雪山の絆のレビュー・感想・評価
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想像を絶するハードな作品だった
「インポッシブル」「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のJ・A・バヨナ監督作。母国語であるスペイン語の作品としては「永遠のこどもたち」以来14年ぶりとのこと。
1972年にアンデス山脈の奥深くで実際に起きた飛行機墜落事故に基づく。
厳しい作品だった。
極寒の雪山に墜落、次々と死んでいく人々。
生きるために信仰もモラルも捨てた。
てか、こんな惨状、思ってもみなかった。
塚本晋也監督の「野火」を思った。
生きのびること以上の正義はないのだろうが。
底知れないヒューマニズム
ウルグアイ空軍機571便遭難事故を扱った映画。
監督はゴヤ賞常連の名手J.A.Bayona。
Netflixの前告知を見たとき「あの事故をまた映画化したのか」という感じで意外な気がした。ウィキペディアで調べるとドキュメンタリーを含め5度映画化されていてこれが6度目になる。衝撃の実話ゆえモチーフにされやすい、とはいえ再々な感じは否めなかった。
ただし見始めるとすぐに疑問は吹っ飛ぶ。
むしろ「ウルグアイ空軍機571便遭難事故の真実」という感じ。
リアリティに徹しており、事故の壮絶さをほとんどはじめて知った。
imdb8.0。批評家からも支持され、すでに多くのレースでノミネートまたは勝利している。
昭和期はこの墜落事故を猟奇色で釣るのが主流だった。
つまりアンデスの遭難事件はVHSレンタルだったならルチオフルチとかマリオバーバの隣に並んでしまう映画だった。
それがこの雪山の絆を見たあとでは不謹慎に思える。
文字通り死者の肉が生者の命をつないだのであり彼らにほかの選択肢はなかった。が、映画が描き出すのはカニバリズムではなく、遭難者たちの底知れないヒューマニズムだった。
極寒の雪山で遭難し救援が絶たれる。
死者を食べながらいくつかの助かりそうな方策を試す。
雪崩がきて生き埋めになる。
ひとりまたひとりと死んでいく。
72日間。
果たしてそういうところでじぶんは正気を保てるんだろうか──と考えてしまう。
折しも地震があり、今なお瓦礫の下に行方不明者が何人もいる状況下、何か出来ることはないのだろうかと気があせる。何もできないのに気はあせる。もしじぶんの身に起きたなら──という仮定をしてさらに気があせる。
──そんな気分が雪山の絆を見ているときにもあった。
遭難者たちは皆、思いやりがあり慈悲深く、食べ物を分け合い励まし合い、協力連携しながらサバイバル生活をやりとおす。ときに談笑することさえあった。秩序を乱す者なんか一人もいなかった。
若く体力的な優位性もあったにせよ、内面がまるで聖人のごとくまっとうだった。それらは脚色だろうか。いや、16人が生存したのだ。存命者が監修に入っているのだ。
『製作者たちは、生存者全員との100時間を超えるインタビューを記録した。俳優たちは生存者や犠牲者の家族と接触した。』
(Wikipedia、Society of the Snowより)
だから余計じぶんにそんなことができるんだろうか──と考えてしまった。
リアリティと相まってトラウマチックな映画体験であり、比較するものではないが、ホラーなんかよりはるかに恐ろしい。と同時にじぶんを戒めたいような気分が沸き起こる。そんな状況でみんなと強調し扶け合いながらじぶんはやっていけるんだろうか・・・。そういう状況になったら彼らのようでありたいと思った。
他にも方法は?いや、無いか…
人間の生命力に感嘆!
もうひとこえ欲しかった
「自分だったら」を突きつけられる
今みてほしい作品のひとつ
年明けからいろいろなことが
ありすぎて悲しさと無力さに
心が折れかけてしまって、
心を守る選択として映画を何本か観た。
集中できなくて何度か止めてしまう
作品もあった中で、こちらだけは
引き込まれるように一気に完走した。
この作品のみんなの計り知れない精神力。
でもそれは必死で、本当の意味で必死に
強くあろうとしたからであって、
人間なんて本当はそこまで強くできていない。
いないからこそ、
彼らが最後まで行動し続けた姿に
涙が止まらなかった。
辛い現状と苦しい選択の連続は、
実話だと知らなければやりすぎだと思うほど。
いつなにがあってもおかしくないから、
せめて精神だけは養っておこうと思えた。
祈ること、募金をすること以上
なにもしないことが適切であることを認め、
これ以上なにもできないことを受け止め、
明日を迎える準備が整うことに感謝をし、
目覚めたらその日を大切に過ごすことが
わたしにできること。
心が折れてる場合じゃないなと
この作品に教えてもらった。
絆という言葉を安易に使用することが
あまり好みではなかったけれど、
彼らのことは絆としか表せないと感じた。
パンフレットがない点が厳しいが、それでもおすすめ以上
今年13本目(合計1,105本目/今月(2024年1月度)13本目)。
もともとネットフリックス契約者向けの作品のようで、この手の映画は映画館で見てもパンフレットなどないようです。
ただこのサイトを見てもちゃんと元になる事件名までは記述されているので、そこで予習していくかいかないかという点がまず分かれるのかな…という気がします。
かえって日本を見ると、飛行機事故も、いわゆる登山によるトラブルもどちらも見られますが、映画で描かれるような類型はあまり聞かず(ただ、趣旨としては理解できる)、ある程度類推してみることができるタイプの映画です。
映画のレーティングとしてはPG12で、一部に不穏当な描写・発言が出てくることによりますが、もっともこの映画をお子さんが見に行くのかというと微妙で、正直この事件自体も「調べればわかる」程度になっているので、そこをどう評価するかという点に大半つきるというところです。
なお、スペイン語放映ではありますが、実際には南米スペイン語である(スペイン語に関してある程度知識があればわかるし、そもそも「スペイン語」と「南米スペイン語」は別の字幕扱い)ことに注意です。
採点上特に差し引く要素まで見出せないのでフルスコア扱いとしています。
実話と知らなかったらそんな訳あるかと思ってしまう
2023年劇場鑑賞309本目。ネトフリ配信作なのでパンフレットはもちろんなくマイナス0.5。今年最後の作品になりましたがなんて作品が最後だよ!
雪山に遭難したラグビー部の話とだけ聞いていったのですが、まさかあの事件の映画化だったとは・・・。
どんどん人がなくなっていく中、こちらのトイレの我慢も極限になってどっちが先に限界を迎えるか勝手に体験型ムービーになっていました。サバイバルの描き方は本当に絶望的で良かったです。
トイレの事を考えると1秒でも早く終わって欲しかったのですが、助かった後彼らに待ち受けていたであろう世間の反応とそれに対する彼らの向き合い方は観たかったです。そうなると確実に漏れてましたけど(笑)
面白いけど長い
生命力に驚愕
1972年10月13日、ラグビー選手団を乗せてウルグアイからチリへ向かっていたウルグアイ空軍機571便が、アンデス山脈中心部の氷河に墜落した。乗客・乗員45名のうち生存者は29名。想像を絶する過酷な環境のなかに取り残された彼らは、食料も底をつき、生き延びるために遺体の人肉を食べるしかない状況に追い込まれていった。そして、雪崩などにも襲われ、救助活動も打ち切られ、約2ヶ月経った頃、チリへ向けて救助要請に向かった2人がなんとか地元民に遭遇でき、残り14人の計16人が生還できたという、事実に基づく話。
標高4200mで峰に激突し墜落して、3700mの高地で酸素も薄く、食料もなく、まだ雪解けも始まらない山の中で、嵐にもあい、極限状態に置かれた人々の恐怖と遺体の人肉を食べるという倫理的な葛藤、生きることへの執念、仲間との強い絆なと、凄いものを観せてもらった。
雪山を10日間も歩き、チリの地元民に出会えた時の嬉しさがスクリーンからも伝わってきて感動した。
遺体を処理した3〜4人は辛かったと思う。
これ、生還者の書いた本が原作らしいが、Wiki読んだだけでも凄さがわかり、本当に感動した。
NETFLIX発、「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のJ・A・バヨナ監督が贈る、驚愕の実話ドラマ
配信前の先行劇場ロードショーで観てきました
50年前にアンデス山脈で起きたウルグアイの航空機墜落事故と奇跡の生存者たちが送った2ヶ月のサバイバルドラマをじっくり2時間半かけて描き切る骨太の実話ドラマ
絶対に風化させてはいけない出来事だし、目も背けてはいけない
とは思いますが、閉じられた場所での寒さと飢え、そして人の死と向き合わなければならない極限状態を疑似体験するような内容だから、不謹慎な言い回しかもしれませんが、苦手な人はかなり苦手な内容かもしれません
全体的に観ていてキツかったのですが、私の中で一番インパクトがあって観終わっても精神的に尾を引いているのは冒頭の飛行機の墜落シーンです
いろんな映画の中でよく描かれてきた類のシーンですが、本作の映像はリアルで木っ端微塵になる描写がエゲつなく、凄まじくて痛々しい最恐の映像体験になりました
その墜落シーンの圧倒的迫力に加え全編に映し出されるアンデス山中のダイナミックなフルロケーション映像が本当に見事で素晴しい、これはNETFLIXの家庭用モニターだけでは本当にもったいない、是非 劇場の大画面と大音響で体験してもらいたい作品です
ストーリー展開は分かっている、だが目が離せない
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