「苦しい男たち―生き馬の眼を抜く競争社会で生きる君のために」アンジェラ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
苦しい男たち―生き馬の眼を抜く競争社会で生きる君のために
男の心の底に潜む願い
・怒られたい
・褒められたい
・理解されたい
―を擬人化するとアンジェラの姿になるのだと思う。
アンドレは、片腕が麻痺している。
実家を出て以来、孤独に生き、誰からも守られずに競争社会の中で罵倒されながら
自分を守ることを忘れて他者を救い続けている 男たちの象徴そのもの。
抑制して存在しないものとしてきた本心の片割れ(=願望)を、天使アンジェラが解き放ってくれる。
姉のように、
祖母のように、そして
母親のように。
群れて、生涯コミュニティの作れる女たちと異なり、
(これって本能なんだろうな=)同性に心許せず、黙して自らに鞭打つことしか出来なくなっていた男どもに
贈られる癒しの寓話だ。
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監督リュック・ベッソンは、その名作「レオン」で、“不器用な男が脆く壊れやすい女の子に頼られて褒められることで、彼が生の喜びを知る様子”を描いたが、あのジャン・レノもモロッコのカサブランカ生まれとのこと。
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男に必要な魔法のことばは
・偉いね、
・すごいね、
・かっこいいね、
・優しいね。そして
ありがとう だ。
自分でそれを言えるようになるまで、オヤジだって誰かからそれを言われたい。
褒められれば、喜んで火の中水の中、飛び込めるのが僕たちだ。
「アンジェラ」。
これは「男」を語る、フランス映画珠玉の1本である。
片腕をもがれた君に、きっと必ずや大きな翼が与えられるだろう。
この映画を高く評価してくれているのが嬉しいです。私の評価は4ですが、結構評価が厳しい方なので、実質的には5くらいかもしれません。天使らしくないアンジェラがすごく好きです。「素晴らしき哉、人生!」に出てくる天使に相通じるものがあります。
主演男優のジャメル・ドゥブースは子供の頃に鉄道事故で右手首から先が欠損しています。そんな事情も知らずに見たもので、それほど感情移入できなかったのかなぁ・・・俺。