河合さんだけは素晴らしい。ただ正直、佐藤二郎は過剰演技だったり、アドリブ風味なのであまり得意ではなく、正直見てても感情移入しにくかった。
肝心の話としても、身の上不幸な可哀想な女の子の不幸を描いているだけのもので、これをエンタメとして消化しようとしていることに怒りさえ感じる。
自死を選んだ理由も陳腐であり、映画を通しても理解不能です。新型コロナだから?というのは理由になりますか?
社会とのつながりをたたれて自死した方はたくさんいるけど、それ以上でも以下でもなく、なぜ映画にしたかもよくわからない。だったら、映画の世界だけでも立ち直るまでを描いてほしい。
正直、序盤から終始違和感のある描き方しかしない。取り調べでヨガとか意味不明だし長い。佐藤二郎が杏を抱きしめて大丈夫大丈夫というシーンも無駄に長い。大丈夫しか言わないし、そこまで時間かける意味なくない?記者が名刺を杏に渡すときも名刺の内容を見せない。観客に見せないなら名刺見せるシーン自体が不要では。杏のことを実の母親がママというとか、ややこしすぎる。母親がママって混乱するだろ。
ところどころが意味不明な演出で見ていて苦痛でしかない。
ここ最近見た中でもワーストクラス。
急に子供を預けられ、懸命に育ててた子供を児相に預けられたとして、なぜ自殺なのかもよくわからない。何もかも嫌になって、ってことなら今までだってあったじゃん。そこなの描き方があまりにさっぱりしてて、この映画としてそこを描きたいんじゃないの?って思うが、そこは観客任せなわけ?だったらそもそも映画を作る意味はあるのか?
ラストで子供の母親がアンの恩人ですとか言ってますが、はぁ?って感じですね。お前が子供を預けたのが遠因なのだから言ってみれば殺したも同然では?罪悪感持ってもおかしくないだろ。
何がしたいのか理解できない映画でした。

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夢見る電気羊

4.0生きてて欲しかった

2025年7月10日
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りか

3.5哀し過ぎる。

2025年6月29日
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哀し過ぎる。

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J417

5.0杏ちゃん、、、

2025年6月21日
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らいもこらいもこ

4.5河合優実の熱演に圧倒され、ただただ引き摺る

2025年6月19日
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泣ける

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しゃら

3.5毒母

2025年6月15日
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負のスパイラルから脱げ出せない

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ゆうき

4.0生きる希望

2025年6月8日
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コンディションを整えてかららでないとみられないと思い躊躇していた。
登場人物がみんなどこかしら悪い人。これが現実。
生きる希望を見つけた時の彼女の笑顔に心底ホッとした。

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ふっこ

5.0ただただつらい

2025年5月31日
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人は生まれてくる時、どんな環境に生まれるのかを選べるのだろうか。
どうしたら、こんな環境を選べるのか。
もっと早く、どこかの支援に繋がらなかったのかと思ってしまいがちだが、繋がれない人たちはおそらく大勢いる。
社会問題だとかなんとかいったって、普通に生きている人には理解しがたいのも事実。
死を選ぶほどの純粋さを持った少女の悲しみとは。

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emukocyan

3.5杏にも、刑事の多田羅にも感情移入できず、残念。実話を元に「人のつながり」の大事さを描くと、こうなってしまうのかな

2025年5月25日
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怖い

主人公の杏の境遇が悲惨で、観ていてつらい時間が長い。母親も自宅も普通はホッとする存在のはずなのに、目を背けたくなるばかり。でも、杏が自分の境遇について誰かに話す気になるところまで行くのが難しいのは、実際もそうだろうと思う。前半は耐えて観るしかない。

杏に対する支援がうまく行き始めても、大きなマイナスの位置から少しずつ改善していくしかないので、小さな幸せを見出すのがなかなか難しい。その小さな幸せの象徴が「日記」というのは、うまい設定だと思う。映画の中で杏の笑顔の場面は少なく、杏を応援する気持ちにはなるが、共感するところまで行かないのは残念。

佐藤二郎が演じる刑事・多田羅も、稲垣吾郎が演じるジャーナリストも共感するような設定になっていないので、映画を観たあとの印象がイマイチ。感情移入できる登場人物がいないのは、残念。実際の事件を元にした映画だけど、観ていて感情移入できる“いい人”を設定してほしかった。

新型コロナのまん延が、物語の転機になっている。コロナ禍は、社会的な弱者に対してより強い悪影響を与えたのだと実感した。「人は誰でもつながりの中で生きていて、人と人とのつながりを切ることは、悲惨な結果をもたらすことがある」というのが、この映画のテーマのひとつかもしれない。
扱っている事件の悲惨さ、社会問題としての重さに比べると、終盤の面会の場での何人かのセリフは軽く感じてしまった。あまり言葉を並べない方が良かったのではないか。

多くの人のレビューにあるように、杏を演じた河合優実、母親を演じた河井青葉の演技は見事。映画のどの場面もリアルで、画面から伝わってくる感覚がするどく、撮影・映像もレベルが高いと思った。

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p.f.naga

4.0一度落ちると這い上がるのは難しい

2025年5月22日
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ほいす

4.5覚悟して観る作品

2025年5月15日
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泣ける

悲しい

自助団体でやっと素直に過去を話せたシーンに感動して泣いてしまいましたが、そこからの展開が…

自分の存在意義を確認できる職場、正しく稼いだお金で買った綺麗なスケジュール帳、心から頼れる大人、心安らぐ安全な住まい、初めて感じる母性。
少し希望が見えたと思うと、その度にどん底へ突き落とされます。
杏の優しさが踏みにじられるのがたまりませんでした。
周りの大人が全て悪い。無責任すぎる。
そこへ来て、コロナが追い討ちをかけ、感情のやり場もありません。
シングルマザーの描き方も上手で、最後のあの淡々とした無自覚な感じ…死んでも続く救いのなさを見せつけられました。
最低限の教育の必要性を訴えるには最高の映画です。

河合優実さんあっぱれ!これからも期待しています。

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SING SING
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